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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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見張りはやっぱりあんパンと牛乳

 ――世界のルールと人の悪意に挟まれる地獄の様な事実を知ってから、今日で、いよいよ四日目となる……が、遂に恐れていた事態、来たる。


「……室内の様子は見えてないよな?」

「あくまで外から様子を伺ってるだけですので、大丈夫かと」

「良くバレてないな……」

「現代人の、別の事をやってる風に誤魔化す技術を馬鹿にしてはいけません。昔より人口も増えサボりにくくなった分、サボタージュの技術は少しずつ発展していったんです」

「何という無駄技術。しかし今は実に助かっているのも事実」


 分かりやすく言えば、本当にこっちを監視してるのが明らかになったんですけどね。凄い一杯いる……って訳でも無いみたいだけど。今の所、見つけた、だけで詳細は明らかになってない。というかさっき見つけたばっかりだ。分かる訳がない。


「しかし、本当に見てるだけ、か」

「予想通り、此方に確実な容疑がかかっている訳ではないのでしょうね。行動するにせよ、先ずは行動する隙を見つけないといけないので、観察できる現状はありがたいですが」

「早めに見つけて、多少自由に行動できる様にはなりたいなぁ」


 しかし、ここから見てるだけで監視してる奴ら全員の行動を見抜ける訳は無い。という事で、今は様子見なのだが……


「そんな見張り来てる中でなんで俺は只管に物語を書く事になっているのかと言う話」

「だって何時もとおんなじことをやっていた方がごまかしも利くので」

「室内が見えてないなら大人しくしてるだけでいいのでは?」

「大人しくしているだけではもったいないでしょう」

「だからって書かせるこの鬼の編集」


 こんな衆人監視の中で、ちょっとでもミスったら終わりの作業をやれと申すか。くそっ、羽ペンの先が震える、墨が落ちる、落ちたら紙に滲む……書くスペースが減る! いつもは誰も見てないって言う確信があるから全然気にせずペンを走らせられたが……


「外の奴らが見てる、って訳でも無いってのに……なんだこの」

「私以外見えないようにしましょうか?」

「そうなったら余計書けなくなると思うからやめて」


 美人にじっと見つめられてるって予想以上に心臓に悪いのだからそこは自覚してほしい。そして自重もしてほしい。


「それは兎も角、先生は意識し過ぎです。見られている、と言う事実だけで自分が注目されていると勘違いするのは止してください。情けなくなってくるので」

「オイあんまりじゃないかその一言は。泣くぞ。ボロッボロ泣くぞ……」

「自意識過剰なのは止めてくださいと言われているだけなのに、なぜ泣く必要が?」


 編集さんに人の心は無いのだろうか。無いんだろうねぇ……そうだな。泣く必要はないな。この人を恨む準備をする必要はあって……いや、この状況下で恨むって結構恩知らずでは? 考え方を変えれば執筆するのに最適な環境を守って貰ってるのに?


「……もう既に調教され切ってる可能性を否定できない……」

「んー、向こうでちょっと動いたような……?」


 しかし、ホントに物語も鬼だよなぁ。ここまで俺達が追い込まれてるって言うのに、ループに関しては容赦なくぶち込んで来る訳なんだからさ。こうやって追い込まれてるのも、物語をより良くしようと行動した結果なんだから、少しくらい創造主を助けてくれたって……なぁ。


「……先生」

「んー、ちょっと待って。ちゃんと詳細は詰めるから」


 大体、俺のそっくりさんとか言う謎の存在迄出しやがって……結局未だアレの正体だってわかってないってのによぉ。あの可笑しな感覚の正体だってわからんし! 物語をどうにかして良い方向に持って行こうとしている俺に対する反抗か!?


「いや、案外あり得てしまいそうなのが……?」

「先生ってば」

「だからなんだよ。ちゃんと書いてるって言ってるでしょうが。嘘ついてると思ってんの」

「そうじゃなくて……動きが可笑しいんですよ」

「んん?」




 ……確かに、ここに人が居たってのは分かりやすい。


「足跡残していくかね……?」

「まぁ、それも気になりますが。普通に帰ってるのが問題ですよ」

「うーん。なんで急に引き上げたんだろう、って疑問に思いたいけど。どうせ昼食とかじゃないのか? そりゃあ四六時中とはいかんだろうよ」

「昼食で見張りを全部引き揚げさせるレベルで帰ります?」


 ……んんんーそれはそれは、全員返しちゃったかぁ……見張りとは一体なんだったのかと言う話でございます。もしかして、本当は俺達を覗きに来ていただけの可能性が十分にあり得たりしなくも無かったりする? ただの変態じゃんかそれは。


「……まぁ、流石にないか」

「無いですよ。まぁ私を覗きに来ていた、というのであれば話は別ですけど。」

「いや俺的にはそっちの方が嫌だよ」

「状況的にあり得ないので、若干残念ですが」

「……見られたいとか思ってる訳じゃないよね」

「いえ。別にみられて興奮する癖は持ってませんし。そうなると今までの可能性が全部消し飛んで何も考えなくて良くなるので楽だ、と言うだけの話ですし」


 現実はそう甘くないって事だよなぁー……


「しかし、だとすると何か余程の事が有ったとか、か?」

「我々より優先すべき……人魚姫の目撃情報でしょうか」

「――時期的にもそれだ。恐らく、次の激突の機会が近づいている」


 人魚姫は、騎士達の必死の抵抗で引き返してから、今度は様子見とかではなく直接城に乗り込んで……隣国の姫とぶつかる事を決意する。自分の恋の目の前に現れた敵がどういう人物なのか、見極める為にも。で、ここで人魚姫と隣国の姫は初顔合わせな訳だ。


「その辺りで、人魚姫が何度か城下町に出現する流れがあるが……」

「それに視線を向けたのでしょうか。しかし、都合が良すぎませんか? 私達を監視しようと動き出した直後にとは」

「……時期的には何ら不思議はない。彼らは幾度となく、人魚姫とぶつかるというのはこの物語の大筋だ。本来なら俺達に気を払ってる余裕はない筈だが、それでも、って言う方がおかしいんだとは作者的に言っておきたい」


 しかし、実際これはラッキーだ。漸く、作者的な、創造主的な知識を活かせるベストタイミングが回って来た。


「――奴らは人魚姫の目撃情報に対し集中するのは間違いない。であれば」

「物語を知っている此方が有利を取れる?」

「あぁ、作戦会議……というか、スケジュール確認と行こう。向こうさんがどうしてもここを離れざるを得ない時間を確認するんだ」


アンデルセン先生ごめんなさい。


尚、あんパンはここ数十年の辺りにしか存在しない模様

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