16話チートな俺とゴブリンの巣①
ルナの告白から少し時は経ち、二人はゴブリン王が起きるのを待っていた。
(生き・・・てるのか? 生かされたのか?)
ゴブリン王はゆっくり目を開けた。視界に映ったのはすこし橙色が混ざった夕暮れの空だった。痛みはあまり気にならず、それよりも、生きていることを実感する為、ゴブリン王はただただ息を吸って吐くことを繰り返した。少しすると、何かが立ち上がる音がした。音はゴブリン王の元へ近づいてくる。顔に当たる手前で、音は止まった。
「どうやら起きたようだな、ゴブリンの長」
健太はゴブリン王を見下ろしながらそう言った。ゴブリン王は忽ちため息をついた。
「お父さん! よかった、生きてた・・・!」
「娘よ、何故お前がこんなところに居るんだ?」
「そ、それは、その・・・体勝手にというか、本能的にという感じで」
ルナはもじもじしながらそう言った。ゴブリン王は目を凝らしてみると、娘が人間の姿になっているのを理解し、再びため息をついた。
「たく、俺の娘を勝手に持ってくとはな人間。だが、強い奴を好きになれと言ったのは俺だ。だから、これ以上は何もいわねぇ・・・で、どうするんだこれから。俺の事も殺さなかったって事は何かあるんだろ?」
ゴブリン王は背を起こした。ゴブリン王の問いに健太は黙って頷いた。
「だが、話しはお前の巣に戻ってからする。そっちの方が色々楽だからな」
健太はそう言うと、洞窟へ歩を進めた。ルナとゴブリン王もその後に続いた。
〈hr〉
「さて、ここまで来るでばいいだろう」
健太達は先程ゴブリンナイトと戦ったところまで戻ってきた。
「俺がお前含め、部下を殺さなかった理由。それは、平和条約的なものを結ぶ為だ」
「平和条約的なもの?」
ゴブリン王は訝しげにオウム返しした。
「簡単に言うと、俺達人間と、お前達ゴブリンがもう争わないようにする為に来た、ということだ」
「それは無理だな。俺達がどれ程の間争ってきたと思っている。お前達は俺達の仲間をいくら殺してきたと思っている? そして、俺達はお前達人間をいくら殺し、陵辱の限りを尽くしてきたも思っている? 消えないんだよ、この憎悪に満ちた関係はな」
健太はまったく動じることなく、口を開いた。
「そんな事は知りはしないが、大抵察しがつく。だが、これについては対策はある」
「何?」
「教育だ」
「は?」
健太は不適な笑みを浮かべた。ゴブリン王は気味悪そうに健太を睨んだ。
「人間とゴブリンは仲良し、というか、まぁ、最低限敵ではないと教育するんだ」
「俺らの憎悪はどうなる」
「我慢しろ、そんなもの」
ゴブリン王は歯軋りをした。
「わかった。お前にも教えてやるよ。ついて来い人間。そんな、馬鹿みたいなこと言えなくしてやるから」
ゴブリン王はそう言って洞窟のさらに奥へ進んでいった。ルナは不安そうに健太を見た。健太は何か気にすることなく、ゴブリン王の後へついて行った。




