25 《己の力》
「そういえばお兄ちゃん…何で二刀流なの?」
スキルか何かの効果で上から下まで真っ赤に染まった妹が俺に向かって言う。
「特に理由は無いけど…」
そう。理由は無い。対して使いやすいわけでもない…
「じゃあ、お兄ちゃんは何の為にこのゲームを始めたの?」
さらに俺の心に突き刺さる様な質問が俺を襲う。
「俺は…剣を振る為にこのゲームを始めたんだ…」
「やっぱり…」
「俺、最初は剣道で磨いた技と力を使いたいだけだった…」
「なら一刀流でいいじゃん。」
「でもそれじゃスキルが…」
「スキルって…そんなに大切かなぁ?このゲームの特徴は自分の力を最大限に使う事ができることでしょ?」
そういえばこいつはスキルをあまり使っていなかったな…
でも俺は確かに苦戦をしていた…
黙っていると明里がさらに言葉を俺に掛ける。
「二刀流なんて初めて見て驚いた…でも…昔のお兄ちゃんの方が強かった…気がする…」
俺は現実世界では一刀流で勝ち抜いていたじゃないか…
…なぜ俺はスキルなんかの為にバトルスタイルを変えたんだ…?
…なぜ俺は今までこんな事に気が付かなかったんだ…?
俺は自分が馬鹿みたいで、ふっと笑い声を上げ、
太刀を一本地面に置く、そして明里の方に向き直す。
「ありがとな明里……いちよ聞くけど…俺、本気出してもいいか…?」
俺は薄い笑みを浮かべたまま、明里に聞く。
答えはわかってるけどね…
「当たり前!その代わり私も本気でいくわよ?」
嬉しそうな顔をして、明里も刀を構える。
『ガキィン!』
俺の刀と明里の刀が大きな音を立ててぶつかる
右、左、上、下と刀を振る。
それを明里は体を上手く使って躱す。
「これならどうだ!」
俺は突きの形で攻撃を仕掛ける。
それに明里も突きの形で返してくる…
──これはっ…
突きの形から胴の形へと瞬時に変わり
俺の腹部を斬りつける。
だが俺はそんな事は気にせず、攻撃を続ける。
明里は後ろに跳び、その攻撃を避ける。
「お兄ちゃん、攻撃くらってるじゃん。」
「これは剣道じゃねーんだぜ?」
HP確認すると、3分の1程削られていた。
やはり体が赤くなってから攻撃力とスピードがかなり上がっているな…
それに対して俺はSPも残り少なく、スキルもほとんど使えない…だがなぜか負ける気はしない…
二刀流の方が防御力も攻撃力も高いんだろうが、一刀流になった途端、なぜか動きやすい…いや、しっくりくると言った方が正しいな…
間合いを徐々に詰め、攻撃が当たる位置まで移動する。
明里のHPはもうレッドゾーンに突入している…あと一撃だ…
お互いに隙を探す…
それはほとんど一瞬だった…
明里が刀を俺に振り下ろす…
その時、俺の体がほぼ反射的に動き出し技を繰り出す…俺の最も得意としていた技──《抜き胴》
明里のHPが減少し、勝敗が決まった。




