第72話 フーリエの町作り
ここは、ノルダ開拓地の北。
東西200キロメートル、南北1000キロメートルの広大な草原で、南の1割程度が入植済みとなっている。
今回は、その続きで、南から50キロメートルの地点に南北100キロメートル東西200キロメートルをフーリエたちに用意した。
20万人が移ってくるので、取りあえずそのくらい充てておこう。
「じゃあ、整列!」
フーリエ族の第1陣が、降りてきた。200人である。
まず、少人数で村の運用を確認しながら、拡大してゆくつもりだ。
「私は、あなたたちの世話をするようにマスターから命じられたカトリーヌです。これから配るこの道具は”クワ”と言います。これを土にこのように当てて、土を起こしてゆきます」
「掛け声をかけますので、それを合わせてクワを使います。1で、このように掲げます。2で下に振り下ろします。3、4で手前に引きます。それではやってみましょう」
面白いと言っては不謹慎だが、実に面白い。
生まれて、ずっと電脳の世界で時間を過ごしてきた彼ら、彼女らは素直だ。皆の顔つきは明るいと言いたいところだが、おっかなびっくりで、腰が引けている。
最初から衣食住を提供するのは、甘えだとカレンが言うので、農耕から家づくりにも精を出させた。リーダーは、ガルゴ。統率力は確かだ。
「カトリーヌさん、家の作りはこのようでいいでしょうか?」
200人の内訳は、子持ち夫婦が30組で130人、夫婦2人が5組、単身が60人である。夫婦家族には一軒家、単身には、女性用と男性用を作る。地面に深さ50センチメートル、直径6メートルくらいの円形の大きな穴を掘り、5本から8本の柱を立て、横にも細い木を渡して、その上に茅を葺いてゆく。まあ、これで雨風がしのげる。中は中心に囲炉裏、周囲には木組みのベッドを配置した。
レベル7の仮想世界住人たちには、かなり辛いところがあると思うが、魂を得るまでは無気力なホムンクルスがベースなので、問題ないはず。
一年が経ち、先発隊の200名はすっかり落ち着いた。そろそろ魂を入れようか。
それに先立ち、神殿を作った。
この星には宗教、八百万の神々なんだ。唯一神ではない。だから至る所に祠や偶像が立てられている。まあ、それはそれでいいので、一番尊い神様と言うことで、”クオン”とお呼びすることにした。
(ちなみに八百万の神々を信ずるのは農耕民で、唯一神を信ずるのは狩猟民族だと聞いたことがある。厳しい自然の中では、一つに限定するのが統一感が出て利用しやすい、と歴史の先生が言っていたね)
神殿は、20メートル四方になるよう頭大の石を3人丈の高さに積んで、南より入って北側に祭壇をつくる。また南の入り口には左右に石の柱を立てる。右側の円柱には、“生あるものは魂を捧げよ”、左側は“生無きものは魂を望め”と刻んだ。正面には、5メートル四方の大きな祭壇を設けた。
すなわち、この祭壇に向かって、お祈りをすると魂をもらえると言う、仕掛けを作った。
一連の作業は、アズサとタロウの魔法で建造した。
早速、フーリエ族の先発隊の200名を神殿に導いた。
その結果は、混迷の??、ではなかった。
そこかしこで喜びの声が上がり、我々関係者は胸を撫で下ろした。
ここは、マレイの家の居間。
パラレルワールド管理局のペリーとマリー、フーリエ族のカナチ、ガルゴにヤエ。
こちら側は、フリオ、アズサ、カレン、タロウ、ソフィアとカトリーヌ。
「いろいろありましたが、成功を祝いましょう」
「「「カンパーイ」」」
20万人がすべて、地上に降り立つまでには100年かかる。
その間、フーリエの町は発展してゆき、20年後にはフーリエ王国ができた。




