アジト襲撃Ⅱ
盗賊共の戦闘は、あっという間に終わった。
というより、殆ど戦いにならなかった。
急襲で左右から攻撃、最初の数秒で三人を倒すと、残りの三人はすぐさま武器を投げ出し、両手を頭上に挙げた。
状況判断が素早いのか、単にヘタレなのか、たぶん後者なのだろう。
俺のモンスター達に囲まれ、三人固まってガクガク震えている。
フフフ、まあ都合がいい。
俺の考えた小細工は、ビビりのヤツの方がいいのだ。
三人の回りをモンスター達で囲ったまま、手持ちの武器から鎧まで完全に武装解除させる。
ステータスの後にあるプラス数値が無くなるのを見てればいいので、俺に隠しておく事は不可能だ。
案の定、三人の内の一番小狡そうなヤツが、ステータスのAT値にプラス30の数値が残っている。
たぶんナイフでも隠し持っているのだろう。
この時点で俺がモンスター達の間から、三人の前に進み出る。
モンスター達が俺を恭しく扱う(ように打合せ済み)のを見て、俺がモンスター達を操っているのが解ったのだろう。
三人が驚愕の表情を浮かべる。
そこで俺は先程の小狡いヤツの前に立つ。
不必要な位にニコニコした顔で、
「貴方は何故、武装解除を命じたはずなのに、まだ武器を持っているのですか?」
と言った。
その瞬間、ソイツは驚きの顔を見せるが、一瞬迷って懐からナイフを抜き出し、飛び上がって俺の脇腹に突き刺してきた!
だがこれも半ば予想済みだ。
ソイツの突き刺しに任せる。少しチクッとしたが、それだけだ。
ナイフはそれ以上、俺の皮膚を傷つけることは出来なかった。
全く何の防具も着けていない俺に、傷ひとつつけれないのが解ったのだろう。
「ひえぇ」と言って、ナイフを手放し、その場にへたりこむ。
ソイツのステータスをみる。
ディッツ Lv 2
(ヒューマン/盗賊/男/土属性)
A T:230/230
D T:310/310
「オイタはいけませんねぇ、まあ私は寛大なので、『今回だけ』許してあげましょう。」
『今回だけ』の所を強調して言って、俺は彼の耳元に囁く。
「ホントにだめですよぅ、『ディッツ』さん」
「な、なんでアンタ知ってるんだよっ!」
彼はもう真っ青な顔になって、歯をガチガチ鳴らしていた。
―ヤベェ、コレ面白すぎるわ(悪趣味)。




