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第6癒 魔法使いに拳を持たせろ

「かんぱーい」

やっぱり最初に飲むのはハイボールに限る。

俺たちは今、ギルドに併設されている店で祝杯をあげている。

1週間修行を頑張った俺等へのな。

「それにしても、1週間もあったら義手にも慣れてきたよ〜」

確かに、左手で食べながら右手で飲むという高等技術ができている。

ガントレットを選んでいて心配したが、杞憂だったようだ。

「さらに、右の杖で魔法を撃ってる間に、左腕だけで魔法を撃てるんだよ!」

左腕で魔法を出すふりをする。

「それすごいな。アサの火力が爆上がりしそう」

「ヒーロは一体何の修行をしてたの?」

「そういえば次はどのクエストを受けようか?」

俺はアサの発言を無視するように話す。

「ちょっと!無視しないでよ!」

「はいはいごめんって。だけど、まだ教えられないな」

そう言ってハイボールを一気に煽り、オークの唐揚げを一つつまむ。

「で、何のクエストを受けようか?」

「やっぱり力を試すなら討伐クエストじゃないかな〜?」

俺は討伐クエストの一覧を見てみる。

オーク、ミノタウロス、スライム、ゴブリン。

アサの力を試せるようなモンスターはいないな。

「雑魚ばっかだな。どうするか?」

といいながらアサに一覧を渡そうとすると、1枚の紙が落ちた。

古びていて、端はボロボロ。挙句の果てに文字がかすれている。

唯一わかることは討伐クエストということだけだ。

「なにそれ?」

「だいぶ昔のクエストっぽいな。なんのモンスターかもわからないし、危ないからやめてお」

「も〜らい」

アサは討伐クエストだとわかると有無を言わさずにカウンターに持って行ってしまった。俺も慌てて追いかけるが遅かった。俺がカウンターに着いたときには必要事項を記入し終えて、受理されていた。

「残念。ちょっと遅かったね」

「危ないって言っただろ。何で受けたんだよ」

俺は少し思っているような顔を作りアサに聞く。

「何回言っても忘れちゃうんだね。私は最強だよ?」

こう言われると返せる言葉はない。

最強の2文字は俺の止める意思を削いでしまう。

「仕方ないな。マジで準備していくぞ」

「りょ〜かい」


ここはギルドから北へ少し進んだ寂れた礼拝堂。ここに今回のダンジョンがあるらしい。

「アサ、ここでホントに合ってるのか?」

俺は少し不安になり、アサに質問する。

「もっちろん。ちゃ〜んと受付嬢さんに聞いたからね」

声は自信満々である。顔は多少引きつっているが俺は見ないことにしようと思う。

「そうか。じゃあ入り口は一体どこにあ」

ガクンッ

と膝が崩れ身体の重心が傾く。

そのまま、俺の身体は地下へと沈んでいった。


「オイ、オイカケナイノカ」

なんか私の左腕らへんから声が聞こえたような。まあそんなことさすがにないと思うんだけど一応見てみる。

なにもいない。

「よかった〜。何もいなかった〜」

「ココニイルゾ」

「うわっ」

思わず声を上げてしまった。

私の左腕が喋っている。

さすがに夢かもしれない。さっきヒーロが落ちていったのも。

とりあえず私は自分のほっぺをつねる。

夢だと思って結構強めにつねったらとても痛い。

「ジブンノホオヲツネルナ!コレハユメジャナイゾ」

夢じゃないってことは…本物?

いやいや、さすがの私でも1週間にしゃべることに気が付かないなんてことはない…よね?

「ゲンニ、キガツイテイナイジャナイカ」

「ニンゲンハヤハリオロカダナ」

この時、私が感じた違和感。これを見逃していたら、最強の二つ名を返上するほどの違和感に私は気がついていた。

「私、【気がつかないなんてことはない】なんて喋ってないよね。何で分かったの?」

そう、私は言っていないのだ。このことから導き出される結論は

「心を読める」

「ボクハココロヲヨメル。ボクトノウデシンクロシテイルカラダ」

ほぼ同時に分かる。けど、まだまだ情報が少ない。そして、ヒーロと合流しなければならない。私は多少のリスクを覚悟でガントレットと穴に向かって落ちていった。


穴に入ってから十数秒が経過した頃、私はようやく底の光が見えてきた。けど、このままだと落下の衝撃で私の身体がどうなるかなんて想像しなくてもわかる。

風圧で杖が出せない。ということは魔法も使えない。ヤバいこのままだとミンチになる。

そんな時、私の脳内が最適解を導き出す。

「ガントレット!喋れるってことは詠唱できるよね!」

私はガントレットに向かって叫ぶ。

「モチロン。ナンナラジブンデカンガエテマホウモダセル」

「おっけ」

ガントレットがシンクロしているなら、私の出したい魔法もわかるはず。一縷の望みにかけて、ガントレットへと思う。

『ムヨリイデシカゼヨ、ワガクツゾコニケンゲンセヨ』

さっきまで大きくなってきていた光が急激に拡大速度を下げる。靴底に感じる抵抗は、ガントレットが詠唱に成功したことを知らせてくれる。

そのまま優雅に着地すると、ガントレットが得意げに喋りだす。

「ドウダ、スゴイダロウ」

私は辺りを警戒しながら答える。

「うん!ガントレットがいなかったら私は今ごろミンチだったよ。ありがとう」

「ソノママタタエルガイイ」

杖を持ちながら辺りを見回すが、ヒーロはいない。

果たして自分で進んだのか、何者かに連れ去られたか。

そう考えていると、ガントレットが何かを聞いたようだ。

「イマ、ヒーロトオモワレルヒメイガシタ。スグニムカエ」

私は考えるよりも先に、ガントレットが聞こえたという方へと走っていった。


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