第73話 宇宙収縮事件を起こした奴の末路
パラレルワールド管理局も急激な宇宙収縮に手が打てなかった。
彼らに大きな力は無い。そう、収縮を止めるような手段がなかった。
そもそも、監視者であるパラレルワールド管理局にそれを期待するのは間違いである。
収縮した宇宙は、全体の7割にも達した。そこは闇。
収縮した後には、ゆっくりと空間が生み出されていった。
豆腐を粗い布で絞ったように、ブチブチと新しい空間がその孔から飛び出してゆく。なんとも奇妙だ。
その空間が集まって、回転しながら新しい宇宙が膨張してゆく。
あるところでは、空間の揺らぎで物質が生まれ、集まってゆく。巨大な物質の塊はやがて内部で核融合が始まり、恒星が誕生した。
ここは、通称テーラと呼ばれる惑星。パラレルワールド管理局の事務所がある
惑星テーラは、直径3・5万キロメータで、大きな内陸が5つある。その中心がブルー大陸、その中心が白桜の都。そしてそこには、一軒の小さな茅葺屋根の家。
この小さな家にパラレルワールド管理局がある。
いや、外見だけだよ、小さいのは。入れば広いよ。
広い道と建物、たくさんの人が行き来している。
パラレルワールド管理局員は、レベル10の知的生命体だ。外見はもちろん不定形なのでなんでも良いのだが、一応、2足歩行で身長140センチメートルぐらいの少年、少女を標準にしているようだ。
理由は、まあ”弱そうに見える”ってところかな。おれも最初は騙されたよ。
宇宙収縮事件から300年。パラレルワールド管理局は、残された生物の調査と再調和の仕事に明け暮れていた。確かに神的存在と言っても、時間と行動範囲などが一瞬でどうこうなるわけでもない。
ブチブチと発生する新たな宇宙は、生物が住めるまでには10億年は必要だろう。
まあ、現状の宇宙でも十分に生物は繁栄できる。ただ、調和は必要だ。2度と予測外の宇宙収縮事件を起こしてはならない。今日も、事件の真相と究明に多くの人が取り掛かっている。
それはそれとして、現状の調和に必要な手段の一つとして、多くの星にゲートを設けた。それは惑星と惑星を瞬時に接続して、他から他へ、知的生命体を文化文明とともに運び、全体の融和を図って行くのが目的である。それによって、文明の偏重を和らげることができると考えている。
いやー、パラレルワールド管理局の思惑なんて、わからないよ。
俺は、ある星に隔離された。時々パラレルワールド管理局が覗きに来て、いろいろな話をしたところで、推測したのがこれまでの話だ。
俺が隔離された、その星には、太陽が3つあって、一時間に一回りする。白色と黄色と、青色の太陽が巴になって回っているのだ。
星の名前は”魔女の星”、入ったら出られない、袋小路の星だよ。
”なんてところに押し込んだのだーー!”って叫んだよ。
「どお??。真に迫っていたかな?」
「「「へぇー、おじさん、ひょっとして、すごいの?」」」
「そうだよ。一瞬で宇宙を消滅させたのだからな!」
なんて、おれは、小僧や嬢ちゃんを前に、一席ぶっていたところ。
信じるか信じないかは、本人次第。
この中から、第2、第3のルーレットが生まれるかも知れないだろう。
ここは、魔女の星。ガルバ王国のはずれにある小さな村。そこに俺の家がある。
パラレルワールド管理局が、俺に用意してくれた家だ。




