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異界暗殺業  作者: 紅鈴
掛違い

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240/242

11-3

「すまないな。血の気の多い連中ばかりだが、一度実力を認めればすんなり輪に入れてくれる奴等なんだ。」

「いえ、これ位は予想していたので気にしていませんよ。」


朝礼後、ジタンはミランダや本日の班員と共に雑談に興じていた。


「書類で知っていたが、見事な格闘術だった。賞賛するよ。」

「有難う御座います。」


褒められたのが嬉しかったのか、ほぼ直角の礼をしていた。


「ただし!あくまで犯人捕縛が目的だから、これからは捕縛術も覚える様に。」

「・・・精進します。」

「隊長、厳しくないですか?」


本日一緒の班になったラッセンの苦言はジタンも理解はしていた。

だが、


「厳しくもなるさ。正当防衛とは言え、教わった武術で殺人を犯してるならな。」


これに尽きた。


「殺人!!!」

「よく警邏隊に入れたな。」

「さっきも言ったが理由が理由だからだ。」


彼女の経歴は幼少期に他国の格闘家の家に生まれ、そこで小さい頃から格闘術を教え込まれた。

その国の格闘家は所謂興行的な事も行っており、国主催の大会は一種のイベントの様になっていた。


「うちで言う闘技場みたいなもんっすか?」

「大体そうですね。ロイエンタールの闘技場では殺人も許可されてますが、私の故郷では殺人は禁止でした。」


そうして成長していったある時、悲劇が起きた。

街中で突如誘拐され、裏の格闘技大会の余興に出場する羽目になってしまったのだ。


「裏って事は犯罪組織ですか?」

「そうだな。資料によると結構な規模の犯罪組織の様だった。」

「だった?過去形って事は・・・?」

「この事件を契機に壊滅した。・・・話を戻そうか。」


裏の大会の為余興ですら殺し合いを強要され、同じ様に誘拐された子供は恐慌状態となったが、ミランダだけは違った。

余興相手に果敢に立ち向かい、子供を守りながら全ての敵をなぎ倒した。

何時しか余興の為に用意していた敵がいなくなりミランダは安堵したが、主催者である犯罪組織は違った。

本選で使うはずだった闘技者・・・それも頭が薬で完全に飛んでいる者を入場させたのだった。


「加減のできる相手ではありませんでしたし、周りを守らなければという思いもありました。」


それまでは何とか勝てていたミランダだが、流石に薬でキマってる相手には厳しく、それ迄の消耗もあり防戦一方になってしまった。

このままでは負けると思ったミランダは一か八か身体強化の魔法と父から教わったある魔法を掛け、一気に攻めかかった。


「ある魔法?」

「『きょうか』魔法です。」

「あん?身体強化は掛けたんだろ?何で強化なんか・・・あっ、字が違うのか!」

「はい。狂って理性が無くなる方の狂化魔法を使いました。」


狂化魔法は脳のリミッターを解除して莫大な力を得るが、替わりに理性を飛ばし見境なく攻撃する魔法であった。


「何でそんな魔法を教わったんだよ!」

「『戦闘中に理性を失うのがどれだけ怖いか体感しろ』と言われて教わりました。」

「格闘家あるあるだな。我武者羅に技を出すと怪我の元だし、それで負ける事もあるからな。」


この中では格闘技に造詣が深いジタンが補足に入ったが、他の隊員は理解できていない様であった。


(まあ、無理もない。警邏隊で教えている格闘技なんて素人喧嘩に毛が生えた程度だしな。)


警邏隊で教えている格闘技は確かに実戦でも使えるが、実態は捕縛術の補助位の物であり、ちゃんと武術を収めている格闘家の理論は判り辛い物が在った。


「それで気が付いたら相手は死亡、守っていた筈の子供には怯えられたんだったな。」

「まあ、そうですね。」


狂化の魔法が解け辺りを見回すと、子供に被害は無かったが対戦相手は悍ましい形で死んでおり、それによって助ける筈の子供に怯えられてしまった。


「で、大きくなった騒ぎによって場所が割れて犯罪組織は制圧。自分達も無事に救出されたが、噂が独り歩きして、君は国に居辛くなって探索者としてつい最近まで活動していた、と。」

「そうです。」


状況が状況であったし、何人かの子供の証言により罪には問われなかったが、この事件が尾を引きミランダは国に居辛くなった。

家族に相談して探索者として旅立った後は、数ヶ月に1度の手紙のやり取りだけで国に変える事は一切なくなった。


「あれ?じゃあなんでこの街の警邏隊に?探索者だって立派な職業ですよ。」


それを聞いたミランダは少しだけバツがわるそうな顔をした。


「その・・・当時のパーティーメンバー間で結婚騒動が在りまして、それが契機で探索者が馬鹿らしくなったんですよ。」

「あ~、所謂パーティークラッシュに遭ったのか。」


探索者をしていると偶にパーティー間の些細ないざこざでパーティーが解散する事があるのだが、それを契機に探索者稼業が馬鹿らしくなり、辞める事がある者も存在する。

特にミランダの様な探索者に憧れを見出していない者がよく陥る現象であった。


「元々国を離れる且つ生活費が目的でしたので。で、丁度警邏隊に追加募集が掛かっていたので、応募してみたら受かりました。」

「まあ、そう言う事だ。この隊に配属になった理由は多分、俺が格闘技の経験者で、最悪押さえられるだろうと判断されたからだな。」

「隊長も知らないんですか?」

「知るか!いきなり資料渡されて『頼む』で終わりだぞ!王城()がどんな判断してんのか、解る訳無いだろ!」


そう言いながらジタンはため息を吐いた。


「ミランダの事件に箝口令を敷く気は無いから、他の隊員にも伝えて良い。むしろ早く伝えて隊に馴染ませろ。良いな。」

「「「うっす!!」」」

「良し、じゃあ今日の業務を始めるぞ。」

切りが良いのでここで切ります。


使用魔法について

狂化魔法・・・系統外系統の魔法で脳のリミッターを外して身体強化を行なえるが、代償として理性が無くなる。


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