第67話 僕の母船の仲間たち
翌日、エスペーロの町から、ヨハン・カガクがやってきた。
「ヨハン・カガク様、お初にお目にかかります。ルーレット・カガク様の執事を仰せつかっておりますセバスです。よろしくお願いいたします」
ヨハンは五年前、母船にアンドロイドの保安要員に任せて、全員がこの星に降りてきた。そして、エスペーロの町に住んでいる。
セバスは、ヨハンから、宇宙収縮厄災とヨハンたちの、今までの経緯を聞いている。
「左様でございますか。しばらく気持ちの整理に時間がかかりそうです。ヨハン様たちは、皆さんお元気なんですね。よろしければ、皆さんにもお会いしたいです」
一方、僕は改めて、赤い尻尾邸の居間で、メイド達と向かい合った。
「あの時は、冷や汗ものだったよ。まさか妃が一緒に降りてくるなんて。で、お前はフェアリーなのか?」
「ルー様。お久しぶりです」
おれは、周囲のことも忘れて、フェアリーを両手で掻き抱いた。
忘れたことは無い。ずっと気になっていた。
少しの間、フェアリーの嗚咽を聞き、ゆっくりと手を離した。
つづいて、妃のアヤメ、妃のユキ、妃のコウメ、妃のボタンの4人を順次抱きしめた。
「よしよし、寂しい思いをさせってしまった。ごめんね」
メイドの振りをさせたのは、セバスの計らいであった。50年ぶりに合うルーレット・カガク様の周囲にいらぬ波風を立てないようにと。まあ、危惧ではあったのだが。
改めて、こちらのカレン、アズサ、タロウ、ソフィーズだと、妃たちに改めて紹介した。
「フリオ・・・。まあ壮大な人だものね・・・」とアズサは一人納得していたようだ。
フェアリーは、あの宇宙収縮厄災に遭遇したらしい。気が付いた子供たちが救難艇にフェアリーを乗せて、外宇宙に打ち出した。その後、外宇宙をさまよっていたところをパラレルワールド管理局に拾われた。身寄りを聞いたところ、ルーレット・カガクが夫だと言うことで、セバスのところに連絡が来たそうだ。それが20年前。すぐにでも僕のところに降りてゆきたいところを、セバスの説得で今日まで待っていたとのこと。
フェアリーと僕が過ごしたあの星も宇宙に消えていったということだ。
フェアリーとの思い出に浸るのは、またの機会にしよう。
母船から、2000人が次々と赤い尻尾邸の庭に送られてきた。
僕は一人ひとり、肩を叩き、手を取り合ったり、抱き合ったりで、再開を喜んだ。
母船の同朋は、ファミリーズと名付けた。
ファミリーズは、ホワイト町に定住することになった。生活に関する支援は、ソフィーズが当たってくれる。
家を建てたり、家具を調達したりで、取りあえず赤い尻尾邸や青い館を一時生活場所にして、徐々にホワイト町に移動していった。
ファミリーズだと言っても皆がウサギさんではない。3割ぐらいかな。長い耳と赤い尻尾は。
一番多いのは4割の狐種。その他、商いの先々で加わった人たちが、いろいろ。
ここは、赤い尻尾邸の庭にある四阿。
フェアリーと二人でまったりと午後の時間を過ごしている。
「ルー様。実は子供を一緒に連れてきているのですが、一人出してもよろしいでしょうか?」
出す???。フェアリー自体が集合体であったことから、あり得ない話ではない。
「やっとお会いできました。お父様」
フェアリーの手の上に、こぶし大の僕のミニチュア版が乗っているではないか。
長い耳に、赤い尻尾。僕ほどではないが、ちょっと出たお腹。
まあ、5000年も生きていると大概のことには驚かないけど、びっくり!。
「ルー様。この子は、アレンと言います。後、900人ほどいますので、ついでに呼びましょう」
「「「「「お父様。よろしくお願いします」」」」」
こぶし大の、僕が900人。一斉に挨拶をした。
「おぉぉ・・・」絶句!。
「えぇーと、ルー様。この子たちは5人に集合できます。あなたたち、アレン、サム、ローラ、キャサリン、トモエに集合してね」
目の前に、身長120センチメートルの子供が現れた。フェアリーと、この5人はフェアリーズと呼ばれる。
カレンとアズサ、ソフィーズを呼んで、子供が5人増えたことを伝え、受け入れの手助けをお願いした。
カレンや子供たちは、自分の経緯を考えると、フェアリーズのことも難無く受け入れた。
(((フリオ・・・。まあ壮大な人だものね・・・)))




