表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
検査結果は能力なし 〜能力なしで死んだ俺は、なぜか今日も死なせてもらえない〜  作者: 鬼喜怪快
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/48

23話 絶望の空


  


 それは、予兆も音もなく、早朝の空に浮かんでいた。


 見かけた人は、最初に何を思ったのだろう?


 朝靄に見える月?

 朝日?

 ――とても大きなワープゾーン?


 過去、日本で確認されていたワープゾーンの

 最大直径は約4.5mと言われている。

 10mもあるものは、世界でも例がない。


 誰もがそれをワープゾーンだと認識するまで……

 いや、認めるまでに大きな間ができた。


 早朝散歩中の老人、

 配送ドライバー、

 彼らが最初の目撃者だった。


 呆然とそれを見上げていた人たちは、

 その光の輪の中から、

 無数の影が現れるのを目にする。

 


 あの影は何か?

 まさか侵略者?


 理解した頃には、

 それらはすでに人間たちの目の前に立っていた。


 

「……なんだよ? お前ら?」


 ――ジュパッ!


 ジュパッ! ジュパッ! ジュパッ! ジュパッ! ジュパッ! ジュパッ!


 人間の首が、次々に舞い上がる。

 

 小型のハンマーを握りしめたベーダー星人が、

 手当たり次第、人々の首を跳ね始めた。


 

 ――今、侵略が始まったのだ。


 

 10m級のワープゾーンの出現から、

 侵略者到着まで、ほとんど時間差がなかった。


 それは、

 その日、その時、その場所を狙って襲来したことを告げていた。


 この襲撃に対して、

 市民からの通報はもちろん、防星省の対応も遅れたことは言うまでもない。


 第6支部の防星官、民間ブレイカーの出動は、

 出現から30分も経ってからのことだった。


 

 ――――――


 

 わずか30分で、

 街は壊滅状態に陥っていた。


 民間のブレイカーが、

 自主的に出動せざるを得ない状況だった。


 ブレイカーからのSOS信号で、

 第6支部は緊急事態を把握した。


 1ヶ月以内と発表した、わずか3日後のこと――


 第6支部の当直メンバーが緊急出動する。


 情報司令課の隊員が、

 第6支部の全員に緊急招集をかけ、

 第5支部、第7支部にも緊急要請を送った。


 現場にいるブレイカーからの情報によると、

 歪な兜に鎧を纏った侵略者が襲来――


 おそらくベーダー星人と思われる。


 そして、その数――


 100体以上――


 それが広範囲に飛散し、

 各地で殺戮を始めたのだ。


 

「100体のベーダー星人って……嘘だろ?」


 

 情報司令課の隊員が、

 震えた声で呟く。


 そこに通信が入る――


 

「わたしだ! 聞こえるか?」


「剛海副隊長!」


「防星省・全支部に緊急事態だと伝えろ!

 今の100体は兵隊だろう……

 この後、更に大物が来るかもしれん!」


「か……かしこまりました!」


 

 第6支部のメンバーが全員集まるにしろ、

 早くて30分はかかる。


 他支部の当直メンバーが駆けつけるにも、

 もう少し時間が必要だろう。


 

「全隊員に告ぐ!

 3人1組の体制を崩すな!

 3人体制が鉄則だ!

 1人欠ければ、近くの組に合流しろ!」


 

 剛海の指示が、

 全隊員へ伝達される。


 

「ブレイカーと出会えば合流して戦え!

 決して単独行動はとるな!」


 

 ――そして


 

「……30分だ!

 とにかく30分踏ん張れ!

 死ぬことは、わたしが許さん! 以上だ!」


 

 武装した防星官たちが動き出した。


 

 ――――――


 

「いぃぃやあぁぁ〜!」


 

 街を襲うベーダー星人から逃げるナギ。


 ――バキッ!


 不意にベーダー星人が蹴り飛ばされ、

 遠くに吹き飛んだ。


 

「だから家から出るなって言ったろ!」


「だって、外見てたら見つかって襲ってきたんだよ!」


「家に隠れてろって!」


 

 助けたのは、

 ナギの兄・紡時風だ――


 

「お兄ちゃんが飛び出して行ったから気になったの!」


「ここいらの連中を倒しに行ってくるって言ったろう……

 母さんみたく、テレビ見ながら避難しとけよ!」


「はいはい……」


「返事は一回だ!」


「ふん!」


 

 ナギは膨れながらマンションへ戻っていく。


 その時だった――


 

「紡時くんか?」


「?」


 

 風に声をかけたのは、

 雷鳥響だった――


 

「雷鳥さん! お久しぶりです!」


「……さっきから転がっている侵略者たちは、

 君がやったのか?」


 風のマンション周辺を襲っていた5体のベーダー星人。


 それらはすべて、

 風が返り討ちにしていた。


 

「……はい」


「相変わらず鬼気迫る強さだな」


 

 久しぶりに見る雷鳥は、

 全身にプロテクターを纏い、

 槍を携えていた。


 

「雷鳥さん……なんか今日の姿、かっこいいですね」


「あぁ……防星官のバトルスーツだ。

 ブレイカーのコスチュームみたいなものかな」


「槍ですか?」


「俺の専用武器だ……

 今日の俺は、この前のようにはいかない」


 

 ――ドドーンッ!


 

 遠くで大きな爆発音が響いた。


 10m級ワープゾーンの下で、

 火の手が上がっている。


 

「一緒に来てくれないか?

 君の力が必要だ」


「……はい、もちろんお手伝いします。

 ただ……」


「?」


「ひとつ、寄りたいところがあります。

 そこに行ってから、あのワープゾーン下へ向かいます」


「ありがとう……

 先に行って待っている」


 

 そう言うと、

 雷鳥は全身に雷を迸らせ、

 ワープゾーンへ向かっていった。


 

 風が寄りたい場所――


 それはもちろん、

 タイガードロップ株式会社だ。


 

「親方と帝呼ちゃんが心配だ……」


 

 風はワープゾーンの方を見る。


 

「虎落さんも心配だけど……

 他の防星官が守ってくれる……よな。

 

 絶対に行くから頑張ってくれよ、虎落さん!」


 そう呟くと、

 風は事務所へ向かった。


 

 ――――――


 

 タイガードロップ株式会社・事務所周辺――


 一帯は荒らされ、

 かなりの被害が見られた。


 風は斥力を自分に当て、

 一気に現場へ向かう。


 そして到着した風の目に飛び込んできたもの――


 すでに人の気配がひとつも感じられない土地。


 そして、

 事務所前の崩れた瓦礫の上に、

 虎落狩と帝呼が重なるように倒れている姿だった。


 

 ――風の思考が止まる。


 

「……親方……帝呼ちゃん」


 

 風は絞り出すように――

 2人の名を呼んだ。





 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