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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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創造主? ただの案山子でしょ

「……どう?」

「今の所、見えてはいません。監視等は……いいえ。向こうはプロですから、気付かれないように潜む程度は普通にしてくるかもしれません」

「特殊工作部隊か何かかよ……!?」


 アメリカの特殊工作部隊レベルがお相手してくれるとか悪夢が過ぎてもう想像もしたくないんだが。まぁ流石にそんなレベルじゃないと思うんだけど、それが引き合いに出てくる奴らって事だろうそれは。


「……い、居ない居ない。そんな危ない奴ら。気のせいだってやっぱり」

「そうでしょうか? この状況下で、気のせいだと切り捨てるのがどれだけ無謀か、先生も分かっていると思うのですが?」

「うっ」


 そ、それを言われてしまうと……もし本当に俺達が監視下にあって、迂闊な行動を取ろうものなら即座に確保とかも……いやー、それはヤバいよ。


「……場所移した方が良い、いや、マジでここから逃げよう」

「いえ。それはダメです」

「どうしてぇ!? 居ても居なくても! このままここに留まり続けるのは悪手でしょう!?」

「寧ろ留まる方が上策ですよ。良いですか。ここで私達が逃げるとします」

「安心を確保する為だ。当然だよ」

「それすなわち、私達が有罪という事が確定するんですよ」


 ……ちょっと待て。俺達が。安全を求めて、ここから移動した結果。俺達がギルティだという事が確定するって訳か?


「なんで、と言う顔をされているのが不思議なんですけど私は」

「そ、そりゃあするだろうよ。希望に向かっての逃走で、なんで汝は罪あり、って言われなきゃいけないというのか」

「だって逃げる=その身に疚しい覚えあり。となりませんか普通」

「………………あっ」


 そりゃあ何の釈明も無しに速攻で逃げ出したら『あ、やっぱりあいつ等悪い事やってるんだ。捕まえて良いんだ』ってなるよな……いや待てよ。


「そもそも悪い事してる、って判断してるから監視してるんだろう」

「そうではなく。今は疑いの段階だと思いますよ。罪ありきと判断しているなら、間違いなく既に連行しているでしょうし」

「えっ容赦ゼロじゃない……こっわ」

「そりゃあ現代と違って温くありませんよ。この時代の兵士さんは」


 アメリカの特殊部隊だってそこまで容赦ゼロじゃねぇわ。ホールドアップの一つだって言ってくれるだろうよ。それすらなく速攻で連れて行くとか昔のジャパンのKAMAKURABUSHIか何かじゃないのかなぁ……


「首を寄こせっていうのかなぁ」

「流石に我が国の汚点レベルの蛮族と一緒にするのはやめて差し上げてください」

「……いやそこまでは言ってないけど。汚物レベルの蛮族って言った?」

「実際汚物ぶん投げてますし」


 だからってその侮辱はもう国にまで言ってんのよ。栄光のKAMAKURABUSHIをコケにしてはいけないんだ。いや、今は故郷のKAMAKURABUSHIよりも目の前の兵士だ。


「兎も角、向かってこないイコール此方に対する疑いは固まってない、です。であれば今やるべきは逃げるのではなく、向こうの疑いが晴れるまで大人しくしておくか、疑われない程度にこっそり動くか」

「後者はより疑われそうですなぁ」

「ですがあえて私は後者を選ぶことを推奨いたします」

「えええええええええ!?」


 も、物凄い制圧前進の姿勢……!? 絶対に行動する事をあきらめないじゃん。でもそれがバレたらそれこそ向こうにあっと言う間に制圧される事も分かってない訳ではないだろうに。どうしてそう死に急ぐのか。


「……編集さんさぁ、新しく悩みとかできた?」

「? なんなんですか急に」

「いやなんと無くなんだけども……前にも聞いたけど、もしかして新しい感じのね」

「いえ全くございませんからご安心を。私の頭の中には、常に先生をいかにして執筆に向かわせるかという手段しかありません」

「うーん前回よりも食い気味1」


 大丈夫そうで全くもって良かった良かった!!!! この大馬鹿野郎なぁ! 心配したのがバカらしくなってくるレベルだなぁオイ! どうしてそこまで俺に仕事をさせるって言う一点にかけて熱量が無量大数なのか。寧ろ外部からもたらされている可能性もあるまである。


「それで、何で全力で相手の顔面を殴りつけることしか知らないの貴女は?」

「えっ、なんですか私を脳筋思考の突撃猪女みたいに? 失礼では?」

「いや貴女の今の評価はまごう事無きそれですよ!!? 先生驚いちゃったもん!!! 引き篭もる方が圧倒的に楽だってなのに敢えて修羅の道に踏み込む貴女の思考……苦難上等以外に何と言えと?」


 もうちょっと止まるという言葉を覚えないと貴女。どうしようもない程度に今の貴方は修羅の思考回路なんですよ。いい加減止まれ。お主が止まらねば俺も止まれぬ……というか止まろうとしても貴女が引っ張っていく!


「……だって、引き篭もるのはいいですけど、お忘れですか?」

「何がよ」

「時間が立てばループ現象も来るんですよ? 引き篭もってたらいよいよ危ないんですよ?」

「あー、まぁそんなのもあったけど……捕まるよりは多少ループ現象にからめとられた方が」

「冷静に考えてください。今までは運が良かったんです」


 運が良かった?


「ループはある一定時間内をグルグルとめぐるんです」

「うんまぁ、そうだな? じゃなきゃループって言わないし」

「しかし……この前の様な短時間の間のループもある事は分かったんです」

「あーこの前のは本当に短かった。ループの間に出来る事だって、それこそ演技の腕磨くくらいで大掛かりな根回しとかも無理だったし。というか、最初も結構短かったし」

「で、もしもその短時間ループがこの拠点に引き込まってる時に起きたとします」

「そん時はそん時解決すれば」

「もしそのループ時間内で辿り着けない距離で、問題のシーンが起きてたら、どうなると思いますか先生?」


 ……そりゃあ、到達しようと思っても辿り着けず、どんだけ頑張ってもグルグルとループ内を回るしかない訳だから……え、っと。


「死?」

「精神的なという形容詞は付きますけど。ここに留まってても詰む場合がある可能性があります」


 そうかぁ……俺達って物語自体からも物語のキャラクターからも追い詰められる立場にある訳かぁ。常に挟み撃ちの形に追い込まれていくわけかぁ。


「……異世界転生……創造主……なんだろう、世知辛い」


アンデルセン先生ごめんなさい。


転生チートの無い人間(主人公)なんざこんなもんですわwww

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