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班編成を終え警邏に出たジタンは、一緒にしたミランダから詰問を受けていた。
「ジタン隊長ってデリカシーが無いって言われませんか?」
「失礼な!と言いたいが、結構ある。だが、今回に関して言えばある程度狙ってやった。」
「・・・あれでですか?」
「何時かはバレるからな、早い方が良いだろうと思った。丁度、君も暴れたしな。」
「隊長、記憶を捏造しないでください。許可さえ出さなければ暴れる事は無かったと思いますよ。」
ラッセンがジタンの言動にツッコミを入れた。
「無理だろ。悪感が勝ってたからな、彼奴。」
「・・・そんなにですか?」
「彼奴は暴れる暴れないの前に自己紹介の時点で嫌悪感を抱いていてな。多分だが、女性に警邏隊が務まるとは思って無いんだろ。」
「騎士隊とは違う激務ですからね。」
「そうなんですか?」
ミランダが意外そうな顔で聞いてきた。
「ミランダ、入隊試験でやった項目あるだろ。特に体力試験。」
「ええ。1時間位永遠と広場を外周してましたが?」
「あの倍はキツイぞ。」
「うえっ!!!」
「はぁっはっはっは!そりゃあ担当地区全体を視回なきゃならんし、其処等辺のいざこざの解決から犯罪事件まで調査しなきゃならんから、精神的にも肉体的にもかなりクルぞ。」
そう言ったのは豪放磊落と言う言葉を体現したような巨漢の男であった。
ラッセンよりも身長は高く、横にも広く鍛えられた・・・所謂ボディービルダーの様な体付きに勇壮に蓄えた髭の御陰で年齢は判り辛いが、それでも40後半を思わせる顔つきをした。
「それだけじゃないっスよ。書類仕事も必要だし、犯人の尋問から遺品の整理、ゆっくりしてる暇はないっス。」
そう両手を頭の上で組んでいた別隊員がため息を吐きながら言った。
此方は線が細い上に痩せており、とても荒事に長けた印象は無かった。
「そんなに大変なんだ・・・。」
「ガルドさん、エル、新人を萎えさせるな。」
「事実じゃろ(事実っスね)。」
そう言って巨漢・・・ガルドは首元に手やりながら首を曲げ、痩せている方・・・エルは再度ため息を吐いた。
「この忙しさの原因って、絶対部署分けできてない事だと思うんすよ。俺、何度か捜査機関と警邏機関を別組織にする事を奏上してるっスよ。何で通らないんですか?」
「諦めるんじゃな。儂もやってはいたが、上が取り合ってくれん。何なら隊長なんて上での会議で言ってる位なんじゃろ?」
「表向きは予算の都合だと。」
「裏があるんですか?」
「裏向きは貴族の派閥争い。」
うわぁと言う顔をその場の隊員がした。
むしろ、ジタンすらもした。
何せ警邏隊の総隊長と言う事になっている存在は複数人おり、その全員が各派閥の貴族で固まっていた。
「捜査機関と警邏機関で分けると捜査機関の長になりたがる奴は多いんだが、警邏機関の長になろうとする奴がいないんだよ。」
「警邏だけだと地味でパッとしませんもんね。」
「まあな、出世じゃなくて左遷と感じる奴が多いんだと。で、蹴落としたい奴を警邏機関の長に据えようとして、大論争でどうにもならん。」
「不毛・・・。」
「じゃのう。」
その場の全員がため息をついた。
「警邏も大事なんだけどなぁ。」
ジタンはぼやいた。
「平和って重要ですよ。」
辺境出身のラッセンは平和がどれほど重要かを知っていた。
「爺になると落ち着ける時間がどれだけ重要か判るわい。」
年長者のガルドは平和の重要性を断言し、
「貴族の諍いをこっちに持って来ないでほしいっス。」
エルは貴族への不満を口にした。
「どの国でも宮廷貴族は変わりませんね。」
ミランダも不満を口にした。
だが、暫くすると全員が噴き出しながら笑い出した。
各々違う理由から不満を口にしたが、最終的に考えた事がほぼ一緒であったからだ。
つまり『何処も彼処も一緒の悩みを持つ』事に気付いたからだった。
「あ~、緊張が解れた。・・・ミランダ、こんな奴等ばっかだから、仕事には慣れなくても隊には早く馴染んでくれ。」
「そうしたらのう、穴場のサボり場所まで教えてくれるぞ。」
「了解しました。」
「さて、もう少ししたら昼だ。頑張るぞ。」
「「「「了解。」」」」
切りが良いのでここで切ります。
ガルドとエルの基礎情報
ガルドはジタンより年上の隊員。
純粋な身体能力(この場合は魔法による身体強化は無い物とする)では隊内最高峰
エルはロックより年下(ただ入隊はエルが先)
ガルドとは逆に魔法が得意




