24話 チートな俺の眷属の話し①
お久しぶりです。相変わらずの不定期投稿でごめんなさい。さて、今回から健太の眷属である豚男の高太の話しとなりますので、健太は少し間出て来ません。
後、今回からオリジナルの魔法が出て来ます。ファイヤーランスではない魔法名です。
私達が勝手にファイヤーと言ってるだけで、別にファイヤーはファイヤーじゃなくていいと思ったからです。
今後も亀の如く進み、止める事はありませんので、これからもよろしくお願いします。
いらっしゃいと、誰彼構わず客を呼ぶ声が飛び交う。そんな声に嫌気を差しながらも街中を歩くゴブリン2人組。片方の小さい方は今にも殴りかかりそうな面構えを隠す事なく堂々と歩いていた。
「自由な店に行っていいって言われてたけどよー後輩。何か行きたい所あるか?」
「特にないっすねーいやーないっすねー」
「何かありそうだな」
「…その、悔しくも良い匂いはするなーっと思っちちゃって」
「…まぁ、そうだな」
所構わず鼻に流れるその匂いは、この2人をこの場に留めておくには充分な効果があった。
「…」
「…」
「おーい兄ちゃん達、寄ってかないかい!」
2人を呼び止めたのは豊満たわわな果実を持ったお姉さんだった。気にも留めない筈だった2人だったが、あまりに魅力的に揺れる果実に思わず目を奪われた。
「お! 寄ってくかいお兄さん達! ほら! 私自慢の串焼き!」
串焼きを自慢してるのか、何を自慢してるのかわからない行動に2人は遂に折れて店に近づいていった。
「おー! いらっしゃい! 食べてくかい?」
いちいち揺れる物に目線を奪われる2人。
「ああ。二つくれ」
「はいよ。銅貨4枚ね。ん、毎度あり。また、よろしくね」
「ああ」
そう言って銅貨と串焼き交換した。
「…」
「…」
店を離れた後、2人は黙って串焼きを食べていた。
(うまい。タレってやつが、どこまでもうまい。ゴブリンにはタレを作るという発想がなかった。食えればいい。それだけだ。女をヤッて、飯を食い、人を殺す。しかし人はもっと別のものを常に求める。タレを作り、物を売り、物を買う。最初は違和感しかなかったが、少し慣れてきた気がする。案外悪いものじゃない)
ふと、3件目の食べ歩きが終わった頃、豚男は何かを感じとったのか裏路地に目線を向けた。
「高太、ちと行こうぜ」
「はいっす」
裏路地へ向け歩きはじめた2人。しばらくすると、少し広い道へ出た。
「来たな」
豚男はわかっていた裏路地で追われる者がここへ逃げてくる事が。そしてある仮説から、追われる者と接触を測ろうとしていた。
「どいてー!」
水に乗った青髪の少女が流れて来た。豚男はどくどころか、少女の目の前に立ち道を塞いだ。
「おっと、行かせないぜ」
「ちょっと! 離して! あんた達も死ぬ事になるよ!」
「あーそいつは丁度いい。けど、俺は死なねぇ」
そんな事をしていると、追う者達が遂に追いついた。
「ちょっと! もう遅いわよ! あなた達! 殺されるわ!」
「死なねぇって言ってるだろ」
「よお、お兄さん方、その女直ぐにこっちに寄越せ。そしたら、命だけは助けてやるよ」
追う者達の人数は5人。皆フードを被り顔を隠している。しかし、隠れていてもその下卑た笑みは容易く感じ取れた。
「は! 殺さないなんて、お優しいな。それとも、俺達を殺せるかわからなくてビビってるのか?」
「チッ」
「まぁいい。なあ、お前ら悪者だろ?」
笑みは消え、殺意が豚男に向けられる。豚男は臆する事なく、逆に下卑た笑みを浮かべた。
「悪者? 悪者だったらなんなんだよ」
「いや? 悪者だったらよ、ぶっ飛ばしても構わないよなって思ってさ。次いでに女を助けるってので文句ないだろ」
「何言ってんだコイツ…おい! このイカれ野郎をやっちまえ!」
「高太。女を頼んだ」
「はいっす!」
豚男に向かって突撃して来たのは4人。1人は結界を張っている。
「死ね! 【火炎槍《フラレンス》】!」
「貫き殺せ! 【水弓《クアロー》】!」
「穿て! 【土槍《テレンス》!」
「押し殺せ! 【風槌《エアンマ》】!」
「いいね、エアンマ…貰った。それはそれとして…【風切り】!」
4対1しかし、吹き飛ばされたのは追う者達だった。豚男によって放たれた一閃は4人を容易く吹き飛ばした。
「おお、こいつは凄いな」
(前までは魔法なんて使えなかったが、今では余裕か…しかも、何の努力もなしでこの火力。これは流石に主様様だな)
「お、お前!? 何者だぁ!?」
