15話 チートな俺とゴブリン王の娘
洞窟の入り口で健太とゴブリン王の戦いを見ていたゴブリンは、駆け足で健太に近づいていった。駆け足の音で何かが此方に近づいてきていることがわかった健太は音のする方へ体を向けた。
「最初に言っておく、私はお前と敵対する気はないから殺さないでほしい」
ゴブリンの思いもよらない一言に健太は呆気にとられた。
「コホン。突然だが、私はお前に惚れた! 父を倒した男に惚れるのは間違っていると思うけど、それでも、この胸の高鳴りは我慢できない! 私はそう育てられてきたからだ! 責任をとってほしい!」
健太は何も言えなかった。ゴブリン改め、ゴブリン王の娘の意味のわからない、怒涛の告白についていけなかったのだ。
健太が何も言わない為、ゴブリン王の娘も何も口に出すことはなく、辺りの空気は地獄と化した。
「こ、答えは?」
重い口を先に開いたのはゴブリン王の娘の方だった。健太の答えがあまりに遅い為、我慢できず聞いたのだろう。
「待て、とりあえず状況を確認するぞ? お前は、俺の事が好きなのだな?」
「そうだ」
「わかった。で、なぜ惚れたのだ?」
「私は父から強い雄を好きになれと言われ育てられてられた。お前は、私が今まで見てきた中で一番強い! だから、好きだ!」
「成る程、お前の気持ちはわかった」
「わかったか! なら!」
「いや、答えはいいえだ。ごめんなさいだ。つまり、無理だ」
「そ、そんな拒否しなくてもいいじゃないか」
ゴブリン王の娘は右手で胸を押さえ、苦しそうな仕草をする。
「理由を説明するぞ」
「う、うん」
「まず、俺は人間だ。お前の容姿は今ゴブリンそのものだ、生理的に無理だすまない」
「な、私の知ってる雄どもは胸があって、穴にぶつをぶち込めればいいというのに、人間は違ったのか」
「そうだ、違う。いや、厳密に言えば人間でもそういう奴はいるかもしれないが、俺は違う。そして次に、俺の事が好きな理由だ。お前は強い奴が好きと言ったな? 百歩譲って俺より強い奴がこれからあらわれたらどうする? お前はそいつのこと好きになるだろ? 俺はそんなもので離れる女が、彼女なのは嫌だ」
(・・・我慢できないから、だから、伝えた。だけど、この人間は本来的である私の告白を少しでも考えてくれた。何故だろう。少し、顔が熱い)
健太からの返答が予想外だったのか、ゴブリン王の娘の頬は微かに赤くなっていた。
「しかし、外見とかで判断するのは俺はあまり好きではない。だから、お前に一つ提案があるのだが」
ゴブリン王の娘は黙ったまま頷いた。
「俺の眷属にらならないか? どうやら、眷属になったらお前はゴブリン兼人間になる。これで、容姿の問題は解決できる。後は、どうにかして俺を惚れさせてみろ」
「わ、わかった! 私はお前の眷属になる! それで、お前を絶対惚れさせてみせる!」
ゴブリン王の娘に迷いはなかった。ただただ、健太からのお誘いが嬉しかったのか、元気よく返答した。
「よし、今日からお前の名は、ルナだ!」
【佐藤健太様から眷属の証として『ルナ』と言う名を授かりました。この名を受け取り、自らの名前とし、健太様の眷属となりますか?】
【はい いいえ】
ゴブリン王の娘は迷いなく、はいの方に手を置いた。豚男の時と同じく、ルナの体を青い炎が全身を包み込んだ。炎は数秒で消え去り、中からは、黒髪ロング、黒目の全体的に少しふっくらした人物が立っていた。
「これで、容姿は解決したか!」
「そうだな、うーん。一つ言うなら、痩せていた方が好みだ」
「ガク」
人の姿にはなったものの、この先も道は遠そうと、そう思ったルナなのだった。




