現実主義者と偽13番と救いの神
「相手になるから、来いよ」
偽13番が言う。
そんなこと言われても困る。
ちょっとは空気読んでよとか思わないでもない。
技が見たいんじゃなくて、単に体を動かしたいだけじゃないのか?と、変に勘ぐってしまうのは私だけだろうか?
これだから、バトルジャンキーは面倒くさい。
どうしようと考えあぐねていたら、神が降臨した。
神は信じないけど。
「おい、何をしている」
神は神でも、魔神の方でしたか。
周囲の温度を急低下させた美ボイスの持ち主、団長だ。
ここの異様な雰囲気に、気になって来ましたってところかな?
あ、ヴォイドもいる。
手を振ってみた。
呆れられた。
これは、助かったと言いうべき状況なのかな?
他国の客人に剣を向けてる時点でなんかヤバい事になってませんか?私。
又、牢屋行きでしょうか?
相手がこっちに剣を向けてるものだから、なかなか剣を鞘に入れられないのですが…
団長に助けてサインを出してみた。
「双方剣をひけ」
助かった!
あからさまに、ほっとする私。
そして、すぐにその場を離れ、ヴォイドの傍に行く。
「いやー、ほんと助かったよ。あのままだったら確実に死んでたって、私。んじゃあ、帰ろうか?ヴォイド」
と言って帰ろうとしたら、「ちょっと待て」と偽13番から待ったが入った。
ちっ、バックれ失敗。
団長を贄にしてそのまま去ろうとしたのに、上手くいかなかったか。
ちょっと不自然だったのが。敗因だろうか?
でも、そろそろ戻りたいなぁ。
実を言うと、早く戻りたい理由があったりする。
今晩、夜会が開かれるという知らせが、何日か前に琉生宛てに招待状と共に届いたのだった。
国王が主催の為、欠席は不可と言われている。
得体のしれない異世界人が行っても大丈夫なのか?と、その時思ったのだが、拒否権無しの招待なので考えない事にした。
まぁ拒否権無しの時点で、招待とは言わないが。
まぁ、ここら辺りは暗黙のルールなんだろうなぁ。
等と考えながら、集まった人々から質問にあう事が予測されるので、あらかじめ質問主意集とその答弁集なるものを作ってみた。
もちろん、ナリアッテや他の人にもチェックしてもらい、当日どんな質問が来てもある程度は答えられるようにしてある。
まぁ大方の質問は、宗谷英規と同じですと答えていればOKなような気がしないでもないが。
取り敢えずこれで、異世界の社交界を乗り切れるはずだ。
そこら辺は抜かりない。
完璧だ。
と、思う。
所で、今回の夜会は国王主催だ。
なので、国王への挨拶は押さえておきたい所だが、近づけるのかどうかはその時になってみないと実は分らない。
私は、まだ国王との謁見の順番が回ってきていないので、この機会に滞在のお礼を言っておきたいのだが…
一応他の人にも色々相談したが、やはり国王への挨拶ともなると色々順番があるらしい。
そこら辺りは、異世界でも一緒なのだなと感慨深く思った。
まぁ、国王への挨拶が無理なら、謁見の日まで待つしかないだろう。
まだ日程は未定だが、出来れば訓練が始まるまでに、謁見をしたい。
まだ、合格してもないけど。
「まだ終わっていない」
偽13番が言う。
いやいや、団長がストップ入れた時点で終わりだと思うが。
「えーと、試験も済みましたし、私はそろそろお暇しようかと。それに、差し出がましい事ではございますが、先程団長と会う為の約束を交わされていたようにお見受けいたしました。その待ち人もちょうどいらっしゃったみたいですので、私は戻らせていただきたく存じます」
と、去ろうとした理由を適当に言い訳する。
「いや、会う約束はしていない。今後もするつもりはない」
即座に団長が否定する。
あらら、相当嫌われてるなぁ、偽13番。
どんなけ、団長の事追い回してるんだろう。
こっちにお鉢が回らない事を祈るばかりだ。
「ひどいなぁ」
偽13番が項垂れている。
「あ、えーと?そろそろ戻ってもよろしいでしょうか?」
団長に聞いてみる。
団長なら、このバトルジャンキーをなんとかしてくれそうだ。
「ああ、大体事情は察した。行くといい」
「ありがとうございます!」
笑顔で一礼して、早歩きでその場を去る。
いやー、団長が来てくれて助かった。
ヴォイドが連れてきてくれたのだろうか?
取り敢えず戻ろう。
さぁ、次は又あの侍女さんズに囲まれなきゃならないんだなぁ。
ちょっとげんなりしてしまった。




