第53話 エスペーロの町ができる
町の名前は、エスペーロ。
一挙に、人口3000人の町ができることになった。
住人はフリオと同じウサギ種と狐種など様々で、ウサギ種はフリオと同じように、赤くて可愛らしい尻尾がチャームポイントだ。
「ヨハン。町づくりの計画が出来たら、見せてくれ。必要な資材や人員を調整したい」
「ありがとうございます。是非お願いします」
「ルーレット様、こちらのホワイトの町を参考に計画させていただきました。それで、戦争とか侵略とかはあるのでしょうか?」
「まあ、大型の獣除け程度の柵があれば大丈夫だよ。それで、資材が揃ったので、そろそろ皆を呼んでみようか?。当分テント暮らしになるかと思うが、冬までには家に入れるようにしようではないか」
仮設住居としてのテントを張って、水汲みや料理の支援にアオシとモモコを200人用意した。
どう使うかは、ヨハンに任せる。
青の館の前、ヨハンが降りてきた広場にメッセージを大きく書いた。
”移住の許可が出た。保安員を除いて、全員降りてこい”
それから3か月、行政を立ち上げて、3000人を適材適所に振り分けた。
そして、道路を作り、家を建て、上下水を張り巡らせたりして、町を作った。
それから、畑も作った。
町作りに先立ち、簡単な魔法は生活が楽になるので、魔法学校から特別授業を開いた。
”炎よ出でよ!”
”ウォーター出でよ!”
”育てよ!すーくすく、ワークワク”
これを基本に、教えてゆく。3000人は大変だったよ。
ここは、エスペーロの町長、ヨハンの家。その前の庭に長い耳と赤い尻尾のウサギが2匹?人。
「なあ・・。ヨハン。この綺麗な夜空は、今はもう無いんだな」
「そうです。フリオ様」
「そう思うと、無性に、あの宇宙に行きたい。再びできることなら、星間行商ギルドの再建をしたい」
「御意」
宇宙収束事件
(そうか・・。とんでもない災厄があったものだ・・・)
ヨハンの言葉が頭の中に、こびりついて離れない。
収束点に向けて、ゆっくりと坂を下りてゆく。次第に傾斜が大きく傾いてゆき、加速される。最初はゆっくりなので、感知されにくいが、気が付いたときはすでに遅し。収束点から離れようと、坂を登ろうとしても、なかなか抜け出せないのだ。空間がどんどん広がって行く感じだ。
落ちてゆく先は、どこなのか?。わからない・・。
そして、わずか10年で100億光年の宇宙が消滅した。
パラレルワールドの予測より、早く宇宙収束が始まり、急速に消滅した。
パラレルワールド管理局が、見ている数多の宇宙の一つではあるが、防ぎ難い消滅だったようだ。
数多の宇宙は、収縮・拡散を繰り返している。
なにも特別なことはない。たまたま、ルーレット・カガクが住む宇宙に、その収縮が急激に訪れたということだ。
宇宙の理どおりなのか、人為的なものなのか、今は不明である。
500億年膨張が続き、反転して500億年かけて、収縮してゆくと言われているが、実際のところ経験した人はいない。観測者が居ない。
今回は10年で収縮してしまった。予想外と言えるのだろうか?。
この宇宙の端に、避難所が設けられた。
宇宙の収縮現象が観測されて、パラレルワールドは動いた。
救助のゲートを、これはと思うところに展開して回った。
1000年後に来るビッグバンでも、その波が到達までに2万年はかかる位置に、その避難所は設けられた。
パラレルワールド管理局は急場の太陽と、惑星を用意した。
その避難所には、多彩な人種が身を寄せ合っている。
その中に、星間行商人であるヨハン・カガクの姿があった。
ウサギ型の人種である。
手の甲には白い毛が密集している。腕や足も白い毛が密集している。が、服が接する身体の部分は、毛は薄い。
体型は耳を入れると耳2:頭2:胴3:足2だね。それに太鼓腹だ。
しかし、赤い尻尾は、カガク家の特徴でチャームポイントらしい。
パラレルワールド管理局からヨハンに呼び出しがあった。
「パラレルワールド管理局のケリーと申します」
「同じく、ゲート管理係りのアンと申します」
「ヨハン・カガクと申します。どのような要件でしょうか?」
「ここから、200光年ほど外側に、魔の星と呼ばれる星があります。そこに、赤い尻尾のルーレット・カガクとおっしゃる方がおられるようです。会いに行かれますか?」
「是非、行かせてください。本当にルーレット・カガク様ならば、その方は我々星間行商人の元祖にあたります」
そういう経緯で、ヨハン・カガクたちは、魔の星にやってきたのだ。
魔素と魔力。
この二つが揃って、適切な魔法が発現する。
魔素が沢山あっても、魔力が十分無ければ使えない。また、魔力があっても魔素が無ければ同様である。
ヨハンたちの中から、マリア・カガクと言う科学者が加わった。20歳ぐらい。長い耳にピンクのリボンが巻いてある。
(片方だけで良いような気がするけど)
マリアと、ミゲル君、カーラちゃん、ローザちゃんの四人が魔法と科学の融合を進めるチームとなった。もちろん、助手にヨハンズたちから、5人が選出されてきた。
「魔素を人工的に蓄積することができそうなの」とローザ。
この世界は魔素で満ちている。あの黄色い太陽から放射され、この星のあらゆるところに降り注いでいる。ところが、地中に発散するほかに、獣に蓄積されることがある。それが魔石だ。
ウサギやネズミ、リスなど小動物では、大豆の大きさで、室内照明で10日ほどの効果だ。
人工的に魔石を作れれば、夜の灯りに事欠かなくなるし、生活品にも応用できる。また、交易品にも良いわけだ。
しかし、魔力は個人、或いは獣でしか使用できない。これは当然のこと。
そう、ウサギは、ジグザグに走ったり高く飛び上がったりするとき、魔法を使ってるようだ。魔法はイメージを具現化するものと考えれば、ウサギが次の位置をイメージすることで、ショートカットのように使えても不思議はない。
どこかの漫画に、”皆の〇〇を少し分けてくれ!”といって両手を上げるシーンがあったよ。魔素を大量に集めるには、確かに空に向かって両手を上げると効率よく魔素を集めることができる。
「さて、ここにあるネズミの空の魔石に、魔素を加えてみたいと思います」
魔素が無くなった水色の魔石が、見る見る赤色に変わっていった。
「この魔石は、生物由来なので、徐々に魔素を放出して、30日後には白い粉になってしまします。
粉を固めれば再利用できるか?って。それは、これからの課題です」




