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第4話 さよなら 愛するあなた

私がチワワでいられるタイムリミットが迫ってきた。

それは、私の一周忌。


最近は、俊二も雑誌に連載を書くようになり、収入も

安定しているようだ。


私との日々を綴ったブログ本も、先日出版されてなかなか評判のよう。

私は安心するのと同時に、残り少ない日々を意識して

心寂しい思いもする。


(私がいなくても、心配しなくても、俊二は生きていくのだ・・・)と。


そんなある日、直子がいつものように家にやってきた晩の事。

俊二との話が終わったのか、部屋から出てきた直子が

泣いていた。


そして、足下にいた私を抱き上げると、こう言った。


『ミッキー聞いてくれる?俊二がね、今度奥さんの一周忌が過ぎたら、結婚しようって言ってくれたのよ。』


(アア、来るべき日が来た・・・)と私は悟った。


『でもすぐ一緒に住むわけでもないの。まだ心の整理がついていないらしいから・・

でもね、将来的にはそうしたいって言ってくれた。私はそれだけでも、十分よ。十分嬉しいの・・。』


とめどない涙が、私の顔に落ちてきた。


(そう、ありがとう。俊二をよろしくね。)


その時、たぶん、私も泣いていたと思う。


直子は、献身的に俊二に尽くしてくれていた。

仕事の面でも、精神的な面でも、物心共に・・・。理想的な相手だ。


(さようなら、俊二。ありがとう・・・。幸せにね。)


翌朝、私はただの犬になったのだ・・・。


そして、気付くと・・・

温い川を渡っていた。

川の向こうにはお花畑。咲き乱れる花を背に

私が高校生の時に病気で亡くなった母親が立っている。

私が川岸にたどり着くと、母は抱きしめてくれた。


『こんなに早く来ちゃって・・・。』と母

『仕方ないわ。美人薄命だもん。』

『そうね、長ければいいってモンでもないわよ。人生は。』


母がそう言って笑う。


そう、私は心から愛する俊二と巡り合い、精一杯生きた。

終わりはあっけなかったけど、また何度でも生まれ変わり、

俊二の側にいて、見守っていくわ。


愛するあなた、幸せに・・













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