現実主義者の世話人めぐり(第6世話人)
「ルイ」
後ろから誰かに名を呼ばれたので、振り向く。
キースだ。
おお、今日は一段と男前度が上がっている。
「久しぶりだね、キース」
「あ、ああ。本当にルイか?」
顔をまじまじ見られる。
まぁ、メイクしたから最後に会った時と顔が違って見えるかもしれないけど、そんなにまじまじ見なくてもいいと思う。
正直、お肌の曲がり角は10年前に曲がりに曲がったので、凝視には耐えられないのだ。
しかもファンデを今日はケチったから、結構薄付きだし。
この国は、私の肌の色に合ったファンデ置いてないから、ついケチりたくなるのだ。
あと何回持つんだろうか?
なくなった後が怖いなぁ。
「そんなに確認しなくても、正真正銘本物の琉生です」
「あ、いや、偽物だと疑ったわけじゃないんだ」
慌てて弁明しようとするキース。
いやいや、思いっきり疑ってましたでしょうが。
まぁ、レイと琉生を分ける為に、メイクでかなり誤魔化してますが。
でもファンデーションだけは、量が限られているので誤魔化し切れているかどうか判らないが。
「それより、さっきまで近衛三官といたと思ったのだが彼はどうした?」
「ああ、それなら」
さっと目線を右の方に移す。
「あっち」
その先にはヴォイドがいた。
私の目線を追って、キースは彼を確認した。
「なぜ離れているんだ?」
「ヴォイドは、さっき見つけたちょっと不審な人物の監視に行ってるよ」
「不審な人物?」
キースの眉間にしわが寄る。
「何かあるみたいだね。警備に立っていた、バックアップ要員のアイオン先輩も情報収集に動いてるみたいだし」
「アイオン?アイオン、アイオン…」
何かを思い出そうとするかのように、ブツブツとアイオン先輩の名前を言うキース。
「何、どうかした?」
「いや、何だろう?どこかで…」
必死で思い出そうとするが、何かが引っ掛かって思い出せないようだ。
その気持ちの悪さは、私にもよく解る。
「それにしても、先輩とは。お前、試験受かる気満々だな」
「落ちるのを前提として試験に臨むのって、不毛だと思うけど」
「自信家だと言われた事はないか?」
あれ?これって、今朝ヴォイドにも言われた気がする。
そんなに自信家じゃないつもりなんだけど。
「面と向かって言われた事はないけど…」
ちょうど通りかかった使用人からお酒をもらう、先程のウィスキーもどきだ。
「お前…それを飲むのか?」
顔を引きつらせるキース。
「おいしいよね、これ」
そう言いながら2口。
「信じられん。エウェジーク飲むなんて。もっと酒なら他にあっただろう色々」
「さっき飲んだけど、ちょっとパンチが足りなくて、エウェジーク?に切り替えた」
「切り替えたって。なんでよりによってそれに行く」
なんだかすごく呆れられている。
確かに度数は高いだろうけど。
「ヴォイドが飲んでておいしそうだったから」
「あの人を基準にすると、明日が怖いぞ。ざるで有名だから」
へー、ヴォイドってざるなんだ。
さっき酔ってたような気がしたんだけど。
気のせいだったのかな?
「ともかく飲むならこれにしておけ」
と、キースが私の持っていた杯とキースの持っていた杯を交換する。
交換されたお酒の匂いを嗅いで、一口飲んでみる。
「んま!」
思わず呟く。
度数はそれほど高くない。
フルーツ系の香りがとてもよく、飲んだ瞬間口の中に香りが広がる。
ワインより糖度が高めだが、後味がさっぱりとしていてとても飲みやすい。
酸味がやや少ないのが、ほぼ私の好みだ。
「だろうな、恐らく7年前の酒じゃないか?たしか、エアエイの当たり年だったはず。うわ、これもいいのを出してきたな」
私の飲みさしのエウェジークをキースは一気に飲みほした。
おおー、結構いける口とみた。
「さて、話を戻すが、なぜ近衛三官が不審人物の監視をしている?」




