第19話 アズサとフリオの日々 その1
フリオさんに、”お父さん”って呼んで良い?と尋ねたら、それは止めてと言われたの。
だって、大きなお腹を見ていると ”お父さん”と呼びたくなるのに。
最初見たとき、あぁぁおとぎの国に来たのかしらと思ったわ。
でも、大きなウサギさんは本物の人だった。
しばらく、周りがなぜか怖くてフリオさんから離れられなかった。
フリオさんが側にいないと、トイレも行けない状態。フリオさんは優しいかった。ずっと私の側にいてくれた。
あの大きな耳に触らせてほしいと言うと、触らせてくれた。でも尻尾は、また今度ねって軽く断られたの。
でも、フリオが朝寝坊しているときに、そっと触ってみたわ。
悪い子ですね。
さて、今日はこの星と太陽について、アズサに勉強してもらおう。
「ええーと、宇宙や星について説明が必要かな?」
「大きな大きな空間があって、そのなかに星が沢山浮かんでいるよね」
「うん、まあ語れば切りがないけど、一言で言うならば、一つの正解かな」
「それでは、ここに、この星はリンゴ、太陽はこのお椀とするね。普通は、太陽は恒星と言われ、その周りを惑星が回っているのが大方の形だ」
「そうだね。宇宙に漂う物質が、次第に集まって渦巻の状の星系ができて、その中心に太陽が現れるんだね」
「しかし、このリンゴの星の周りを太陽が、このように回っているのだ。リンゴの星の名前はイベリス、魔の星と言われている。この星のことだよ」
イベリス星は24時間で、一回転する。そして、地軸が少しずれているため、それが春夏秋冬を演出する。
なぜか3つの太陽は、イベリス星に向かって放射している。その放射は、イベリス星を覆うに限られている。通常の恒星は宇宙全体というか全方位に放射しているが、3つの太陽はイベリス星だけを照らしている。
そして、370日でイベリス星の周りを巡る。
「ひょっとして、イベリス星も3つの太陽も誰かが作ったのかしら?」
「良い想像だね。いつか解明したいね」
それにしても、アズサの知識には驚いた。
「アズサちゃん。ほんとうは幾つ?」
「6歳ですよー」
「それで、僕は遠い宇宙の彼方から、この星には魔法があるという噂を聞いて調べに来たのだ。我々の母船は、あの太陽たちの周回軌道のさらに外側に居る。でもコンタクトできるのは50年後で、それまでは、ぼくは孤立しているのだ」
「そうなんだ。よくわからない???」
「我々は、この魔の星は直径12万キロメートルほどあって”イベリス星”と名付けたよ。青い海と緑の大きな大陸。その大陸を”ベルダ大陸”と名付けた。僕たちは、その東の端の方に居る」
「わぁ・・。すごーいい。想像が追い付かないよ」
「文化レベルは3なので、鉄製品が出回っている。王政で群雄割拠なところもある。この近くには村が少しあるようだけど、まだ近づいていない。西南へ歩いて3日ぐらいかかるかな?」
「ヒト型の知能生物は、宇宙主流形でカレンの頭に毛を加えた感じだね。
その他に猫の亜人に会ったことがある。魔物とか巨大生物などは確認できていない。母船から見た限りでも確認出来ていない。ひょっとしたら怖いものがいるかも?。ガオー!」
「きゃっ!」可愛くアズサが声を上げた。
「さて、ここはサバイバルの拠点。自分で衣食住を確保しなくてはならないんだ」
「わかっているよ、フリオ。頑張ろうね。・・・・一度村を覗いてみたいな」
「ところで、アズサ。魔法をどのくらい知ってる?」
「呪文を唱えると、ドカーンと山が崩れたり、ボワーンと炎が出たり、ゴオーって風が吹いたりするやつよね」
「僕も、ここに来る前に、魔法が出てくる小説や映画を見てきたけど、概ねアズサが言っているようなものだったね。そして、ここでは呪文を唱えると前の世界ではあり得ないことができるらしい。僕のクラフトとかアズサのコピーアンドペーストなんかは能力らしいね」
「転生ものでは、神様からチートな能力をもらって、無双するとか、建国するとか、そうそう魔王を倒すなどの話がある。でも不思議に思うこともあって、魔法から発現する事象も、どこからそのエネルギーは来るの?、そしてどこへ行くの?とか。エネルギー保存の法則に合ってないよね。無茶苦茶だけど気を引くには十分だよ」
「ファンタジーね」
「物理法則は覆せない。無から何かが生じることはないんだ。だからファンタジーなんだね。この魔の星は、ファンタジーが実現するのか、僕は大いに興味があるのだ」
「ハハハハハ・・・。それは無いよ」とアズサが一笑に伏した。
アズサのくせに、えらく言い切ったよ。
それから、いろいろと二人で議論したのだけれども、まったく僕の夢を打ち壊してくれた。
アズサって何者、それにどこから来たのかな?
まあ良い。追々調査して楽しんでいこう。




