現実主義者の入団テスト(2日目審査直前)
結局試験始まるまでの1時間、する事がないので早いけど試験会場に行く事にした。
到着すると、結構人が集まっていた。
早すぎたと思ったんだけど、意外と皆早めに来ていたみたいだ。
受付けを澄ましてその辺ぶらついていると、昨日受付に座っていた隊員がこちらに気付いた。
「あ、いつも化け物なみに走ってる奴」
「あ、ども」
頭を下げる。
化け物って今朝呼んだのは、こいつか?
「やっぱり、隊員じゃなかったんだな」
「あははは」
曖昧に笑っておく。
「お前何番目?」
ああ、試験の順番の事か。
「16番目です」
「うわ~、ご愁傷さま。死なないようにしろよ」
なんかすごい憐れまれている様な気がする。
この人の中では死ぬこと決定なんだ、私。
「それ他の人にも言われたんですが、殺し寸前の事をされるんですか?」
「殺しって。う~ん、まぁ、似た感じかもな?もちろん相手は手加減しまくりだけど。とにかく、新人にどうこう出来る相手ではないな。せいぜい怪我しない様に無茶は控える事だ」
わざわざ忠告しに来てくれたんだろうか?
ジョギング仲間のよしみ?
「忠告ありがとうございます。あ、私はレイです。えっと、先輩は…」
「アイオンだ。アイオン= ジャージル。お前には儲けさせてもらったからな、忠告ぐらいお安いごようだ」
ああ、やっぱりあのジョギング賭けの対象になってたんだ。
で、今日の試験もなんか賭けられていそうだ…
ジト目でアイオンさんを見上げる。
「ちなみに、20秒だ」
そう言って、私の両肩をつかむ。
「は?」
一体何のこと?
「今日の試合20秒以上持たせろ、いいな!?」
なんか目が怖かった。
と、とりあえず頷いておくか。
3回程頷いておいた。
満足したのかそのまま、彼は去って行った。
金がからむと人格変わる人も多いなぁ。
しみじみ思う。
と、入れ違いでヴォイドが来た。
なんだかピリピリしている。
「レイ。棄権する気はないか?」
ああ、やっぱりヴォイドも今日の審査官の話聞いたんだ。
「ないよ。ここまで来て。いろんな人に迷惑かけておいて今更放棄はできないでしょ」
「そう言うと思ったよ」
ならなぜ聞く?ヴォイドよ。
「今日の審査官は、誰が相手でも容赦がない。危険を感じたらすぐに降参しろ」
「…。わかった」
うーん、武器を持つと相当周りが見えなくなる人なんだな、その審査官。
「ヴォイドはどう?勝てそう?」
「勝ち負け以前の問題だ。副団長でさえ3回に1回勝てるかどうからしい。俺は5分持たせればいい方なんじゃないか?」
「その人ってさぁ、毎回審査官してるの?」
「いや、本来は副団長とそれぞれの隊長がやってる。けど今回団長が出て来たんで、副団長と2人で審査するらしい。」
「で、私たちが当たるのが、団長ってわけか」
ヴォイドが頷く。
どことなくゲンナリしている。
近衛の実力は結構凄いと以前ナリアッテに聞いた。
その近衛にいる人間が5分。
え?
じゃあ順番ってすぐ回ってこない?
新人相手だから1人1分とすると、16分ほどで。
ああ!!
もう8番目。
ていうか、いつの間に試合してたんだ。
慌てて、私たちは立会場所に行った。




