アジト襲撃Ⅴ
―やはりコレはこちらから仕掛けた方が良いだろうな…。
フリードは暫く考えて、そう結論をだした。
たしかにこの場所は周りを柵で囲い、守り易くなっている。
だが同時に囲まれれば、逃げ場がない。
勿論、この者達が言っていた通り60匹いたとしても、おくれをとるつもりはない。
だがここには、拐ってきた者達がいるのだ。
せっかく苦労して集めてきたのを、乱戦等になって数を減らされてはたまったモノではない。
それよりはこちらから不意打ちを仕掛けて、一気に蹂躙してしまう方がいいだろう。
フリードはそこまで考えて、空を見上げた。
時間は既に夕刻を過ぎ、夜の帳がおりかけている。
これからはゴブリン共が活気づく時間帯である。
「ふむ、襲撃は明日の早朝としよう。
ただ今晩にもヤツらの夜襲があるかもしれん。警戒を今晩は倍にしろ!
それと明日の襲撃にでる20名を決めておけ。」
勿論それに加えて、残りの戦士二名も連れていく。
だがそれだけでは、万が一本当に60匹もいれば心もとない。
フリードはテントから出て、中央の広場に行くと、おもむろに呪文を唱え始めた。
【サモンスケルトン】である。
ネクロマンサーが最初に習得する呪文だ。
フリードを中心として、それを囲うように多数の魔方陣が浮かび上がってくる。
闇色の魔方陣ひとつひとつから、手に剣と盾を持った骸骨が浮かび上がってくる。
魔方陣が消えたあと、そこには骸骨の戦士達が眼窩に青白い光をたたえて立っていた。
その数、11体。
フリードはこの呪文を、約半日に連続で二回唱える事が出来る。
ただし一度に操れるのは、この11体が最大である。
だが倒されて数が減れば、もう一度呪文を唱えれば良いのだ。
つまり戦闘中に、最大22体のスケルトンを出せる事になる。
それに加えて今回のように、事前に11体召喚しておいて、半日後に戦闘を仕掛ければ、合計33体まで操れる計算になる。
下位のアンデットモンスターとはいえ、強さは召喚主の強さに比例してくる。
少なくとも、この森をネグラとしているゴブリンの多くより強いはずた。
整然と並んで立つスケルトンを見て、フリードは勝利を疑わなかった。
その時自分のいる所より、20m程むこうにある大樹の上から、盗賊のひとりが彼に大声で呼び掛けた。
「フリード様!むこうに灯りが見えます!」




