26話 王の降臨
第6支部・副隊長、雷鳥響の一撃は、
5m級のベーダー星人の首を一撃で跳ね落とした。
隊員たちが絶望に沈む中、
その一撃は彼らを大きく鼓舞するものとなった。
「雷鳥副隊長!」
「すげー! カッコ良すぎだろ!」
「あの化け物を一撃で倒したって……副隊長も人間じゃねーよ!」
雷鳥は槍を兵隊のベーダーたちへ向けた。
「油断するな!
兵隊だが、まだ10体いるんだ。
相当な強さだということを忘れるな!」
「はっ、はい!」
「回復能力がある者は、倒れている者の回復を急げ!」
その時、声が聞こえた。
「こっちに来て正解だったようだ!」
3つの影が雷鳥たちの元へ集まった。
氷河、影井、伊安の3名が到着したのだ。
「剛海副隊長!」
氷河が剛海の姿を見て叫んだ。
「伊安! 大至急回復を!
副隊長を助けてくれ!」
「言われなくても。あなたの大好きな剛海さんを絶対に助けるわ!」
氷河は凍気を全身から放ち、
10体のベーダー星人を威嚇した。
影井も自分の影を立体化させ、戦闘体勢に入った。
「剛海副隊長は、あのぶっ倒れてるデカい奴にやられたんですか?」
「すまない氷河、俺がもう少し早くに出ていれば……
このデカブツを倒すには、電力をフルチャージする時間が必要だった。
彼女が奮闘してくれたおかげで、チャージに成功したんだ。
だから倒せた――」
「俺に謝らないでくださいよ。
でも、さすが副隊長だ……1人でこんな化け物を相手にするなんて……」
「あぁ、彼女あっての勝利だ」
「とりあえずここにいる奴らをぶっ倒して、
あのでっかいワープゾーンを消しましょう!」
「もちろんだ!」
雷鳥は、もう一度電力のチャージを始めた。
10体のベーダー星人は、それを見てハンマーを構える。
するとそこに、剛海の弟を含む3名の隊員が到着した。
「姉ちゃん!」
「大丈夫よ、剛海くん。
すぐに回復させるわ!」
ベーダー星人10体に対して、動ける隊員が18人。
笛の分析では、
雷鳥の登場で、巨大な侵略者を撃破。
さらに6名の戦力増加により、あれほど離れていた戦力差が
埋まりつつあった。
「虎落」
「……はいっ」
「戦力的分析はどう見える――」
「大きかった差が埋まりました。
このメンバーなら、あの10体に勝てます!」
その笛の分析も、さらに隊員たちの士気を上げるものとなった。
「とにかく急ぐぞ!
ワープゾーンを破壊し、これ以上の侵略者を入れはしない!
日本を、世界をここで守る!」
「おぉ!」
流れが地球人側に向いたと思った、
その時だった――
「!」
笛の目が異変を捉えた。
「どうした?」
「何か……見たことのない文字が目に浮かんで……」
「?」
「ワープゾーンから反応が……?」
笛がワープゾーンを見上げると、
そこには――
真紅の兜と鎧を纏ったベーダーと、
白の兜と鎧を纏ったベーダーの2体が宙に浮いていた。
空気が変わった。
姿を見ただけで、
その場の誰もが息をすることを忘れてしまった。
――本能が見てはいけない。
そう、告げているかのようだった。
「……この前現れた、
黒いベーダー星人と同じような気配を感じる」
雷鳥が青ざめながら呟いた。
笛の目が分析を始める――
白色のベーダー星人の数値は、
確かに先日の黒いベーダーに酷似していた。
笛の背筋に冷たいものが走る。
ただ、ユニバース値は動いていない。
能力発動の兆候はまだ見えなかった。
しかし笛は、
真紅のベーダー星人の方へ目を奪われてしまう。
「あの赤い方……
他の連中とは何か違います……
注意してください」
地球人ならエナジー値、
侵略者ならユニバース値と表示されている部分に、
そいつだけは、
――エターナル値
と、笛の目には記載されているのだ。
2体から感じる得体の知れない恐怖――
特に真紅のベーダーには、
本能が“近づくな”と警鐘を鳴らしていた。
「先日の奴以上の可能性があるのか?」
雷鳥が問う。
「……はい。
はっきりとはわかりませんが、そんな気しかしません」
「勝機はあるだろうか?」
「……飛びかかった瞬間に全滅させられている。
そんなイメージが目に浮かんでくるんです」
「まったく、嫌な目だな……
君の目の能力は、いつも正確だから困る……」
何も発さず、
宙に浮きながら一帯を見下ろしていた2体は、
いよいよ地に足をつけた。
すると10体のベーダー全員が一斉に膝をつき、
頭を垂れた。
ベーダー星人――
2体の王が動く。




