第56話 城壁が見える”果ての集落”についた。
遠くに城壁が見える。昔の地図からだと”果ての集落”らしい町に見える。
どんな人種がいるのだろうか?
迷いの森と隣り合わせの最果ての町。ここには銀の鉱山がある。多くの鉱夫や商売人で賑わっており、人口は3万人ほどである。
この容姿では怪しまれないか?、或いは捕らえられることも?。
カレンの服や容姿も、あの城壁の向こうにいる人たちと変わらないようにする必要がある。
様子を見るために、この辺にキャンプしよう。
「周辺には、人も家もないので、ここに家と耕作地を設けて定住してみようか?」
「良いですね。ここで一家団欒ですか、うれしい」
とカレンがウネウネしだした。
その前に、定住するならば、この地を管轄しているところに許可が必要だろう。
テントを張って、キャンプの準備をする。
二人で、近くの農家や旅人を見て回った。気づかれないようにね。
服装や、人、獣、家畜、荷物など。そして、会話も。
”果ての集落”の城壁の門では、カンガルー人や、犬人、猿人など、様々な人種が出入りしている。これならば、ウサギ種の僕も問題なさそうだ。
城壁の門に進んで、門番に近づくと。
「そこで止まれ!。君たちはどこから来たのかな?」
「西から。旅の行商キャラバンからはぐれたの」とカレンが答えた。
「そうか。一応入門許可証を発行するので、こちらへおいで」
難しいことはなかった。名前を書いて、滞在の要件はキャラバンとの合流を待つと書いた。
「フリオさんとカレンさん、タロウさんのご兄妹ですね。とソフィアさん、グリンさん、にゃん吉さんですね。迷いの森からではないよね。北から来たのかな?。となると野獣や魔物に襲われませんでしたか?」
「兄は強いので撃退しながら、この町に辿りついたのです」
「ほぉー。それは豪儀ですね」
「すみません。不慣れなため、今夜の宿を紹介してほしいのですが?」とカレン。
「この道を100メートルほど行くと、”あかつき亭”と看板が右手に見えます。そこが手ごろですね」
「ありがとうございます」
それにしても、グビィーたちには、何も言わなかった。
確かに、我々のグビィーに似たような者が荷物や人を運んでいる。
グビィーたちとスムーズ会話できるのはカレンだけなので、カレンが聞くところによると、同じ種だそうだ。
僕たちは、ミレーユ王国を探りに来たのだ。今後の交易相手として優位に立てる方策を練るために。
僕とタロウはウサギ種、赤い尻尾がチャームポイントだよ。カレンは20歳、タロウも15歳のまま。
町の中を二人でそぞろ歩き。人間種の少女とウサギの獣人の組み合わせだね。
店屋で拾った情報によると、この町は、ゾロという町長が仕切っているとのこと。
さて、ここかな。観音開きのドアを開けて、中に入りカウンターにむかった。
「こんにちはー」
「いらっしゃいませーーにゃ!」
いたいた、猫耳の可愛い少女が店番かな?
「門番の人に紹介されたのですが、泊まれますか?。3人部屋と一人用が三つですが」
僕とカレン、タロウが一部屋。グリン、にゃん吉、ソフィアはそれぞれ個室。
「4人部屋と個室が3つお取りできますにゃ。おひとり様一泊1000マルで、朝晩の食事つきです。連泊ならば割引がありますにゃ」
「それじゃあ、とりあえず10日でお願いします。それと宝石を買い取っってくれるところあります?」
「宿賃は宝石類でも良いですにゃ」
「じゃあ、これでどうかな? 数はあるので」と言って、袋の中を見せた。
「ルビーですにゃ。ちょっと、オットーに聞いて来ますにゃ」
厨房の方に駆けていった。
「お待たせにゃ。この大きさならば一つ24000マルで充てられますにゃ。・・・にゃあ???」
どうも、計算が苦手なようだ。
1000マルが6人で6000マル、10日で60000マル、24000マルのルビー3個で72000マルになると、おつりが12000マルですねと、カレンが説明。
「あ・・わかりましたにゃ。3個いただきますにゃ。おつりはこれで。それでは、カギをお渡ししますにゃ。2階の奥の右手の部屋ですにゃ」
「あ!、私の名まえはタマヨですにゃ。よろしくにゃ」
荷物を置いて、町の散策に行く。
市場調査だよ。穀物や根菜類の種類と値段。
小麦が、20キログラムが1500マルぐらい。大豆が1キログラム400マル。
ニンジンが1キログラム300マル。ジャガイモが1キログラム200マル。
ニンニクがあったよ。ひとつ20マル。
毎日、商店や屋台に首を突っ込み、楽しい毎日を6人で過ごした。
町の人々は僕やグリン、にゃん吉たちを見ても、驚きもしないし、普通に接してきた。むしろ、美人なカレンとソフィアに目を奪われた青年がちらほら。
「アズサも連れてきてやれば喜んだだろうにね」
「マレイ領の領主が不在にするときは、アズサが犠牲なんだね」とタロウ。
「ハハハハハ」
さて、今日は7日目。そろそろ拠点探しをしなくちゃ。
紹介してもらった不動産屋を訪ねた。
「こんにちは。家を借りたいのですが?」
「はい。どのようなものをお探しでしょうか?」
町の中に商店を持って、商いを始めたい。
もう一つ、郊外に倉庫や畑を持って、野菜や花、薬草などを育てたい。いかにもここで生産しているものを売っているように見せかけるために。
「花屋を始めたいので、小さな家を借りたいのですが」
「これなどはいかがでしょうか?」
候補を3つほどに絞って、案内してもらった。




