アジト襲撃Ⅶ
―いや~、フリード君いいシゴトしてるね!
勿論いま彼等がドタバタと追いかけているのは、俺の"ゴブリンシャーマン"と"ゴブリン"だ。
普通ならばヒトより背が低いゴブリンは、すぐにスタミナが切れて追いつかれるはずだが、カードモンスター達は疲れ知らずだ。
全力疾走をいくらしても、スタミナが切れる事はない。
逆にフリード一行の方が、息切れしはじめている。
昨日の夕方からセッティングした焚き火に、すぐ食い付いてくれるかな~?と思ったが、フリードはなかなか冷静なようだ。
今も"ゴブリンシャーマン"と"ゴブリン"を別方向にそれぞれ逃げさせたが、"ゴブリンシャーマン"の方に集中して追っている。
フリード達も二手に別れたら、少ない方から各個撃破してやろうと思っていたので、アテがはずれてしまった。
まあそれは副次的なもので、第一目標は順調だ。
第一目標とは当然、拐われた人達の救出である。
実はフリード一行がアジトを出発してから暫くして、バルストさん冒険者達とミールさん、それに"グレイウルフ"一体と"アルラウネ"で、アジトを襲撃中なのだ。
特に"アルラウネ"は、わざと逃がした盗賊三人組のひとりにリュックを背負わせ、その中に潜ませた。
バルストさん達がアジトを攻撃し始めると同時に、リュックから飛び出してアジトの内から大暴れ中だ。
敵は十数名の盗賊達だけだ。
しかもそのうち三人は、例の逃がした三人組だ。
この三人組、逃がす時にまずアジトまでダッシュで行くように『お願い』した。
息も絶え絶えな状態の方が、多少不自然な所があっても誤魔化せるかと思ったからだ。
で、彼らに言った事は二つ。
ひとつは"ゴブリン"が、60匹以上いると伝えること。
それを全部鵜呑みにしなくても、少々手強いと思わせれば成功だ。
お陰でフリードは戦力の殆どを引き連れ、アジトはかなり手薄になった。
もうひとつは"アルラウネ"の入っているリュックを、拐われた人達の檻の近くに置いておくこと。
乱戦になった時に、拐われた人達が人質にならないよう、彼女がガードするためだ。
これに関しては留守番役の盗賊達は、人質にするという考えができるアタマもなかったようで、"アルラウネ"は守りから攻撃に方針を変更して暴れている。
あと俺達が攻めて来たら、さっさと逃げろと言ってある。
バルストさん達は少し渋い顔をしたが、最終的に赦してもらった。
まあ司法取引みたいなモンか?




