↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/75

第54話 廃都市からの珍客

私たちは目覚めた。


200年後に目覚めるようにセットして眠ったのだが、どうも数千年経ったようだ。


我々は長年かけて魔素と精霊という二つの素を開発した。

そして、それを実証するために、この星系に来た。


大星雲の片隅に冷え切った恒星とその周りに惑星が数個あるだけ。

最も近い恒星までは50光年離れている。

我々は、テラフォーミング計画を立て、10年をかけて住める星にした。

星の名前はイベリス。


直径2万キロメートルの人工太陽を50万キロメートル上空に配置した。核融合炉がベースであり、およそ10億年の寿命がある。太陽は常時イベリスだけを捕らえて光を放射する。

白い太陽は万物を照らす光、黄色い太陽は魔素を、青い太陽は精霊の光を放射する。

この星と月、そして太陽の制御装置は、あの太陽の後ろの外側に位置するので、地上からは見えない。



我々は特殊な能力として魔法が使えることになった。しかし、魔素は、多くの宇宙に共通する電子物理を阻害する。

 光子、電子、陽子、核、元素、分子などからなる物理の世界に、それ等を制御する素を開発したのだ。

それを魔素と呼ぶ。それをあまねく放射する星を作った。黄色い太陽だ。


イメージと簡単な言葉で、物理の世界を制御できること。

例えば、火をイメージしながら『ファイアー』とつぶやけば、空中の酸素と炭素が反応して炎が発現する。

岩が砂になるイメージを浮かべながら『サンドチェンジ』とつぶやけば、目の前の岩が砂になる。


魔法と精霊の世界は、われわれの憧れであった。この地で最終的な検証を終え、明日、3つの太陽へ火入れ式を行う。

そして、我々は魔法と精霊の世界を満喫することになり、数千年の月日が過ぎ、栄華の限りを尽くしたのである。


魔法で、何でもできるということに飽きてきたのだろうか。仮想空間を開発してからは、人々は自分の好きな世界に旅立ってしまった。横のつながりがだんだんと細くなっていって、ついに個人の特定ができなくなった。すなわち居なくなった。


そして、滅亡の未来が迫ってきた。

一時は、仮想世界の疑似人格を含めて、10億人がこの世界を席巻していたのだが。


終がきて、魔女である私と、わずか1000人弱になった同胞とともに眠りについた。

覚醒する条件は、我々と異なる知的生命体の接近である。



来た!。

私は目を覚ました。

500メートルに、そのものたちが接近してきました。

眼のモニターを調整して、見えた者は。


あれは、カガク家の者ですね。

長い耳に赤い尻尾。確かにウサギ種のカガク家の者に違いないです。

再び商売に来たのでしょうか?。


前回は、太陽の外郭を補強するため、シェーロを調達してもらいました。有能な商売人です。

まあ、良いです。様子を見てましょう。


周りに、子供と思われる大きさの者が十数人と、白い大きな犬 !あれは聖獣様ではありませんか!。

それに、あの成人の女性は、人ではないですね。

エルフのような子供たちと、あぁぁ・・もう何なんでしょう!。

嬉しさのあまり、身体が震えます。



私の名前はマリル。

とりあえず、彼らの様子を見るために、近づきたいのですが、あの聖獣がきっと気づいて、皆に知らせるでしょうね。もうしばら、このまま観測して危険が無いことを確認しましょう。



「こんにちはー」


「わう」


「聖獣様、ここを通してくださいませんか?」


「わう。(久しぶりだな。通るが良い)」


「誰か来たみたいだ。アズサ、見てきてくれないか?」


「フリオー、大変だ。よくわからないけど・・・・」


アズサの横に、アズサとそっくりな人が立っている。どちらがアズサ?。


「あたしはマリルと言います。あなたが、ここの長でしょうか?」


右側のアズサが口を開いた。本物と思われる右側のアズサは笑いを堪えている。


「フリオ・マレイと申します。御用をお伺いします」


マリルの言うことには、あの廃都市の生き残りで、5000年のコールドスリープから目覚めたと。その目覚めの条件が”知的生命体の接近”で、その知的生命体が、廃都市を調査に来た僕たちだったと。

あれから、2年。マリル達は、我々を観察していたらしい。


マリルたち生き残りは1000人ほどで、レベル8の精神体であると言った。アズサに擬態したのも、なせる能力らしい。そして、彼女らの要求は、一緒に暮らしたいとのこと。


全く、僕の周りには、どれだけ稀有な人たちが集まってくるのだろうか。

マリル達には憑代としてホムンクルスを用意した。


そして、青い館の北方10キロメートル先に、1000人の村ができた。名前はマリル村。



ここは、赤い尻尾邸の庭の東屋。

僕とアズサ、カレン、タロウ、ソフィアとマリルが座っている。

マリルから、この星の誕生秘話を聞かせてもらっている。


「へー、じゃあマリルさんは、魔女なのですか?」


「そうです。昔はですね。しかし、もうこの星を統治する気はありません。静かに暮らしたいと思っています」


「それより、カレンさんは人ではないですね。なぜに、ここまで人に近いナノマシンがいるのでしょう?。いや、失礼しました。ちょっと想像外でしたので」


「それには、ちょっと話が長くなるのですが、いいですか?」と僕が話を受け取った。



お茶とお菓子で情報交換は、幾たびも行われた。

そして、困ったことがあれば、相談にのってくれるらしい。

良い隣人ができた。うれしい。


マリルは、ことのほかアズサに興味を示し、次期魔女の椅子を担ってほしいと嘆願していた。


(廃都市とこの世界の始まりは、次の機会にお話ししたい。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。