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ディノの願い事

たくさん誤字脱字報告を頂いたのでそのお礼の話。これで最後です。

改めて誤字脱字報告ありがとうございました。

「……ちょっと十年程、セイラを鳥籠に入れようか。それか俺以外を認識できないように術をかけるのもいいな」


 ディノさん、十年はちょっとじゃないし私は鳥じゃないです。あと、ディノさん以外を認識できない術とかあるんですね。知らなかったです。

 言いたい事はたくさんあるけど、ディノさんが静かに怒っているので反論しにくい。




 何故こんな事になっているのだろうか。エマと話していたら突然ディノさんに連行され、部屋に入った途端強く抱きしめられている。

 そして耳に囁かれる不穏な言葉の数々。


「セイラは最初に告白して以来、俺から誘導しないと『好き』と言ってくれないのに、他の奴には簡単に『好き』と言うんだな」


 これは怒っているというより少し落ち込んでいる?


「セイラに『好き』と言われた奴ら全員消したくなって困るし、俺以外に『好き』と言うセイラをお仕置きしたくて本当に困る」


 違った。衝動を我慢している呟きだった。

 私そんなに好き好き言っていないと思うけど。さっきエマと話していて『大好き』と言ったけど、それ以外だと……あ、龍ノ助君からプリンを貰って嬉しくて言ったような気がする。

 ん? でも龍ノ助君と話していた時は、ディノさんがいなかったから知らないはず。エマから聞いたのかな。


「ディノさんへの『好き』と周りの人への『好き』は種類が違うと言いますか……ディノさんへの思いにはラブも入って」

「ラブってなんだ?」

「えっ、えと、その……あい、あぃ、あいし」


 改めて言葉にしようとするとものすごく恥ずかしい。

 自分の頬がどんどん熱くなっていくのがわかる。

 ディノさんは私から身体を離すと、どこからかラッピングされた箱を取り出した。

 それはクリスマスプレゼントでディノさんにあげたやつ!


「確か、この中に入っていた菓子に不思議な模様が入っていたよな。その意味も教えてほしい」


 それ絶対知ってるやつ!


 なんだか恥ずかしくなって視線をさまよわせると、ディノさんの背後の壁に飾られている額縁が目に入る。その中身はディノさんに渡したラブレター。


 あれ私が書いたやつ!

 なぜ飾っているんですか⁉︎ 金の豪華な額縁に入れるようなものじゃないです!

 クリスマスは龍ノ助君に聞いたと言っていたし、もしかしてハートマークやLOVEの意味を教えた犯人も龍ノ助君……? 今度会ったら確認しなければ。


 そんな事を考えていると、いつの間にか天井を見上げていた。


「はぇ?」

「俺といるのに他の奴の事を考えただろう?」


 ディノさんが覆いかぶさってくる。ベッドに押し倒されたのだ。この体勢は、クリスマスの夜を強制的に思い出させる。

 私の目の前にプレゼントのひとつとして渡した『なんでも言うこと聞く券』をヒラヒラと振りながら、ディノさんが妖しく笑った。


「これの願い事が決まった」

「ど、どうぞ」

「いつか……セイラ自身の手で俺を殺してくれ」

「重い!」


 なんでも言うこと聞く券ってもう少し軽い感じではないだろうか。一日一緒に過ごしたいとか、おそろいのものが欲しいとか。レモン達のお願いが可愛いものだったから油断していた。


「仕方ないだろう。セイラに俺以外に好きと言うな、俺以外見るな話すな声を聞くな……なんて無理な話だ。それこそ監禁する以外には。

 だが、セイラは呪いの中に移動禁止がついていたせいで、あの屋敷に十年閉じ込められていた。やっと自由になったのに、俺がまた自由を奪うなんてできるだけしたくない」

「それがなんでディノさんを手にかける話に……」

「俺は一度セイラを閉じ込めたら二度と出せない。セイラの心が壊れてしまっても、むしろ喜ぶと思う」


 それたぶん喜んじゃダメなやつ。


 微笑みながら話すディノさんの目は楽しそうに細められていたが、満点の夜空のような綺麗なネイビーブルーの瞳がどんどん輝きを失い仄暗くなっていく。


「我慢できなくなったら前もって言うから、その時は俺を終わらせてほしい」

「……私はディノさんとデートしたり、美味しいものを食べ歩きしたり、一緒に働いてみたいです。いつかディノさんとの子どもを授かったら子育てもしてみたいんです」


 私の言葉にディノさんの瞳にうっすらと輝きが戻り始めた。


「なので、やりたい事をやり尽くした後なら私を閉じ込めていいですよ」

「……いいのか?」

「はい。だって私を閉じ込めている間、ディノさんは私しか見ないんですよね。こんなに嬉しい事はないです」

「俺がここまで心動かされたのはセイラ以外いない。これからもセイラだけだ」


 手をとられて指先、手の甲とキスされた。次に顔が近づいて私も自然と目を閉じる。そして、とある事に気がついてキスを遮った。

 ディノさんが不満そうに眉を寄せたが、これだけは有耶無耶にできない。


「ごめんなさい。お願いを他のに変更してもらってもいいですか? 私はディノさんを殺すなんて無理です」

「そうだな……」


 ディノさんは身体を起こすと私を抱き上げ自身の膝の上に座らせた。向かい合わせの体勢が初めてで途端に鼓動が早くなる。お互いの息遣いがわかるほどの近さ。少し首を倒せばキスできてしまう。

