アジト襲撃Ⅵ
この見張りが登っている大樹は、元々この空き地にあったものだ。
この空き地をアジトにするとき、他にも数本の樹木が生えていた。
そのなかで一番背の高いこの大樹だけを残して他は伐採して、伐採したものは周りを囲う柵の材料とした。
そして残ったこの一本の枝葉を殆ど落とし、物見櫓がわりとしたのだ。
もとより森を上から監視していても、殆どは木々の枝葉に隠れて見えない。
だが飛行系のモンスターの襲撃や、アジトが襲われた時の弓矢台として残しておいたのだ。
「灯りだと?どこからだ?」
フリードは樹上にいる盗賊に怒鳴った。
「ちょうど洞窟の所です!
たき火のようっす、木々の間から見えるもんで2、3ヶ所見えます!」
フリードは最初、こちらへ向かってくる、ゴブリンの松明かと思い身構えてしまった。
だがヤツらは、洞窟の周りで宴会をしているようだ。
「バカにしやがって!俺達を何とも思ってないということかっ!」
フリードは一瞬怒りに任せて、このままゴブリンを襲いに行く指令をだしそうになった。
だが寸でのところで、冷静さを取り戻し、怒りを内に納めた。
「…明日の朝だ…、みていろよ、ゴブリン共め。ありったけの苦しみを与えてから殺してやる!」
側にいた戦士が、その時のフリードの顔を見ておもわず怯む。
それほど彼の形相は、凄まじかった。
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翌朝、空が朝日に明るみ始めると同時に、フリード達一行は、昨晩たき火が見えていた洞窟の方へと出発した。
周囲を警戒しつつ、一時間程かけて洞窟前に到着する。
しかしそこにゴブリンの姿は無く、まだ煙がくすぶっている、十数ヶ所のたき火の跡だけだった。
「チッ!逃げ出したか?」
フリードがそう呟いた時、10m程先の茂みからゴブリンシャーマンともう一匹のゴブリンが現れた。
「!」
ゴブリン達はフリード達を見つけると、一目散にもといた茂みに逃げ出した。
「追えっ!逃がすな!殺せっ!」
部下達に命令を出すと同時に、フリード自身もゴブリンを追いかけて走り出す。
それを見て慌て、他の者達も追従して走り始めた。




