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ポンコツ作家と有能編集、自世界を行く  作者: 鍵っ子
二章:ポンコツ、新天地に立つ
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騎士の誇りは浜にて沈んだ

「んぐぐぐぐ……あの後からここに繋げるのはいやダメだアカン。ここは俺の小説家としての矜持を失う訳にはいかんのだ。覚悟を決めろ、ここは全力で拘る」

「拘り過ぎてもいけませんので、程々で切り上げてくださいね」

「ここで拘らなかったら明日の賃金はねぇ! 俺は、書くんだ! 全力で!」

「左様ですか。まぁ時間制限が来たら強制的に終了しますけど」

「えっ? 強制的に終了するって……何を……?」


 書いてるのを? 途中でって事? どうやって? 強制的に止めるって事は、体を押さえつけるとかそう言う事なのかな……あーいや違うなコレ多分腕とかを持っていかれるって事だ。今めっちゃ肩口辺りみられてるもんなぁ。


「分かりました。若干自嘲します」

「若干じゃなくてしっかり自重を。こだわりと仕上がりの早さを両立できる範囲で留めないと一流の作家とは言えませんよ」

「いや、一流の作家を目指してる訳ではないし……」

「目指して居なくてもしっかり成って頂ければという、私の老婆心です」

「ろ、老婆じゃないだろうアンタ!?」


 何だったら俺より年下迄あるんじゃないかなぁ? この人。い、いやしかし。心配してくれると考えればまぁ嬉しいんだけども。


「いえいえ、先生の精神年齢と比べればとてもとても……老けていますよ」

「俺の精神年齢幾つだと思ってんの!?」

「赤子ぐらいかな、と」


 誰が赤子だゴルルァ!? 若々しくあり続けたいというのは間違いないけど、だからと言ってそこまで若返っちゃったらダメだろ! ダーダー言ってるだけになっちゃう! そもそもそうだったら書けねぇよこんな作品!


「まぁそれは冗談としても、大分若いですよ」

「……そうか」

「異世界転生に対応できるのは精神年齢が若い証拠です。中途半端に高いと、何時までも現実を受け入れられずに悲惨な事になって終わり、とかありえそうですし」


 ……それは……流石に想像したくないな。


「だからこうやって生き抜けている時点で、先生は若いです」

「おう、ありがとうな。でもって本音は?」

「褒めて置けばテンポも良くなるかな、なんて思いまして。本音ではありますよ? まぁ、一応ですけど。はい」

「そんな妥協されるくらいなら言われない方がマシまであるんだけども」


 でもそれでちょっとやる気出しちゃってるのが俺の哀しい所。まぁ、本音ならその期待に応えて若い所見せないとね……それに、コレが完成する度に俺の作戦、というかそうなったらいいなって言う展開に近づくんだからな。


「俺の小説……というか、物語がこの世界を泳ぎ切る為の一助になるってんなら、そりゃあやる気も出るよ」

「先生のやる気が出るのは嬉しいんですが。その所為で拘り過ぎるのもアレなので難儀ですね」

「アレってなんだよアレって! 良いじゃねぇか拘って!」

「こだわりを見せた挙句に変な所で乗り出すのが一番面倒なんですよ」

「おいやめろ、それは俺に本当に辛いから」


 ……あるんだよ。楽しくなった結果変なテンションになっちゃう事とかもさ。そんな文章を後から見ると……うがぁあああああああっ!? でも、でもそういう所が案外ウケる時だってあるから良いんだい!


「……で、結局どうするべきかね」

「素直に接触するのが一番かと思いますが」

「でも、監視対象から接触されるってのは、どうなの? 捕まらない?」

「向こうが幾ら問答無用で捕まえる的な野蛮OF野蛮みたいなイメージの騎士団、とかいう名の愚連隊だったとしても」

「先に行っておくと俺はなんも言ってないからな?」


 寧ろそこまで良くぞ言えたもんだと思う。愚連隊、愚連隊って。いや、昔の騎士の中には、いや中にはっていうか結構な数が愚連隊やってたのは間違いないけど。そう言うのばっかりじゃないし何だったらこれは物語なんだから多分理想の騎士様だよ。


「少なくとも、無罪を主張して、しかもそれを証明したいからと協力を申し出る相手を無下にするようなロクデナシではないと思います」

「……そう言われば、そうかなぁ」

「まぁだから、素直に接触するべきかと」


 問題は、理想の騎士様じゃなかった場合だなぁ。編集さん美人だし、おらーお前の体をどうにかさせろー、とか群がってくる可能性が無いでも無いって言うのが……俺達は雇える程富豪って訳でもないしさ。


「万が一の場合は、酒場の皆様に手伝って頂きますけど」

「何とかなるか?」

「女将さんに頼めば、酒場の皆さまが数で圧倒できるのは間違いないでしょう。店に来ていたのは……確か三人程。まさか本命の任務をほったらかしに、こっちに集中するとは思えないので増える事もないでしょう」


 なるほど納得。女将に頼みごとを出来る位には信頼も築いているなら、酒場だって正に無敵の要塞になるって訳か。それなら安心して向かわせられる、かな。


「……本命の任務があるのになんでこんな何でもない俺らに目を向けてるのかが不思議ではあるんだけどもね」

「彼らが任務でとどまっているのに、我々にも目を向ける。つまりそう言う事では?」

「俺達が人魚姫に関わりがあるって? だからずっと監視してたって? いやぁまさか」


 そもそも、俺達『人魚姫のお味方でございます!』とか公言しても居ないんですけど? それで向こうと協力して俺達がなんかやらかす可能性を言われても、心外と言うか、お前ら頭おかしいだろ、としか言えないというか。


「だって、この前実際、人魚姫を援護しましたし」

「えっ、それだけで? 凄い疑うやんけ」

「それだけとは申しますけど。実際あの時ループを突破する為とは言え、物凄い完璧なタイミングで割り込みをかけましたし?」

「……んんんんんんいやまぁそれは否定は出来ないというか」


 まぁ、確かに? あの人たちの前に割り込んでね? 状況を掻きまわしたって言う自覚はありますけども? いや、だとしても、だとしても駄目だろうよ。それだけでそれだけでお前も協力者だっとか魔女裁判レベルの言い掛かりヨ?


「それに、あの後逃げられるのは確定してた訳だし」

「向こうはそうは思ってません。捕まえられる、想定で動いていたでしょう」

「……あ」

「それを完璧な横やりで邪魔された……それで、まだ言い訳します?」


 ……良し! 頑張って無実を証明しよう! うんうん!


アンデルセン先生ごめんなさい。


物語の様な騎士はむしろ少数派だったという事実。

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