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第55話 迷いの森の向こうにある国へ

森人の協力により、僕たちは迷いの森を西へ向かっている。


マレイ領と西側に位置するミレーユ王国とは、大きくて暗い迷いの森が行く手を阻んでいる。

どちら側からも通りぬけることはできない。運良く森に食われなければ、森に入ったところに戻ってくる。

ミレーユ王国での噂では、数千人の兵士が消えたそうだ。三人のみが戻ってきたが、精神に異常をきたしており、森の中のことは全く語らなかった。



ミレーユ王国と忘却の地を結ぶ唯一の道は、海岸線のみ。年に一度、大潮の3日間だけ、引いた波打ち際を必死に走れば、この忘却の地に辿りつける。しかし、年寄りや子供は難しい。

ヤマネ町などの祖先は、その海岸線を必死に走って忘却の地に達した末裔である。


さて、ここで迷いの森を踏破できる種族が存在している。それが森人である。

ミレーユ王国にもヤマネ町の連中にも、森人の存在は伝説の中にある。

その森人たちが、僕たちの側に住んでいる。


ミレーユ王国との交易を始めたいということで、森人のグリンに相談した。

そうしたら、快く了承してくれた。


但し、マレイ家の人々とフリオが許可した者に限る。そして、”森人の鈴”を鳴らしながら通行すること。

こぶし大のカウベル”森人の鈴”は、二つの機能がある。一つ目の機能は、耳には聞こえない音が出ており、それが迷いの森の木々に通行の許可を知らせている。そして2つ目の機能は、行く手の木々やブッシュを開いて前に道ができる。



今日は、忘却の地から迷いの森を通ってミレーユ王国へ向かった。森人グリンを先頭に僕とカレン、タロウ、ソフィア、にゃん吉が続いている。

徒歩ではなく、グビィーたちに乗せてもらっているので、視点も高く快適だ。


迷いの森は、東西200キロメートル、南北は南の海岸から北は砂漠迄続いており、山あり谷ありで、もちろん道はない。グビィーの足は時速20キロメートルほど出るので、10時間かければ一日で踏破できそうだが、それは山あり谷ありなので、途中一泊することになった。まあ、想定内だ。



日暮れには、まだ時間がある。周りの様子も見たいので早めに野宿の準備を始めた。


「グリン、この辺に野営したいのだが、問題ないか?」


「そうですね。もう少し先に草原がありますので、そこが良いでしょう」


30分ほど歩いて、目的地に着いた。


「カレン、ソフィア、タロウ、ここにテントを張ろうか」


「「「わかった」」」


近くに小川があって、早速、猫の手で魚をゲット。にゃん吉が涎を流している。

一応、キュア魔法で、寄生虫や毒を取り除いた。


野外でバーベキューだよ。

カレンが資材を次々と出して、並べてゆく。タロウが食材をぶちぎりしてゆく。

美味しいね。にんじん、セロリ。


シロとアズサ、ソフィーズの子供たちはお留守番。と言うか子供たちも大きくなって、それぞれに仕事や課題を持っているので離れなれないというのが事実。


お父さんは寂しい。

アズサは、なにはさておき着いてきたがったが、それは保安上と言うことで、今回は断念。次回連れてゆくからと説得した。


ミレーユ王国に着いた暁には、マレイ領の代表としてミレーユ王に謁見する予定である。

そのための、正装衣装や、ほどほどに豪華な馬車などを用意した。


いくらでも入れられる収納袋があるので荷物は少ない。


マルコスが残した調査記録の中から、この世界の地図を取り出した。ここは、迷いの森、ここを越えると人が住んでいるらしい

”果ての集落”、そしてミレーユ王国の領地と書かれている。



翌朝、しばらく行くと、開けたところに人のような動物?がいた。


「あれは、人なのか?」

「いえ、亜人種ですね。社会的な群れを作りますが、言葉もカタコト程度です」


そこには、大きな足をたたんで座っている、おれと目線が同じ位置にある人のようなものが、20人ほど居た。その中でも大きい、一体が近づいてきた。大きい。立ち上がると2メートルを越えそうだ。


「&&&&&&?」

「カレン、翻訳を頼む」


『おまえたち、俺たちを襲うのか?』

「襲わない。物を交換したい」


『わかった。物、見せろ』


うーん。記憶では地球という星のカンガルーに似ているかな?

後ろにいる、数人のお腹には袋状の物が見えて、子供の顔が覗いている。

言葉は未発達、レベル1の有袋類だな。


カレンの通訳が優秀。

手振り身振りと口振り、唸り声を言葉に変換して僕に伝えている。

その逆も然り。


 おれは、さかなの干物とか、にんじん、カボチャなどを並べた。

途端に、お母さんたちが突進してきた。あれよあれよと、持って行かれた。

このままだと、タダどりされたことになるのだが?。


 しばらく様子を見ていると、奥の方から、交換品を持ってきた。

芋、芋、芋・・。何種類も芋が置かれた。

『これ もってゆけ』


サツマイモ、ジャガイモ、サトイモなどなどが、並べられた。

「交換の品はもらった。また出会えたらよろしく」

カレンが収納した。


「ところで、君たち以外の人種は、この辺で見たことないかな?」

『西へ10日ほど行く、大きな町ある、会える。』


おれたちは、そこを離れ、一路西へ向かった。

しかし、彼らはこの迷いの森で生きている。森人みたいなものだろうか。



先ほどのカンガルー人のリーダーのステータスは、

魔力:1

魔素力:1

体力:5

精神力:1

防御力:2


まあまあだな。


乗ってきたグビィーたちと、何か会話をしているように見える。

グビィーがお腹の横から何かを取り出して、物々交換をしている。


へぇー。グビィーのお腹には収納スペースがあるのだ。


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