23話 チートな俺と白髪少女との買い物②
「さて、早速こちらから着てみましょう!」
フユカは店員に連れ攫われてしまった。「ひぃ…」というフユカの声を置いて。健太は思わず吹いてしまっていた。余りのテンプレ具合に。
数分後。着替え終わったフユカが出てきた。白のワンピースとシンプルな服装であった。飾りなども特になく、少しリボンが付いているくらいだ。
「どうですか? お兄さん! あまりの素材の良さに着せて見ましたが、私…浄化されそうです! というか、されてます!」
メガネがギラリと光ながら、高速詠唱する店員に健太は苦笑で答えた。因みに、健太も一瞬息を呑むほど目を奪われていた。
「…」
フユカは健太の方をチラチラ見ていて、何やら感想が欲しい様子だった。
「ほら、お兄さん! 感想言ってあげてください!」
「うむ…あまりの可愛さに思わず目を奪われたぞ」
「あっそ」
そう言ってフユカはそそくさ、着替えスペースへ逃げて行った。健太は地雷を踏んだかと頭を掻いたが、店員はフユカの頬の色を見逃さず、ふふふと後を追った。
「よかったですね。あの顔、本当に目を奪われてましたよ」
「お姉さん…煩い…」
(…男に褒められただけなのに、何でこんな嬉しいの? わからない…けど)
そう言いながら店員から新たな服を受け取ると、フユカは素直に着替えはじめた。
続いての服装はピンクと黒がメインの服だった。上は先程と違って装飾が所々あり短めで、おへそが見えている。黒色のスカートも短めで小悪魔系とも言える服装だ。髪型もツインテールになっており、それらも相まってツンツン度が追加されている気がした。健太はフユカはツンデレ…なのか? っとその時思ったのだった。
「凄いですよお兄さん! 清楚になろうと思えば、見てるだけで浄化される程の清楚になるし、少しエロスを追加すると幼い体にも関わらず太もも、へそ、目つき全てエロく感じちゃう! どうしよう! お兄さん!」
(多分お前はどうしようようもならないぞ)
「ふむ。確かにワンピースではあまり見えなかったフユカのよいところがよく表されてるな。この調子だと何でも着こなせそうだな」
「あっそ…」
(あー! もう本当にうざい! 褒められるのも、また逃げるようにその場を去ってる私も! そしてぴくぴく動くこの口も!)
フユカは口角が上がりそうなのを必死に我慢しながら一言言うと、先程と同じくそそくさと戻って行った。
「あ、待ってー! フユカちゃーん!」
店員は服をパパッと取りフユカの元へ戻って行った。余りの速さに健太は少し驚いていた。
続いての服装は白と水色の縦線がメインの服装だった。真ん中にボタンがあり、制服のような少し固い印象。下はスカートではなくズボンである。長さはももら辺までと短かかった。その為、白と水色のハイソックスが良い感じに目立っているが、先程とは違いエロさよりかはクールな印象だった。髪はサイドテールになっており、軍帽のような白と水色の帽子を被っていた。
「踏んで欲しい…踏んで欲しいですよね! お兄さん!」
「「え…」」
「え?」
気まずい空気が暫く流れた。
「こほん。やはりフユカは白や水色などの色がよく似合うな。透き通る大空の様だ。よく似合ってるぞ」
「あ…あっそ!」
我慢出来ず、顔をぼんっと赤くしてしまったフユカはスタタタタとダッシュで逃げて行った。
「お兄さんも結構恥ずかしい事平気で言っちゃうんですね。結構好きです」
「ありがとな。お前の感想も面白くて好きだぞ」
「え、あ、私の名前はラティラです。22歳独身です。はい…失礼します」
(へ? あ、どうしよう。何で私自己紹介したの? 好き何て初めて言われた。異性としての意味じゃないとはわかってるけど、何!? もう!)
いつもキモいと言われていた店員改めてラティラは、ロボのようにカクカクで戻って行った。
続いての服装はふりふりのいっぱい付いたドレスのような、白、碧色をした明るめの服だった。靴もヒールを履いており、どこかのお姫様かのように健太の目には映った。フユカのツンとした目つきがタレ目になっており、(おそらくラティラにメイクしてもらったのだろうと伺える)可愛さを全面にだしたある意味恐ろしい服装だった。
「これは…恐ろしい可愛さだな…」
開目1番健太はそう呟いた。
「ですよね…これは、その、恐ろしいものを生んでしまった気がします」
「…ありがとう」
「な!?」
健太は倒れた。言葉まで可愛さに振ってきた為に。
「け、健太!」
フユカはすぐさま健太の側に寄る。そして、体をゆさゆさしている。
「ラティラさん! どうしよう! 健太が!」
「大丈夫ですよ。多分驚いただけですって、あはは」
そう言ってラティラも倒れた。
「ラ、ラティラさん!?」
少しフユカが慌ててるのを堪能した2人は、無事な事を教える為に起き上がった。
「さてと、そろそろ買うのを決めるか」
「え? あ、うん」
健太が無事なのがわかるとささっとフユカは側を離れた。
「えーもう少し着ていきましょうよーぶーぶー」
「生憎今は手持ちが少なくてな、また今度来るから安心しろ」
「んーそれならいいですけど」
「さて、何がいい? フユカ」
「…1番最初のと最後のがいい」
「わかった。ラティラその2着を買おう。後靴も」
「はい! それでは、準備いたしますので、少々お待ちくださいませー!」
ラティラはそそくさと準備しはじめた。
(にしても美形兄妹だ。貴族様達のお顔も何回か見た事はあるけど、あの2人はその美しさに惹き劣らない所かそれ以上とも思える。本当にどこかのお偉いさんなのかな?)
そんな事を思いながらもささっと品物を揃えるラティラ。
「お待たせしました! お会計、金貨2枚もしくは銀貨200枚になります」
「ああ、わかった」
(やばいな…金がなくなる。残り金貨一枚分あるか、ないかだぞ。明日はクエストに行かなくてはな)
健太は金貨2枚で支払った。ゴブリン集落分の報酬金を受け取っているとはいえ、とても余裕があるとは言えない状況だった。
「ありがとうございました! またのお越しをいつまでもお待ちしてます!」
ラティラに見送られた後健太とフユカは帰路についた。
「今日買った服は明日から着てくれると嬉しい」
「うん」
「俺も他の服着てるところ見たいからまた来ような」
「…うん」
今朝と違いピリついた雰囲気ではなく、少し柔らかいような空気が2人の間に流れていた。
「……ありがとう健太。可愛い服着れるのは、その…嬉しいかも…」
「そうか。なら、買った甲斐があるというものだ。今後も欲しいものがあったら気軽に言ってくれ」
「うん」
何とかフユカの機嫌を取り戻した健太。フユカは服の入った袋を大事そうに抱えながら、夕日に隠れるように口角を少し上げた。