結界を張っていた男が必死に問いかける。豚男を襲って来た男達の放った魔法は、比較的初級魔法である。初級と言っても、ここはハマジリの街。数人相手に1人で打ち返えせるのはかなりおかしなことなのだ。
「俺か? 俺はただの冒険者だ。今回はちと危ない橋へ冒険しに来た」
「はぁ?」
「まぁ、いいだろ何でも。それより、コイツらみたいに吹っ飛ばされなくなかったら、お前達のアジトを教えろ」
「…わかった。案内する。けど、1つお願いしたい事があるんだ」
「なんだ?」
「案内はする。だから、その後に俺を見逃してくれ」
「わかった」
「ありがとよ。案内するぜ」
男は結界を解除して、三人をアジトは案内する為来た道を戻りはじめた。
「あの、私をまずは安全な所に連れて行ってくれるのが、正義の味方じゃないですか?」
追われていた少女は不安そうにそう言った。豚男はめんどくさそうに頭を掻く。
「…めんどくさいからだ。場所もわかんないし。というか、俺達と一緒の方が安全だぞ?」
確かにその通りである。幾らこの街の警備員もしくは衛兵であっても4対1を覆すのは至難の技だ。
一行がしばらく歩いていると、奥から別の人物が歩いて来た。その人物の顔がわかる距離になったとき、案内をしていた男の足が止まり、顔が青ざめた。豚男は止まった男の顔を確認し、歩いて来た男がこの男の上司だと予測した。
「おいお前。まさかとは思うが、そいつらをアジトへ連れて行くつもりじゃないだろな?」
「え、えっと。これはですね」
「そうだが、なんか問題あるか?」
「へーそうなんだ。おい、お前は確か結界張るの得意だったよな。張れ。悪いようにはしねぇ。強ぇ奴に脅されちゃ、仕方ないからな。危なかった。危なかった」
「へ、へい!」
案内男は豚男達から離れ結界を張る。
「よし、ありがとさん。さて、お兄ちゃん方。悪いが死んでくれや」
「高太。女を頼んだ」
豚男が前へ進んだ瞬間襲撃者はにっと、薄く笑った。1番強いと思われる豚男が、自分の放った攻撃に気づかなかったからだ。豚男が一歩進んだ瞬間壁の両サイドから、高太めがけて水の槍が襲いかかってきた。
「バーカ」
「…」
豚男は特に気にする事なく木剣を構える。その行動に襲撃者違和感を覚える。
水の槍は確かに高太めがけて放出された。しかし、高太は燃える木剣でそれらを斬り消した。
高太の前にいた少女は半透明な水槍の攻撃に気づけず、突然左右を燃える木剣で攻撃した高太に驚いていた。
驚いたのは少女だけでなく、結界を張っている男と襲撃者の2名も驚いていた。今の攻撃は襲撃者達の間では不可視の槍と呼ばれていて、会話をしているうちに襲撃者が水属性魔法を自身の足から発動し、気づかれる事なく左右もしくは背後から音もなく突き刺すという、完全な不意打ち技だからだ。大抵の者はこの一撃で死ぬ。もしくは致命傷を追う。しかし、高太は当たり前のように斬り、豚男は当たり前のように突っ込んで来ていた。
「くそ!」
襲撃者は咄嗟に水の壁を前方に展開した。
「へぇ、面白い。ぶっ壊してやる」
襲撃者の使った無詠唱による水壁は中々高度な技である。それを豚男はわかっていた。襲撃者の水壁、豚男の風切りはどちらも放出系魔法と呼ばれている。誰でも出来る一般的な魔法であり、下手な詠唱を必要としない。しかし、威力や細かな効果などは付け辛いと言われている。
豚男は襲撃者の水壁をいとも簡単に斬り破った。そして、再び【風切り】を放つ為、構えを作った。
「【風切り】!」
「【水圧切り】!」
【水圧切り】…お風呂の桶から水を普通に落とされても、気持ち良いだけだが、その水を叩きつけるように浴びせられるとわけのわからないほど痛くなる。そんな感じのエンチャント技である。
とてつもない音が結界ないの響き渡る。少女は思わず耳を塞いだ。
少女は片目を辛うじて開ける。そこには、バランスを崩した襲撃者の姿が映っていた。
「せりゃあぁぁぁぁ!!!」
押し勝った豚男は続けて脇腹に思いっきり風切りを叩き込んだ。鉄の剣だったら真っ二つだっただろう一撃をくらって吹きと飛ばされた襲撃者は結界に体を強打した。そして、そのまま倒れた。白目になったその表情は、完全に意識を失っていた。
「うーん。手応えねーなーどいつもこいつも。おい、引き続き案内頼んだぞ」
「へ、へい」
(なんだよコイツ等、何でこんな化け物がこの街に居るんだよ。てか、誰だよ。名前聞いた事ねぇよ。豚男ってなんだよ! イジメられてんのかよ! いや、もしかして馬鹿にされない為にここまで強く…なんか、そう考えると応援、したくなるな)




