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秘密だらけの僕のお嫁さんは、大陸屈指の実力を誇るドラゴンスレイヤーです  作者: 甲斐 八雲
Main Story 30

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魔女ちゃんの味方だからね

「目の前に大きいのと大きいのがおしくらまんじゅうをしているというのに……どうしてオバサンはそのまんじゅうの間にこの顔を挟めないのっ!」


 全力で叫び上半身を伏して悔しがる相手に対し、スッと魔女はその目をフラットにした。


「……御前?」

「なに?」

「兄さまより己の欲に忠実すぎやしませんか?」

「いやぁ~!」


 冷たすぎる指摘に鬼は頭を抱えて苦しみだす。


「違うの! 鬼女は愛情が深いだけで性欲はそんなにっ!」

「なら貴女様が特殊と言うことになりますね」

「遠い! 言葉がとっても他人行儀だわ!」

「そんなことありませんですわよ。鈴鹿御前様?」

「追い打ち~!」


 絶叫し鬼はシクシクと泣いた。


 魔女はそんな相手を放置し自分に甘えている相手の様子を見つめる。

 おかしな様子はない。毒の垂れ流しも発生していない。ただ不思議と不安定だった魔力の流れが整っているようにも見える。これなら毒の垂れ流しは発生しないはずだ。


「御前?」

「違うの……オバサンは痴女じゃないの」

「ええ。ただの変態だと理解していますから質問に答えて貰えますか?」

「毒~! 言葉の毒が酷すぎる~!」

「気のせいです」


 相手に餌を与えすぎないように気を付けながら魔女は言葉を続けた。


「毒っ子の魔力が安定しているんですけど?」

「ええ。オバサンが頑張って札を作ったから」

「札?」


 そう言われると確か胸を覆うように絶妙なポジションにそんなものがあった気がした。

 ただ確認したくても相手が抱き付いて寝ているから見るに見れない。無理をしたら相手が起きてしまう。寝ている子供を叩き起こすのは、十分に眠ってからだと魔女はそう思っている。


