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3話「神とプロットマシーン」

微かな音が聞こえて目が覚めた。辺りを見回すと、背後に誰かが立っていた。 


「やっと目が覚めたようじゃな」 


くそ、待ちくたびれたぜ。やっと会えたか、俺のヒロイ...ん?まて、こいつ今"じゃな"って言った?


眠い目を擦ってよく見ると、汚らしい服装に変な三角の帽子。伸び切った白髪で、口には髭を蓄えた老人が立ってる。


手には棒切れを持ち、それを俺に押し付けている。


「おい、じじいじゃねぇか」


えらく引っ張ったボケというか、何というか。何時間待ったと思ってる。大体歩いてくる距離がおかしいだろ、もっと近くから来いよ。それで初めての登場人物がじじい?ふざけるな。


「わしゃ神じゃ」


「神?」


神はこくんと頷くと、右ポケットをまさぐる。そして巨大な装置のような物を取り出した。その装置を俺の真横に置くと、満足そうな顔を向けた。


「おわっ、なんだこれ!今どこから出した?てかサイズ感おかしいだろ!」


老人は装置の横に立ち、持っている棒切れでトントンと叩く。そして装置についているレバーを数回叩き、今度は棒切れを俺の方に向けた。


「これを...使えってこと...?」


神はコクンと頷き、満面の笑みを浮かべた。

よく分からんが、どうやらこの装置を俺に使って欲しいらしい。


俺は何の気なしに右手をレバーに近づける、その瞬間あることに気がついた。


「俺って...右利きだ...!」


それは初めて自覚した、俺というキャラの"設定"であった。今の所、男であること以外、なにも知らされていない。だから右利きである事すら、これは俺にとって立派な設定であった。


俺は自分の"定められし右手"で、装置に付いているレバーのを引き下げる。すると装置は唸りを上げて作動した。  


真ん中にある3つの画面が回転し、それぞれの上部に「タイトル」「世界」「テーマ」と振り分けられていた。どうやらこれはスロットマシーンのようだ。だからなんだというのか。


俺の今の心境は、このマシーンへの興味なんかより、なにが起こるのか分からない恐怖の方が優っていた。


「おい頼む説明してくれ!これは何だ!?俺はこれからどうなる!」


装置の轟音で聞こえないのか、神は耳元に手を当てるジェスチャーをした。


俺はもう一度大声で質問をした。するとようやく聞き取れたのか、神は大声で答えた。


「わしゃ神じゃ!」


「お前2つしかセリフ用意されてねぇだろ」


「やっと目が覚めたようじゃな」


「こいつ...!!」


どうやらこの神は、"やっと目が覚めたようじゃな"を"YES"、"わしゃ神じゃ"をそれ以外として使っているらしい。


ん...まてよ。このじじいが神だとしたらだ、この世界において創作者、あるいは同等の立場にある、という事になる。つまりこのルーレットは...


「タイトル、世界、テーマ。この組み合わせで、今後俺が活躍する物語が決まる。つまりこれは"プロットマシーン"って事...だな?」


「やっと目が覚めたようじゃな」


「やかましいわボケ」


そしてついに、俺の運命を決めるプロットマシーンが動きを止めた。

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