救出イベントⅨ
敵戦士のひとりが長剣を振りかぶりながら、"アルラウネ"に1m程まで近づく。
その瞬間、"アルラウネ"はぐっとしゃがんだかと思うと、敵戦士に頭突きをかました!
ズドムッ!
「げはぁっ!」
こっちまで頭突きの音が聞こえてきた。
敵戦士はそれこそ1mは、浮かんだんじゃないだろうか。
…だが"アルラウネ"、それはやっちゃーイカンよ。
"アルラウネ"が頭突きをかました所は、まあ男にとってとーても大事なトコロだったのだ。
…うあー、俺ヒトが白目をむいて、泡ふいてるの初めてみたよ…。
もうひとりの戦士はそれを見て、ドン引きしている。
だがお陰で時間は稼げた。
"アルラウネ"が頑張ってくれている間に俺は、"ゴブリンシャーマン"を【カード一覧】に下がらせる。
目の前でモンスターが突然消えて、盗賊共(×3人)は驚いている。
その隙に俺は距離をつめる。
盗賊のひとりが俺に気付いて、身構える。
そこで俺はおもいっきり足に力を込め、盛大にジャンプをした。
この世界に転生して、俺の体はレベルに準じてとんでもなく強力なものになっている。
もちろん筋力もそうで、そんな力でジャンプをしてみると…
俺は盗賊共の頭上、はるか高く数m上空を飛び越えた!
「「「っ!?」」」
盗賊共は口を三人ともアングリとあけたまま、俺の着地(予想以上に高く飛べて、焦って着地でコケてしまった)までバカみたいに見ていた。
転生して数日、怒濤の毎日だったので、自分の身体機能を把握していなかったが、やっぱ今の俺の体はとんでもねーわ!
ニッポンにいたら、間違いなくワールドレコードだ。
とにかくこれで、最後の冒険者さんの目前に到着出来た。
同時に一度引っ込めた"ゴブリンシャーマン"を再び呼び出し、護衛につける。
「!」
それを見ていた、"アルラウネ"と対峙していた敵戦士が、
「コイツだっ!コイツがモンスターを操ってるぞ!
コイツを殺せっ!」
と俺を指差して叫んだ。
その声を聞いて、先程の飛び越えた盗賊三人、それと別に近くにいた盗賊ひとり、それと最初に"盲目"状態になっていたがそれから回復した戦士が、俺に向かって殺到してきた!