「ノイエちゃんがおっぱいちゃんの力を借りて大暴れしたのよ」

「……はい?」


 御前の言葉に魔女の思考がフリーズした。


 その言葉が事実だとしたら……大陸北部は死の領域になっているはずだ。


「でも匠くんが命がけで止めたのよ」

「……」


 息子の行為に胸を張っている御前としては、褒めて欲しいと思っているのだろう。

 ただそれをしたのは兄さまだから彼女を褒めるのは間違いだ。


「後で兄さまの頭でも撫でておくわ」

「オバサンへの労いが無さすぎる~!」


 世知辛い世の何かを嘆く鬼を魔女はスルーした。


「まあその辺は後で映像を確認するとして……」


 ポンポンと優しく甘える子供の背を叩き、魔女は覚悟を決めて周りの様子を確認した。


 分かっている。中身の居ないフラスコが存在しているのだ。嫌でも分かる。


 グッと唇を噛んで魔女は堪えた。


「魔女ちゃんが悪いわけじゃないとオバサンは思うけど?」


 絶妙なタイミングでその声が飛んできた。


「でもわたしがもう少し、」

「何も知らない赤の他人を預けられたのでしょう?」

「……」


 また届いた言葉に、自分の言葉にかぶせられた言葉に、魔女はその口を閉じた。


「魔女ちゃんだけが悪いとはオバサンは思わないわ。だって魔女ちゃんはとっても優しくて出来る限り頑張ろうとする子だって知ってるから」


 クスクスと笑う相手から魔女は視線を逸らす。赤くなった顔を相手に見られないためだ。


「でも一つだけオバサンに教えてくれるかな?」

「……何をですか?」


 鬼は真っすぐ相手を見つめた。


「何人、残っているの?」


 視線を逸らしたままの魔女はブルっとその身を震わせた。


「気づいてたの?」

「ん~。まあ何となく?」

「そっか」


 大きく息を吐いて魔女は頭を掻いた。


「魔眼にも収められる限界があった。だから全員は無理だった」

「うん。で、貴女はそれをカミューちゃんに告げたのでしょう?」

「……ええ」


 静かな声音で魔女はそれを認める。


『全員は受け入れきれない』とあの日カミューに伝えた。すると彼女は、


「あの馬鹿は迷わなかった」

「取捨選択をしたのね?」

「ええ。それも本当に何も迷わずに」


 驚くほどあっさりと取捨選択をしたのだ。

 人の命を、驚くほどあっさりと。


「ねえ魔女ちゃん」

「……」


 続くであろう質問に魔女は一瞬戸惑った。

 分かっている。いつかはバレることだ。ずっと隠したままではおけない。


「肉体を持つ人は何人なの?」


 問われた言葉に魔女はその口を動かし数を告げる。

 その返事に鬼は軽く目を見張ると……直ぐに目じりを下げた。


「思っていたよりも多いのね」

「そうかしら?」

「ええ。その数の多さから魔女ちゃんがいっぱい頑張ったのだとオバサンには分かるわ」


 優しく微笑み鬼は魔女を見つめる。

 その視線は本当に温かく……相手の酷い行いを責める様子はなかった。


「わたしがもう少し頑張っていれば」

「でも全員は無理だったのでしょう?」

「それは」


 その通りだ。あの日あの時あの場所で……受け入れた全員を『生かす』ことは無理だった。


「ねえ魔女ちゃん。ならあのフラスコの中身は?」

「御前の思っている通りよ」

「そう。だからノイエちゃんは……そう言うことね」


 色々と理解し鬼はそれ以上の質問を止めることにした。

 これ以上は優しい魔女の心を傷つけてしまうと分かっているからだ。


「魔女ちゃん」

「……なに?」


 疲れた声を発する魔女に鬼はニコニコと笑う。


「オバサン、魔女ちゃんの味方だからね」

「……」


 傷かしい言葉を恥ずかしむ様子もなく告げてくる相手に魔女は苦笑した。




 ユニバンス王国・王都郊外ドラグナイト邸



 朝からセシリーン姉さまのお説教をまた食らったのです。

 ですが僕は言いたい。最終的に気絶した僕は被害者の1人であると。


 確かに先に気絶したセシリーンを救わなかった責任はある。ですが相手はあのノイエだよ? 僕だってセシリーンに続いて気絶したことを考えれば彼女を救う手立てが無かったのです。


 などと言い訳をしたら増々怒られたのは言うまでもない。


 ノイエと2人で正座して怒るセシリーンの説教を受けていたら、ノワールとセシルが一緒になって泣きだしたおかげで救われた。2人して余り泣かない子なのにワンワンと泣くものだから流石のセシリーンも説教を止めて2人をあやしに向かう。


 うむ。実に良い子供を持ちました。


 それからお風呂をしたり食事をしたりと出かける準備をしていたら、突然ノイエが動きを止めた。歩いていたらピタッと止まった感じだ。


 何が起きたのかと様子を伺っていたら、ノイエの左目が突如としてデロ~ンと形容しがたい動きを見せた。まあ結果としてリグが出てきたわけです。


 僕らの目の前に褐色の肌を持つ小さいのに大きなリグさまがっ!


「……」


 ただ出て来たリグは何も発せず、両腕でガッチリと自分の胸をガードするとジリジリと後退して僕との距離を開く。


 ふっ……リグさん? もしかして僕が貴女の胸だけを狙う愚か者とでも思っていますか?


 どうやら相手は思っているらしくガッチリガードが解かれない。


 だが甘い! リグさん。その胸は僕だけの物ではありません!


 リグの後ろに音もなく回ったノイエが相手の両脇から手を差し込む。


「ちょっ! ノイエっ!」

「ん」

「ダメ! 激しいから!」

「むぅ」

「……嫌とかじゃなくて」


 妹に甘いリグさんはノイエが拗ねたら何もできなくなる。


 そのままノイエに抱えられて……見ろコロネよ! リグの胸が大きいから抱えるノイエの腕に乗っかり引っかかっているわけです。あれが巨乳と言うものの最終形態だと僕は思うのです。


 気づけば泣きながら横に居たコロネに巨乳の何かを語っていた。


 はて? この馬鹿はいつの間に来た? そしていつから泣いていた?


「ごしゅじんさま~!」


 ん? どうした貧乳?


「わたしにおひまってどういうことですか~!」

「はい?」


 ノイエが抱きかかえているリグの方も気になるが、今はコロネの相手を優先する。


 と言うか『お暇』って何よ?


「スズネがそう言ってました!」

「……」


 お怒りである。コロネさんがお怒りである。


「さんざんわたしをもてあそんですてるんですかっ!」


 言い方。ちょっと言葉の使い方に気を付けようか?


 こっちを見つめているリグさんの視線が氷のように冷たいからね!




© 2026 甲斐八雲

 そんな訳でリグが出てきました。


 で、コロネがおひまって何ごとですか?



【作者さんからのお知らせ】


 トコロテン方式でとうとう昇進してしまい、リアルの方が大変多忙となってしまった現状…5月以降は週3の更新を維持できるかどうかって感じです。ガリガリとストックが削られ結構ピンチです。とりあえず土曜日投稿は一時的に取りやめます。

 余裕が出来たら再開する気ではいますので、待っていただければと思います

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― 新着の感想 ―
更新乙 昇進おめでとう???めでたいんだよね? 鬼母の最初の台詞が全てだわ そのオッパイサンドに何故挟まれないのか!? そこに鬼母も混ぜてオッパイミックスを何故見ることが出来ないのか~ 今後の更…
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