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検査結果は能力なし 〜能力なしで死んだ俺は、なぜか今日も死なせてもらえない〜  作者: 鬼喜怪快
本編

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18話 22時のSOS



 ある日の仕事終わり――


 

「お疲れ様でした!」


「おうよ!

 明日はウチの定休日だ。英気を養って明後日に備えるんだぞ!」


「はい!」


 

 ――ピピピ! ピピピ! ピピピ!


 

 解散する直前、

 タイガードロップの事務所の電話が鳴った。


 帝呼が電話を取り、何やら話し込んでいる。


 本日の営業は終わりだと伝えているようだが、

 相手は食い下がっているようだった。


 しばらくすると――


 

「パパーっ、ごめーん!

 仕事入ったぁ……」


「なんてことだ……こんちくしょう……。

 内容は?」


「少し離れたところの病院なんだけど、

 ワープゾーンが出たんだって……

 サイズは直径80㎝ほど……」


 身体をOFFにした後の仕事は、きついものがある。

 きっと2人は断りたかったはずだ。


 しかし、狩は外したハチマキを巻き直した。


 

「本当に困ってるからウチに電話してきたんだろう……

 近くにだってブレイカーの会社はあるはずだ。

 でも、断られてウチに電話してきた」


「……多分ね。

 切実な感じだったから、断れなかったのよねぇ」


「タイコリンはさすが俺の娘だぜ。

 侵略者で困ってる人を助けねぇーで、なにが民間のブレイカーだ!

 引き受けて正解だぜ! 助けてやろうじゃねーか!」


「……パパならそう言うだろうって思ってたわ」


 

 風はこの家族が、

 笛も含めて本当にいい人たちばかりなのだと知っている。


 だからこそ、少しでも彼らの力になりたいと心から思っていた。


 

「あの、俺もご一緒します」


「いいよ、これは!

 俺らだけでやっとくから兄ちゃんは帰れ!」


「でも……」


 

 きっと、風が気を遣っていると思ったのだろう。

 帝呼も同じことを言ってきた。


 

「本当に帰っていいのよ。

 これはパパと2人でやっとくからさ――

 その分、たっぷり笛ちゃんとの夜の電話楽しんでよ」


 赤面する風――


 それを見て笑う帝呼――


 機嫌が悪くなる狩――


 

 そのまま風は事務所を後にした。


 

 ――――――


 

 その帰り道、

 風には見慣れた街並みが、

 いつもと違う雰囲気に見えた。


 ――疲れてるのかな?


 

「ただいま」


「おかえりー!」


 

 マンションに戻った風。


 試験勉強もせず、

 リビングでゴロゴロしているナギが目に入る。


 

「お前、試験中だろ?

 勉強してるの?」


「わたしもタイガードロップに雇ってもらうから、

 勉強も就活もいらないかなーって」


「何言ってんだよ。

 お前なら、もっといい仕事が見つかるだろ……」


「それよりさ、今ニュースで小型のワープゾーンが

 大量発生って言ってるけど、本当?」


「?」


 

 ニュースでは一部地域で大量のワープゾーンが発現

 ――と、報じられていた。


 確かに簡単な仕事だったが、

 今日1日で3件の封鎖案件に動いた。


 いや――

 あの最後の電話の分も含めると4件だ。


 民間のブレイカーも大忙しで飛び回っているらしい。


 

 なるほど……

 だから遠い街からタイガードロップにまで電話が入ったのか。



 ――腑に落ちた感じ。


 それと同時に滲み出るわずかな不安。


  

 風は、狩と帝呼を気にしながら、

 夕食を済ませた。


 笛は、今日の勤務が中番だと言っていた。

 21時過ぎには電話があるはずだった――


 しかし、一向に電話はかかってこない。


 

「大量発生したワープゾーンの処理で忙しいのかな?

 俺だけ早く帰ってきて……気が引けるな……」


 

 そして時計が22時を回った頃、

 ようやく笛から電話がかかってきた。


 

「もしもし!

 虎落さん、大丈夫かい――?」


 

 風は、忙しいであろう笛に気を遣い、

 自分からは電話をしないでいた。


 そんな彼女からの第一声は、

 涙を必死で抑えながらの言葉――


 

「紡時さん――パパと……帝呼を……

 助けてやってもらえませんか?」


 

 ――それは予想もしない、

 22時のSOSだった。





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