第31話 にゃん吉が13人の子供を連れてきた
にゃん吉からの連絡は無く5年が過ぎた。
まあ、時間のとらえ方が、僕らと異なるのだろう。気長に待つことにした。
あれから再三満月の夜に、あの小山に行ったけれども、にゃん吉たちには会えなかった。
どうしているやら?。
他の小山にも注意してみたが、踏み跡などの痕跡はなかった。
完全に避けられたのかな??。と思っていたら。
朝食の後の一服をしていると
「わふっ」とシロの鳴き声に続いて、にゃん吉たちがやってきた。
「聖獣様、ご機嫌ようにゃ」
にゃん吉たちが、ざわざわとやってきた。
家や畑を見て、びっくりしているようだ。
「こんにちは。この子たちを保護してやってほしいにゃ?。私たちは夜行性だにゃ、食が違いすぎるにゃ、世話することができにゃいにゃ。フリオさんにゃらばと、連れてきたのですにゃ」
にゃん吉の後ろに、猫人種たちとは異なる子供たちが見えた。
これは、どうしたことか。なぜにこんなに??。
見れば、少女とやせ細った子供たち。小さな子供が2人がにゃん吉たちに背負われている。
みんな生気がまるでない。食が合わなかったのか、それとも病気?。
「こんにちは。ソフィアです。こちらでお世話になりたいのですが、よろしくお願いします」
一番年嵩の少女が挨拶をしてきた。
「僕はフリオ・マレイで、この家の長をしている。歓迎するよ」
「わたしは、娘のアズサです。このワンコはシロと呼んでいます」
「ワン」
「私は、カレン。フリオの妻です。そして、こちらが息子のタロウです」
(カレンは私の妻という設定なのだが、これにはアズサが不満らしい。なぜに?)
「代表して、私ソフィアが紹介します。私の隣からルイス、ホセ、フアン、カルロス、ミゲル、ビクトル、女の子がカリーナ、ファティマ、カーラ、ロゼ、ローザ、テリアで、12人です」
子供たちは、やっと絞り出すよう小さな声で
「「「よろしくお願いします。」」」と言った。
うーん、みたところ5から10歳ぐらいに見えるし、宇宙主流形で耳が左右に、ちょっと長い。
診察したところ栄養失調だが、にゃん吉に背負われた子供の腕にハンカチが巻かれていた。
「怪我をしていて、とりあえず止血はしたのですが、化膿気味なのです」
「アズサ、ヒールとキュアをやってみようか」
アズサがキュアと唱えると、黄色の光が怪我のところに吸い込まれていった。
念のためもう一度、キュアをかけて、しばらく様子をみてから、ヒールを掛けた。
ヒールでは緑色の光が怪我のところに吸い込まれていくのを、12人の子供たちが見守っていた。
怪我は跡形もなく、綺麗に治った。
「「「おぉ・・」」」
「ソフィアさん。全員、身体の異常は認められません。キュアとヒールをかけておきましょう。少し楽になると思います」
「ありがとうございます」
その前に、きっと長旅だったと思うので、急速と風呂、着替え、そして食事を用意した。
赤い尻尾邸には、4メートル四方の居間と、個室が6つある。それと、物置、キッチン、風呂場、トイレだ。
「さあ、狭いけど、この二つの部屋に女の子6人。カリーナ、ファティマ、カーラ、ロゼ、ローザ、テリアちゃんで良いかな?」
という風に、部屋割りと説明を進めた。男の子にも2つの寝室へ、カレンの部屋にソフィアが同居。ベッドは、後日考えよう。当面はごろ寝だよ。
おっと、僕とアズサの部屋にタロウが加わる。シロはいつもの場所。
まあ、当面慣れるまで、この部屋割りで行こう。
なぜか、カレンがうきうきとして楽しそうだ。
夕食は、急遽、長いテーブルと長椅子を作ったので、そこに子供が並んで座った。アズサとタロウも子供の内。
いつもとは異なるにぎやかな一時になった。
そうそう、シロも一緒だ。
「「「おいしいです」」」
一番小さなテリアちゃんは5歳。お姉ちゃん役のカリーナが面倒を見ている。
難しい話は明日にして、早々に各自部屋に入ってもらった。
しばらくして、ソフィア一人が居間に戻ってきた。
「この度は、本当に助かりました。ありがとうございます」
「私は、マーガレット学院の生徒です。フラン王国はご存じですか?」
「いや、知らない。そもそも、この周囲見渡す限り、人はいない。もちろん村も、町も国もないよ。ここに5年余り住んでいるが、行商人以外、誰も来たことが無い」
マルコスの地図にはフラン王国は無い。マルコスが居た時から2000年経っているとしたら、王国の興亡があったかもしれない。しかし、彼女らの話から、レベル5以上の様に感じる。
ソフィアの話では、帰宅途中で急に炎に包まれ、気が付いたら全く知らない森の中に居たそうだ。食料もなく水もなく寝るところも無く、寄り添って一夜は過ごしたところ、にゃん吉さんたちに会ったと。その後にゃん吉さんのところでお世話になったのだが、食事が喉を通らなくて衰弱していったそうだ。
皆で、うつうつとしていると、にゃん吉さんが、
「そうだ!、この先にウサギさんが居るので、相談してみようか?」と。
「今日は、この辺で休まれてはどうですか?。詳しい話は追々でいいですよ」とカレン。
「それでは、失礼します」と言って、子供たちの様子を見に行った。
礼儀正しいし、落ち着いていて、何も問題ない。後は睡眠と食事で復活すると思う。
食料は、冬に向かって多めに備蓄しているが、ちょっと心もとないね。シロやにゃん吉さんに肉の補充をお願いしよう。
今は、もう夏が終わって、涼しい風が時々吹いてくる。去年の冬は、30センチメートルほど雪が積もって、雪解けに3か月はかかった。後、2か月ぐらいで冬に突入しそうだ。
「急なことで、大変だったね。カレン、アズサ、タロウもご苦労さん」
「ねえ、フリオ、彼女たちの耳を見て思い出したのだけど、エルフと言う種族に似ているのよね。長い耳。まあフリオほどじゃないけど」
アズサが読んだことのあるおとぎ話の中では、耳の長いエルフと言う種族が描かれていたそうだ。
子供たちのステータスは、僕よりちょっと少なめだが、一般人より大幅に高い。
子供たちはおよそ
魔力:20/20
魔素力:10/10
体力:10/10
精神力:10/10
防御力:10/10
ソフィアは
魔力:20/20
魔素力:20/20
体力:20/20
精神力:15/15
防御力:15/15
「食料は、冬に向かって多めに備蓄しているが、ちょっと心もとないね。シロやにゃん吉さんに補充をお願いしようと思う」
「彼女ら”ソフィーズ”にも、食料確保に加わってもらいますが、もう少し身体がしっかりしてからですね」とカレン。
「不思議な子供たちね。一人に言うと、話し合った様子が無いのに全員に伝わるみたい」
それにしても、なぜに、こうも人が寄ってくるのだ。
ひとりでサバイバルを楽しむつもりだったのに。
嬉しい、悲鳴だよ。




