第24話 真っ黒な惑星
時々、アズサは私に話を求めてくる。
星間行商人の旅の話が好きらしい。まあ恋愛ものを欲しがる歳でもないし。
今日も眠りに落ちるまでの、一時の子守唄?を所望した。
「ねぇ、フリオ。お話をして」とアズサが話をねだってきた
「そうだね。今日は、真っ黒な星にすむ小さな蟻について話そうかな」
この星に来るのは5回目だ。
前回は、鉄鋼500万トン売った時。物々交換が基本だ。
その時の対価は、この星の外郭に使われているハニカム構造の黒い構造体。
宇宙船の外装に使われる。結構な値段で売れるんだ。
もちろん、この商いは専属契約を結んでいる。
『こんにちはー』
おれは、この星の行政区、資材課のドアを潜った。
何度来ても、目に映る全てが黒色。全ての可視光線を吸収しているので、真っ黒。触ってみて、やっとそこが壁とか、ドアがあるのかな?と思うほどに、全くどこへも行けやしない。
そういう星なものだから俺以外誰も来ないし、商売も成り立たない。
住人は言うと、小っちゃい。5ミリほどの虫だよ。そして、これが社会性昆虫なんだな。個体は、共通の頭脳を持っており、目の前のちっちゃな虫は会話もできるし、交渉もできる。
『いらっしゃい』
『ルーレット・カガクが商いに来たと伝えてくれ』
しばらくすると、部屋が真っ白になって、円形のテーブルと椅子が配置された。
椅子には、12名ほどの人?が座った。
このうち9名が女王で、3人が参謀らしい。
奇数にしているところは、民主的なところなのだろうか。
『カガク殿。遠いところをありがとうございます』
『ああ。ルーで頼みます』
『それでは、ルー殿、早速商談を始めていただきます。手前どもに融通していただけるのは、鉄鋼500万トンでよろしいでしょうか?』
『OKです。代わりに、シェーロを2000万平米ほど、いただければ商い成立となります』
『うーんと、それとは別に非常に頼みづらいのだが』
『言ってみてください』と、商売の匂いではないが、一応聞いてみることにした。
『女王を一人と、その配下をどこか適当な星に移住させてほしいのだが?』
『理由をお聞きしても?』
『我々のこの星も手狭になったし、シェーロの販路拡大と種族拡大は、行く行くの課題ではあった。さらに無理を言うが、候補の女王と3か月過ごしてほしい。そして、夫になってほしい』
『あのー。妻はすでに15人、いるのですが。よろしいのでしょうか?』
『良い。甲斐性があってなによりだ。そうは思わんかフェアリーよ!』
俺の右側に声をかけた。座っているのは白い影のようなもので、容姿は推測もできない。この星に来てから、実体を表しているのは、商品の受け渡しに従事する人もどきだけなのだ。手足があって、2足歩行で、いろいろな服を着ている。顔はよく見れば個体識別ができそうだが、まあ、その必要はないな。
というわけで、俺はフェアリーと結婚して、半年のハネムーンを味わった。
フェアリーはというと、白い影状から宇宙主流体型の女性になって、俺の周りを行ったり来たり。身長が160センチメートルで、僕と同じぐらいの背格好になった。いや細身だけどね。
毎日、外で遊んで、夜は俺の旅の話をせがむ。で、半年が過ぎた。
結果は、合格とのこと。
(そんなので、良かったのかな???)
その間の商いは、番頭のキリーを呼び寄せて回したのである。
この星は、外部からの攻撃を防御するために、シェーロで幾重にも覆っている。しかし、その中は人工太陽が輝く、緑が豊富な豊かな土地が広がっていた。
直径12000キロメートルの惑星には、3つの大陸があって、フェアリーが住むのは赤道直下にある”アメリア大陸”である。その中でも、大きな領地を持っているサナダ家の2女がフェアリーである。
『ルー様。私共が行く星は、どのようなところでしょうか?』
「この話は、これで御終い。アズサ目が落ちそうだよ」
「う・・・ん、その先の話・・・いつかしてね・・・・」
アズサから、静かに寝息が聞こえてきた。
(フェアリーと俺の子供たちはどうしているかな?と思うのだが、こどもの姿は???)




