第32話 12人の子供とお姉ちゃん
ここ、赤い尻尾邸に新しい家族が増えた。
15歳のお姉ちゃんのソフィアを中心に、男の子がルイス10歳、ホセ9歳、フアン8歳、カルロス7歳、ミゲル6歳、ビクトル5歳、女の子がカリーナ8歳、ファティマ8歳、カーラ7歳、ロゼ6歳、ローザ5歳、テリア5歳。
一挙に賑やかになった。
可愛い。僕のことをフリオお父さんと呼ぶことで、ソフィーズたちが決めたみたい。でも、アズサと同じように”フリオ”と呼ぶようになった。
ソフィーズは、ソフィアと子供たちをひっくるめた名前だ。
私はソフィア。第59研究所の世話人。
この研究都市は、様々な特殊能力に応じて、1から3787まで区分けされています。それらの研究所を支援する人たちが、およそ200万人住んでいて、都市を形成しています。
研究所と都市の人たちは、研究所の優位性を生かして利益を相互に織りなしています。
私がお世話をしている子供たちは、イメージを具現化できる特殊能力を持っています。
例えば、私の第59研究所では、野菜の種に発芽・発育促進の力を付与することでした。毎日、送られてくる種に、せっせと特殊能力で発芽生育が促進される力を付与していたのです。
24時間労働ではありません。午前中は勉強。午後はお昼寝。3時から5時までの2時間が労働時間です。そして、土曜日と日曜日はお休みで、子供たちも実家に戻ります。
そう、あの時。金曜日の夕方、いつものように、こどもたちをグライダーに乗せて、交通ターミナルに向かっていました。
「「「ソフィア!、あれはなに??」」」
突然の子供たちの声に、びっくりして振り返ると、大きな火球が目の前に迫っていたのです。
「「「あぁぁ・・・」」」
目が覚めたら、草原に座っていました。
「みんなー・・・どこにいるのー・・・」
「ソフィー、ここよー・・・」
幸いなことに、子供たちは無事なようです。
しかし、ここはどこでしょうか?。グライダーごと私たちは、あの火球に呑み込まれ、死んだと思ったのですが?。
緑の草原と青い空・・・えぇ!大きな太陽?が三つもあります。手が届きそうなところに青い太陽が迫っています。
「「「ソフィー、ここはどこ??」」」
道もないし、家も見当たりません。風の音と小鳥のさえずりが聞こえます。町の雑多な音が聞こえません。
耳を澄ますと、自分の鼓動が、ことのほか大きく感じるのです。
子供たちに、ここを動かないようにと言って、私は少し周囲を探索してみました。しかし、道もなければ家もありません。無人の草原?。どこか、未開国でしょうか?。いやいや、太陽が三つもあるということは、別の星ということでしょうか。
太陽が地平線の向こうに隠れだして、だんだん暗くなってきました。
これは、大変だ。このまま夜が来ると、怖い。怖い・・・。
しかし、無情なもので、そのまま夜になってしまいました。しくしく泣く子を抱えて身を寄せ合って、まんじりともしないで、朝を迎えたのです。
寝不足の頭を抱えて、何をなすべきか、皆で話し合いました。
衣食住の中で、とにかく雨風を防ぐことを考えましょう。食料になりそうなものを探しましょう。と言うことで、寝泊りできるところを探す、食料を探す、小さい子供を見守るの三班に分けて行動を開始しました。
しかし、限界がきました。空腹とのどの渇きで、次々とダウンして行ったのです。小さい子を抱えて、うつらうつらとしていると。
突然、ブッシュの先から人?が現れました。人???。全身毛に覆われていて、猫を大きくして二足歩行の人型にしたような。冷静沈着な私でも、状況が呑み込めず、その人?を見つめていました。
「見かけない人だにゃー。困っているかニャー?」
「「「っ!!!」」」
そうして、にゃん吉さんにお世話になったのです。
しかし、食べ物が生肉で、ネズミやトカゲのようなものから魚なのです。とても生臭くて、お腹が空き空きの子供たちも口に入れられません。それを知った、にゃん吉さんたちが、果実や葉っぱを持ってきてくれました。なんとか空腹が少し良くなりましたが、だんだん弱ってきたのです。
ある日、にゃん吉さんが
「この南の方に、うさぎさんと子供がすんでいるにゃ。そこにいってみるかにゃ?。食べ物に火を使っているから、きっと合うにゃ。でも、うーん、三日はかかるにゃ?」
それから、ふらふらしながら、やっとたどり着いたのです。
そこには、大きなウサギさんがいました。
子供たちの、目に少し元気が宿ったようです。
(助かったのかしら?)
そして、今は”赤い尻尾邸”で幸せに暮らしています。




