第20話 アズサとフリオの日々 その2
アズサは聡明で良い子だ。時々、本当に6歳なのかと思うことことはあるが、概ね6歳だ。
今日もアズサは、外を跳ね回っている。時々、シロも参加している。一人と一匹で泥んこ遊びに興じている。
無邪気だ。
「フリオー、見てみて。おだんごが沢山できたよ」
「あ・・・! シロ!ダメーー」と、追っかけっこが始まった。
シロの前足が、お団子を薙ぎ払った瞬間である。
誰もいないところを選んで降下したので、一人でのサバイバルを延々と覚悟していた。しかし、アズサとの出会いは神の采配だろうか、毎日が楽しくなってきた。
「手を洗っておいで。おひるにしよう」
「ごめん。手伝うね」
外のテーブルと椅子に座って、昼食を取る。
アズサは、2か月もするとふっくらとしてきた。可愛い。
午後は、畑を広げて、耕して、種を蒔いて、水を与えた。
さらに、”育てよ!すーくすく、ワークワク”と魔法をかけると、早速芽が出てきた。
ニンジンとセロリがすくすく育って、10日ほどで食べられる大きさになった。
「アズサ、これも魔法だよ!」
「うん。確かに」
カボチャは30日で、10個ほどできる。サツマイモは40日で、50個ほど。その他に大豆とか豆類も栽培した。
これらを繰り返して、冬の貯蔵用に保存してゆく。
アズサも
”炎よ出でよ!”
”ウォーター出でよ!”
”育てよ!すーくすく、ワークワク”
を覚えた。
それから、治癒のヒール、体力回復のホイミや毒消しのキュア、探索、身体強化なども話し合った。
ヒールとキュアは、早々に必要だね。
「フリオ、ここのところ見て。ちょっとひっかけたの」
「よし、やってみよう。指の先に魔力を集めて、治すイメージを”ヒール”」
「おぉ・・!、見てみて!治ったよ。すごーいい」
イメージを具体的に思い浮かべて、魔力を注ぐと結果につながるようだ。
その他の魔法もいろいろ試してみたが、発現はもう一歩ってところかな。
今日は、近くの川に魚釣りに来た。
えさは葉っぱに着いた青虫。それとミミズ、肉の端切れなど
竿は、竹が有ったので程よい形にクラフトした。糸や針もクラフトで試行錯誤の上、何とかそれらしいものができた。が、なにせ、釣りは、ここ数千年やったことがないので、自信がない。
二人で、川のふちから糸を垂れる。
「フリオ、本当につれるの?」
「わからん。やってみることが大事。もう少しじっとしていような!」
やはり、子供だ。落ち着きがない。
「フリオー、やったー!」
30センチメートルほどの魚が、見事釣り上がってきた。
その日は、6匹釣れた。
「やったー!。大漁だよ」
2匹は塩焼きにして夕食を飾った。
残りは2枚におろして、塩をすりこんで、保存用に日干する。
どれどれ、藁葺小屋の隅の保管庫には、およそ半年分の食料貯蓄が進んだ。
そうこうしていると、朝夕が寒くなって秋が深まってきた。木のが色づき、野菜の成長も遅くなってきたようだ。
毎朝の散歩にも息が白くなってきた。
去年の様に風邪を引かないように注意しよう。それと薬も用意した。
そんなある朝。
「う・・っ!、さむ!」と身体を震わせながらアズサはベッドから起きてきた。
藁葺では隙間もあるし、土間だと寒い。この前の冬は寒かった。
アズサは、僕のように毛におおわれていないので可愛そうだ。
「アズサ、家を新しくしようと思う。丸太で床も木で、暖炉もあって、温かい家を」
「フリオ、早速やろうよ。寒いのは我慢できないよー」
家を設計する。必要な部材や数量。調達場所、運搬方法などなど
どこかの小説のように、”家よ出でよ!”なんて、簡単にはできない。
釘なしだと、細かなところが固定できない。外壁や屋根は、ログハウスをベースに組み立てるとしても、非力な僕と、6歳の子供で家を建てる???。
無謀だ
今できることをやろう。
藁葺小屋の横に、少し大きめのものを作ることにした。
中には、床を張って、ベッドを2つ、テーブルとイス、キッチンを配置する。中央には暖炉。
外回りの茅の厚みを多くして、断熱効果を上げる。
「アズサ、こんなイメージでどう??」
「ベッドは一つで良いよ。どうせフリオにくっついて寝るからね、ね!」
今年の冬は、暖炉に火が焼べられ、温かい。隙間風も少なく快適に過ごせた。
内職もアズサが加わって、色々な装飾品や生活道具を作ることができた。
よしよし。




