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第23話 再び塩づくりに

「フリオー。塩がないよぉー」


作り置きの塩が少なくなってきた。


「アズサ。明日は塩づくりに行こうか? 海へ」

「えぇっ、海ってなあに??」


「しょっぱい水がたくさんあるところだよ。見渡す限りしょっぱい水だよ。それと、魚や貝などが捕れるよ。うまいよー」

「行こう。早く行こう」


よだれを垂らしそうなアズサ。


ちょっと距離があるので、6歳のアズサの足では無理だ。背負子を用意した。

後ろ向きに座らせて背負う形だ。


海まで50キロメートルほど。毎時5キロメートルで歩いたしても、10時間以上かかるだろうか。途中、森や、岩場、小山、川などがあるので、平地を歩くような訳には行かないな。


「アズサ。明日の準備をしようか」


鍋としゃもじ、濾布、できた塩を入れる袋。5泊ほどの食料と最小限の調理器具や食器。

薪や水は現地調達のつもり。


「フリオ、これをリュックに詰めればいいの?」


結構な荷物になった。もっともアズサが大荷物だ。

(これは、口が裂けても言えないね)


およそ、前に行った道順も覚えているので、大丈夫と思う。


ということで、一路海を目指した。

ぴょーんぴょーんとはいかなかった。アズサが意外と重かった。

1時間ほど歩くと、途中からシロがやってきて、アズサを乗せろと言ってきた。おかげで5時間ぐらいで着いた。アズサは、シロの背中の上で大喜び。

まったくびっくりしたよ。


「「シロ ありがとう」」


「わふっ」


「うわー、すごーい。ねえ、フリオ、これ全部水??」

「わふっ」と、なぜかシロが応えた。


僕たちは、海岸から100メートルほど陸地に入った木陰に荷物を置いた。

前回、満ち潮でこの近くまで、水が迫ってきたことを思い出したので。


アズサは早速、水着に着替えて、浜辺に向かって突進していった。シロといっしょに。


青い海と青い空、そして白い砂浜。アズサは早速、浜辺で水を舐めていた。

「しょっぱいーー。ぺっぺっ!」

(行儀が悪いね。どこで覚えたのやら??)


僕は竈や薪を用意して、塩づくりの準備を進めた。

まあ、お子様は遊ばせておこう。シロが良い遊び相手をしてくれている。


「あぁぁ。ごめん。手伝うよ」

アズサが、慌てたように、寄ってきて言った。


「じゃあ、これに海の水を汲んで、この鍋を満たしてくれるかな?。シロは、森に入って、獲物を頼むよ」

「了解」

「ウォン」


夕食はバーベキューだ。

石を組んで、その上に網を置く。今日はシロが捕ってきた鹿の肉や野菜を乗せてゆく。


シロが周りを巡りながら、涎を垂らしている。

アズサも似たようなものだ。


「「いただきます」」

「ウォン」



星が降る浜辺に、二人と一匹が座っている。

「ねぇ、フリオはどこからきたの?。私は思い出せないの。でも、料理とか洗濯とか、家事はなんとなくわかるの。そう、ここに来る前は何だったのかしら。フリオは何か思い出すこと、ある?」


「僕は、あの星々を知っている。ここに来た時に持っていた名前はルーレット・カガク、星間行商ギルドの総帥だったよ。まあ、あの星々を渡り歩いて商いをしていたんだが。もう、5000年もやっていると飽きてね。ここには退屈しのぎにサバイバルをやってみようと思って来たのだ」


「まあ、壮大なお方なのね」

「茶化すのはやめようね」

「ううん。信じているんだよ」

「あぁ。わかっているよ・・・。もう寝ようか?」

「フリオ、ありがとう。あなたに会えて良かった。会わせてくれたシロにも感謝ね」

「ウォン」



あくる朝。

ぶくぶく、ねりねり、ぶくぶく、ねりねり、ぶくぶく、ねりねり・・・・。

ひたすら、鍋をかき混ぜる。白いものが徐々に現れて、塩ができた。


「おぉ・・、しょっぱい!」アズサが舐めて一言。

「ブルブル」シロもひとなめして、ベロを前足で抱えていた。


今回は、2キログラムほどできた。これで当分は大丈夫だし、それに再々海に来たいしね。


アズサの消費も入れて一日15グラムの必要摂取としたら、100日以上は持ちそうだ。肉や魚の保存にも使うので、一か月に一度ぐらいは、ここに通うことになるかな。


折角だから予定通り5泊して、以前と同様に周囲で食材を探した。

砂浜を歩いて生き物を探した。貝はもちろんのこと、魚や海藻類も食べられそうなものを捕った。


「フリオ、何をつくっているの?」

「かごを作ってる。これを海に沈めておいて、蟹とかえびを捕まえようかと」


「これは、ハマグリだ。おいしそう」


「おぉ・・、あさりだ。おいしそう」


「フリオー、見てみて。たくさん捕れたよ」


楽しい5泊6日の塩づくり旅が終わった。

アズサも僕も、日焼けしたよ。

「フリオ、シロは白いままだね!」

「ハハハ」

「ウォン!」




塩づくり以来、アズサはシロに跨っているのをよく見るようになった。

今日も、畑の周りを疾走していた。


元気になって、良いに越したことはないが、それにしてもお転婆が過ぎないか。

シロは良い遊び相手になった。いや、失礼聖獣様。


「アズサ。あまり遠くに行ってはダメだよ」


「わかっているよー」


あぁ・・行っちゃった。


まあ、昼食までに少し時間もあるし、僕ものんびりと日向ぼっこを楽しもう。


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