11-5
ジタン達は昼まであと少しという所で、厄介事に遭遇した。
「・・・喧嘩ですね。」
「しかも不毛なタイプのな。」
「酒に呑まれるとは・・・嘆かわしい!!」
顔を赤らめた集団が街中で大乱闘を始めていた。
離れた場所まで匂ってくる酒の匂いと、支離滅裂な言動。
更に言えば千鳥足のまま殴りかかりそのまま横転する者や、拳を振りかぶっただけでたたらを踏み、たたらを踏んだ勢いでゲロを吐いている者までいた。
「酔っぱらいの喧嘩だが数が多い。手分けして止めるぞ。」
「「「了解。」」」」
「ミランダ、初仕事だがイケるか?」
「覚悟はとっくに。」
その顔付はやる気に満ちていた。
「じゃあ行くぞ!」
全員が歩き出し、声が聞こえる距離に入った時、ジタンが大声を挙げた。
「警邏隊だ!これ以上の乱闘騒ぎは逮捕案件とする!今直ぐ乱闘を止めろ!!」
大声で叫んでも止まる様子の無い酔っ払い達に、
「全員、捕縛開始。」
ジタンはゴーサインを出した。
「これは露払いじゃあ!!!」
ゴーサインに最初に動いたのはガルドだった。
両方の腕を水平に広げ、ラリアットの姿勢のまま集団の中心に突っ込んだ。
「ガルド先輩!身体強化は?!」
ミランダはガルドが全く身体強化をしていない事に気付いたが、
「あの人、魔法苦手!その替わり素の身体能力は隊の上位陣、気にするな!」
ラッセンがそう言いながらガルドの少し後ろに続いた。
「ぬわっはっはっはっ!ブッ飛べい!」
ガルドのラリアットに当たった者は宣言通り吹き飛ばされ、そのまま地面にゲロを吐き始めた。
無論止めようとした者もいたが、
「ワシは止まらんぞ~!」
「マジで止まんないですね。」
組み付いてきた奴らは膝蹴りで、腕の方はラッセンが上手く振りほどいていた。
「凄いですね・・・。」
「あの人が特別っスよ。あんな風に突っ込んだら最初の数人で終わりっス。」
そう言いながらエルは魔法の準備に入った。
「・・・っと、隊長。怪我少ない方が良いっスか?」
「無理だろ、圧し潰せ。」
「了解っス。・・・【障壁】。」
エルが展開した魔法は魔力で防壁を作るだけの魔法だった。
ただ、発動場所は酔っ払い達の頭上であった。
「おぉい!!!儂まだ居るんじゃけどぉ!?」
「さっさと引かないからっスよ。2秒!!」
「急げ!!!」
何をやるか悟ったガルドとラッセンは急いで酔っ払い達から離れた。
エルは宣言通り2秒後に、
「しょい!」
掛け声と共に障壁を落とし、酔っ払い達を地面に押し付けた。
「・・・障壁の魔法ってこんな使い方があるんですね。」
「魔法は威力より応用力っスよ。」
「これなら騎士団に入れたのでは?」
「無理っスね。・・・ミランダちゃん、隊長。捕縛準備宜しくっス。」
「えっ?殆ど終わったんじゃ?」
「決められたらカッコいいんっスけど、もう無理。」
そう言ってエルが出した障壁が消えたと同時に、肩で息をし始めた。
「魔力量が少なくて、騎士団の試験で不合格くらったっス。」
「技量は有るのにもったいないよな。」
ジタンが酔っ払いに近づくと、手早く縛り始めた。
「ミランダ、急げ!後数秒で回復するぞ!」
「あっ、はい!」
ミランダも駆け寄り、教わった通りの縛りを行うが、何分大人数の為手間取っていた。
その為、
「逃げるじょ。」
「うぉう。」
何人かが復帰して逃げ出そうとした。
ただ、酒に吞まれているせいで千鳥足のままであった。
これなら即捕らえられると思ったアマンダは駆け出し、最後尾にタックルを仕掛けて縛り上げたが、縛り上げている間にどんどん酔っ払い達が離れていった。
「まあ、これは俺が悪いわな。」
その時、ミランダの横をジタンが駆け抜けていった。
そのまま酔っ払いに追いつくと飛び蹴りを放ち、複数人を巻き込む様に吹き飛ばした。
「ミランダ、捕縛術を覚える為にやったんだろうが、こういう時は効率を重視しろ。」
「すみません!!」
「謝らなくていい。出発前に言った事を気にしたんだろ?それのせいだったら俺が悪い。」
「・・・解りました。」
返答に多少間があった。
どうやらミランダは気にしている様であった。
「こっち終わったんで手伝いま~す。」
ラッセン達の方は捕縛は完了した様で、此方を手伝いに来た。
「ミランダちゃん、気にしなくて良いんじゃない?隊長もああ言ってるし。」
「そうじゃぞ、気にしてたら持たんわい。」
「失敗は成功の母っス。糧にするっスよ。」
各員、そう言ってミランダを励ましながら酔っ払いを縛り上げていた。
「有難う御座います。」
ミランダも残りの酔っぱらいを縛り上げた。
切りが良いのでここで切ります。
今回の使用魔法について
障壁・・・防御魔法で魔力で壁を作る。強度や広さは魔力次第。




