32 《中3の夏》〜終わりの始まり〜
祭りの帰り道、俺たちは街中を歩いていた。
強烈なヘッドライトと夜間にも関わらず耳をつんざくようなエンジン音が耳に届く。
この辺には珍しく暴走族じみた車がやってきたらしい。
俺たちはちゃんと歩道を歩いているし、安全だ。
いや、危ないのが一人いた、明里は歩道と車道の境目にあるブロックの上を歩いていた。
「明里〜車来てるから危ないぞー」
軽い気持ちで呼びかける。
この時強く注意していればあんな事にはならなかったのにな……
「大丈夫だよ。ここだったら当たらないよ………!?」
明里がそう言った瞬間、ブロックから足を踏み外し、車道側に転んだのだ……車道側に転んだといっても普通なら避ける事が可能だろう……だが最悪の事態が起きた、車はかなりのスピードを出していたので、他の車にぶつかりそうになり、バランスを崩していたのだ……車はもう、すぐそばまで来ている。
明里はまだ気付いていないのか、ゆっくりと立ち上がる。
俺は俺と同じ様に飛び込もうとしている親友の肩を引いて動きを止め、車道に飛び込んで立ち上がりかけた明里を安全なところに突き飛ばす。
その反動で俺が代わりに地面に転がる、立ち上がって逃げようとするがもう間に合わないだろう……
次の瞬間、俺の肩に凄まじい衝撃が走ったと思うと、体が宙に舞い体全体がふわりとした無重力状態になった。
体がアスファルトに叩きつけられて強制的に肺の空気が全て吐き出され、呼吸困難になる。
だが、思っていたほどの痛みは無かった……
俺はこのまま死ぬのだろうか……
明里は今、泣いているのだろうか……
和也は今、何を思っているのだろうか……
悲しい思いをさせてしまうかもしれないな……
ああ……死にたくねぇなぁ……
そんな事を考えていると意識は徐々に薄れていった……




