第65話 ゲートが開いた
パラレルワールド管理局から、転移者を受け入れてほしい旨の要請があった。
宇宙収縮厄災の時、パラレルワールド管理局は可能な限り魂を救済して、亜空間に退避させていたそうだ。
人種が住める星は限られている。その中でも、イベリス星は優良物件らしい。
今回の要請を受けて、青の館の北東100キロメートルのところにゲートを設置した。サルツ開拓地である。
遠く離したのは、万一攻撃的な転移者だった場合、防御、隔離するためである。
サルツ開拓地は、東西100キロメートル、南北50キロメートルのおよそ矩形型で海と山、川が揃っている。
受け入れ領域には、物理障壁、魔法障壁を設置した。微生物やウイルス類や寄生するものは、転移時にふるい落とされるらしいので対策は不要とのこと。
しかし、安全サイドの対策は打っておこう。
今回は、レベル5の世界で、飛行船が墜落する事故があったそうだ。その乗務員と乗客が転移者らしい。武器は転移と同時に取り除かれる。
初めてのお客さんだ。
サバイバルを楽しんでもらおう。いや、単に様子見だよ。意地悪はしない。
空の一点から、銀色の飛行船が姿を現した。
次第にその大きさを現し、浜辺に激突した。
破片が周辺に飛び散る状態だ。
乗っている人は無事だろうか?
転移先に長テーブルと椅子を用意した。
「代表者がおれば、こちらに来てください」
「代表者のキンダンです。アンカットに向かっている途中、乱気流に飲まれ、気が付いたらこの地に居たのです。あの機体の損傷から全員助からないと思っていたのに、戸惑っています。それにここはどこですか?」
「ここは、魔の星イベリスです。我々は、あなた方に、この地で生き延びることを望みます。僕は、この領地の代表フリオ・マレイです」
(・・ねえねえ、あのウサギさんが代表だって。ここは夢なのかしら・・)
「こちらの、ルイス・マレイとファティマ・マレイがこれからの生活指導を行います。従ってください。この二人が法です。逸脱する場合は拘束します。それから、こちらのアオシとモモコが皆さんのお手伝いをします。決して奴隷ではありません。必要な場合はお願いしてください。拒否権はこちらにあります。以上、くれぐれも問題をおこさないように」
(ずいぶん高飛車な物言いだね)
(でも、あの時を思い出すと、きっと我々は死んでいたよね。それを生かしてくれるというのだからラッキーだよ)
(ひょっとして、ここは異世界??。チートなんて神様がくれるの・・・)
そうして、飛行船に乗っていた1200人が、新しい生活を始めた。
その後、ゲートは徐々に増えてゆき、50年後には56か所になった。そして、転移者も90万人にのぼり、既存の人口の600万人の15%になった。
色々な形態の人種が集まってきたが、基本的には宇宙主流形である。
トラブルには、主にタロウが出向いており、力押しもできるモモコとアオシを連れて対応している。
中には、折角新しい住処ができたのに、自暴自棄で暴れる種族もいた。このような場合は、基本は結界の中で放置である。




