第46話 宇宙の通貨
「フリオ先生、質問があります。先生は宇宙の多くの世界に行かれたと思いますが、宇宙共通の通貨はあるのでしょうか?」
「良い質問だね。今日は、宇宙の通貨について語るよ」
「貨幣は知っているよね。物々交換に代わるものとして発明され、金や銀、銅などで一般に流通する形ができたよ。丸いものや四角いもの、さらに紙に印刷したものも現れた。そして、手形や証券なども出てきて、デジタル貨幣なんてものあった。しかし、それらは、その地域や組織でのみ有効で、宇宙や時空において保証できる不変なものではなかった。その時ルーレット・カガクという星間行商人が、宇宙生物アマルという不変の通貨を編み出すことに成功した」
それまで、宇宙では共通通貨というものが無かった。あるにはあったが、適用範囲が限られているし、管理が面倒だなどで、流通はしていなかった。
ある星では基軸通貨が5つ、ローカルが100を超える。さらにデジタル通貨なんてコンピュータ上で運用される形態まである。それを網羅することはできない。だから基本的には物々交換になる。欲しければ、それに見合う物を積みな!ということだ。
しかし、星間を渡り歩いて行商を行うルーレット・カガクは、宇宙通貨を編み出したのだ。編み出したということではなく、発見したという方が正しい。これがレベル8の生物なんだ。ルーレット・カガクは、彼らと交渉の結果、通貨として使われることになった。その見返りは秘密事項なので伏せておこう。
アマルと言うふわふわの綿状のもので、大きさが様々。手のひらに載るものから、直径10000キロメートルに及ぶものまである。
価値の同定は、魂なんだ。魂は宇宙で唯一の素体である。
アマルの大きさで、1の魂、10の魂、100の魂を生れさせることができる。
ここで、魂をどうやって数えるのか、流通貨幣の代わりができるのか。大いに疑問が沸いてくるね。
それは、企業秘密。
で、アマルは如何なる破壊にも耐えるもので、破壊を試みた周囲にその倍の破壊を返すという特技を持っている。
すなわち、10億ジュールの熱を与えて破壊しようとしたら、20億ジュールの熱に相当するものが返される。
言い換えれば、非常に反撃機能が高いことかな。悪意があれば星そのものが消滅するともいえる。
しかし、それは生物であるがゆえに、悪意や攻撃を事前に探知して安全は保たれるらしい。
予知能力があるのでは、とも言われている。
一方、これを星になじませると、ぞくぞくと魂が生まれる。また、文明、文化をも進化させることができる。だから、知っているものは、星を手に入れアマルを投じて、自分の星を開拓する醍醐味を味わおうとする。すなわち、神を演じたいわけだ。
この生物が通貨になったもう一つの理由は、この生物は瞬時に宇宙間の通信ができるので、隠し事ができない。所有の識別はどうするのかって、それはアマル自体が管理しているらしい。
「アマルはどこで、手に入れられるのですか?」
「それは秘密。アマルで支払いたいと言ってくるお客がいる。その時手に入る。一方はアマルは有限だとも言われている。その真偽はわからない」
「フリオは、今、持っているの?」
「今は、持っていない。話は変わるが、行商人のガロムの話では、隣のミレーユ王国は貨幣が使われているらしい」




