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リストアヒール ~無能治癒士、巻き戻しで神すら殺す~  作者: 宴元蒼井
リストアシュート編

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10/15

第10癒 スパッとやってドーン

「ナニヲヤッテイル。キヲツケロトイワレタバカリダロウ」

後頭部あたりから機械音が聞こえる。

何この音?

そう思って後ろを振り返るとアサのガントレットがある。少し焦げ跡がついているが、太陽に照らされ、光っている。

「なあ、アサ。今ガントレットが喋っていなかったか?」

「え?うん。そうだけど。それがどうしたの?」

「いやいや、え、おかしいのは俺のなのか?ガントレットは喋らないよな」

そう喋っている間に、もう一撃爆発が飛んでくる。それをあえて俺は受ける。

腕が片方吹き飛ぶが、俺は気にせずに話す。

「ほら、デカい岩のモンスターの時も喋ってたじゃん〜。詠唱もしていたし」

そういえばそんな気もする。

「ワスレルナンテヒドイジャナイカ。イマモイノチヲスクッテヤッタノニ」

「そうだ!それだよ。アサがこの爆発に気づくとは思えないんだけど、お前って自立して動けるのか?」

「ソウダ。ヨクワカッタナ。コイツハキガツカナカッタトイウノニ」

そうこう話している間に六発はこちらに向かって爆発してきた。

最初は片腕、回復。右足、回復。横腹、回復。指先、回復。髪の先。する必要なし。最後は外していた。

まあ、奪ったそばから回復していく姿を見たら、心を折られて狙いがずれるのも分かる。

外れても近づいてこないのは近接に自身がない証拠。こっちから近づいていけば速攻確保できるだろう。

けど、それじゃ面白くない。どうせなら人としての尊厳を奪っても許されると思う。だってあいつらも奪ってきたからな。体と寝床を。


「アサ、拘束魔法って使えるか?」

俺はあえて聞こえるように大声で聞く。

「もっちろん!使えるよ〜」

「じゃあ、3秒数えたら使ってくれ」

「わかった。行くよ」

1,2,3。

詠唱と同時に走り出す。

『捕らえよ!宿電の籠!ビリスカーテン!』

いた。

木の陰でしびれて動けていない。

意外と楽しみだったのに、寝床を奪ったことを後悔させてやる。

『リストアタイム』

視界がすべて遅くなる。その中でも俺は動き続け、マジッカーの胸ぐらをつかむ。

後は唱えるだけ。

『幽生換え霊生となれ!ゴースランデブー!』

「そのまま苦しめ。何も感じられぬ恐怖で」

このマジッカーは3日は何も感じられず、触れることもできないだろう。もちろん認識されることもない。俺以外には。

俺はこいつがいる場所に向き、首を掴む。そして引きずって行く。木の焼け焦げた匂いで顔をしかめてしまう。

「どうしたの?顔をしかめて?体調でも悪い?」

「いや、なんでもない。それより、犯人を捕まえたから戻ろう」

「え?!どこにいるの?どこにもいないけど」

そう言ってアサは周りを見渡す。

「今は見えないかな。魔法をかけたから」

そう言って歩いてく。俺達が通った跡には、木も、草も、何も残っていなかった。


家の前に付くと、なぜかゴージャスなパラソルと、椅子があった。要陀が手に持っているのは抹茶。しかも角砂糖3つとガムシロップが入っている。甘い匂いがここまで辿ってくる。

「あら、おかえりなさい。お疲れでしょうし、お茶でも?」

妙に優しいのがとても怖い。

「ああ、その砂糖がエグいくらい入っている奴はいらないけど。あと、お前には見えっ」

俺が言葉を紡いでいたとき、俺の右手から頭1つ分ほどの重さが消えた。その事を認識することと同時に、顔に生ぬるい液体が飛び散り、アサの頬に、どす黒い、赤い液体がかかる。その液体は右手から吹き出している。正確には、右手より少し上の位置だが。

俺は要陀の方を向く。無表情でお茶を飲んでいるが、左手は揺れている。刀を振った証拠だ。

俺は要陀に詰め寄り、問いただす。

「おい、要陀。何で殺した?なぜ見えていた?」

要陀は湯気の経っている抹茶を一口のみ、答える。

「わたしの真理の目はすべてを見透す。それだけです」

その返答には満足できず、さらに問いかけようとしたとき、急に隣から崩れ落ちる音がした。振り返るとそこにはアサが崩れ落ちている。

息も荒く、見た感じ異常に心拍が早い。

異常だ。これはなにか、トラウマが蘇ったかのような。



私は、もともと裕福な家系の出だった。母と父、そして兄。父は小規模な土地を治めており、人々に指示をして最前に立つ姿が好きだった。

兄は温厚で優しく、常に一番だった。魔法も私よりもうまく扱えて威力も速度も私以上。剣術も師範を倒せる実力。私の自慢の兄だった。

けれども、あの夜。私は確かに見た。業火に焼かれて潰えていく家の一角。私が両親を起こしに行こうとしたとき、すでに兄が両親の部屋についていた。ドアを開けたときは両親は寝ていた。寝ていたように見えた。兄の腕に鋭く、尖った、血に塗れた剣が見えるまでは。

そこから先はよく覚えていない。無我夢中でドアを開けたと思えば、兄の脇を通り過ぎて窓から脱出した。

横目で見た両親は、首から上がなくて死んでいた。

兄の横を通り過ぎる間、1つだけ覚えていることがある。

兄は確かに、こう言っていた。


「また会おうね〜。我が可愛い妹よ〜」




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