 ネイビーブルーの瞳の中に自分が映り込んでいるのがわかる。目を離したいのに離せない。

 ディノさんはシャツのボタンを外し、首元を緩めると人差し指で首を指し示す。


「ここに、俺がセイラのものだというシルシをつけてくれ」

「しるし?」

「強く吸って痕を残してほしい」


 それってキスマークをつけろということですか。え、無理。恥ずかしい。

 ぶんぶんと顔を横に振って拒否を示す。


「以前セイラに噛んでいいと言ったのに、甘噛みだけで歯型も何も残してくれなかったから」

「ディノさんに痛い思いはさせられませんよ」

()()()()言うこと聞く券なんだよな?」


 さっきディノさんのお願いを却下してしまったから断りづらい。

 意を決して唇を寄せ、強く吸いついた。唇を離すとほんのりと赤くなっている。


「できました」

「念のためもう一回つけてくれるか?」


 ディノさんの言う通りに先ほどより少し下の位置にキスマークをつけた。ディノさんは愛しそうにそこを撫でると、今度は私の服に手をかけ脱がせようとしてくる。


「えっ⁈ なんで」

「お返しに俺も痕をつけようと思って。見える所につけるとトゥナがうるさいから見えない所に……」

「だからって脱がせなくても、あ、っ!」


 そういえばディノさんを噛んだ時もお返しにいっぱい噛まれたんだった。


 私が痕を残したのは二ヶ所のはずなのに、倍以上の痕をつけられたと思う。




 ★




 セイラが俺を殺せない事ぐらい知っているさ。

 監禁していいと許可も貰ったし、セイラは俺との子を望んでいると聞けた。予想以上の収穫だ。

 この首の痕が消えてなくなる前に新しいシルシを望もう。セイラにも付け直して、セイラが俺のものだと周りの奴等に知ってもらわなくては。

 不用意に近づかなければわからない場所に痕を残した。それでもセイラに手を出そうという奴には消えてもらうか。


 セイラがいるのに他の女を勧めてくる奴。死ね。

 セイラの力を利用しようとする奴。くたばれ。

 セイラを養女にして義理の兄になろうとするツリ目騎士。潰す。

 それを面白がった友人二人。殴った。


 何が後ろ盾は多いほうがいいだ。うるせぇな。そんなの知るか。セイラは俺のだ。誰にも渡さない。

 問答無用で消さないだけありがたく思え。


 少しばかりセイラは有名になりすぎた。ハエがうるさくて困るが、セイラを縛る良い口実でもある。

 そうだ。セイラにかけた術の精度も高めなくてはならない。音は問題なく届いていた。だがリューノスケに気づかれるようではまだまだだ。

 あいつは探知系の魔術が得意そうだ。訓練の内容に手を加えよう。俺の知らない事を教えてくれるし、意外と役に立つ。


 じわりじわりと囲い込もう。優しく真綿で包み込むように。

 ゆっくりゆっくり閉じ込めよう。そこが檻だと気づかぬように。

 獲物(セイラ)自身がそこを気に入れば鍵なんて必要ない。終の住処の出来上がり。あとは俺達二人だけ。

 もし失敗したら堂々と監禁すればいい。子どもは見えない鎖になる。


 まずは俺の腕の中にいる事が当たり前になってもらおうか。


 そんな事を考えながら、疲れて眠ってしまったセイラが起きるまでその愛しい寝顔を堪能した。



 終わり!

最後の人物紹介。ちょっと先の未来の話。


セイラ

黒髪赤目。前世は30オーバーの会社員。

呪われている時代の食事が粗末なものだったため、前世の記憶がある分、日本の食べ物への執着が強い。

監禁されても毎日美味しい食べ物さえ与えとけば満足すると思う。

働き出すと仕事に厳しいディノと周りとの緩衝材の役割になって重宝される。

ディノとの間に娘が二人できるよ。


ディノ

銀髪。瞳の色はネイビーブルー。うっすらヤンデレ。

セイラを見る時だけ目が煌めく。本人無自覚。

子どもはセイラを縛りつける鎖程度としか考えてなかったが、実際に娘が生まれると子煩悩溺愛パパにジョブチェンジ。「嫁には出さん!」さりげなくヤンデレ英才教育を施す。

娘の一人がリッカルドと結婚したいと言い、もう一人がフラヴィオを好きだと言い衝撃を受ける。

それを見たファルコが「あ、じゃあ、もう一人作ってオレの子と結婚させようよ!」とか言い出して、キレたりするよ。

不安に思う間もなく忙しいので結局監禁できない。でも、たまに一ヶ月ほどセイラと部屋に閉じこもったりする。

なんだかんだ幸せ。



お礼の話はこれでおしまいです。

ありがとうございました!

またどこが別の作品でお会いできたら嬉しいです。

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