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第16話 アズサの災難

目が覚めたら、目の前に大きなワンコの顔がありました。

大きな、舌でべろっと舐められたのです。

食べられるとか、怖いとかそんな気持ちはありませんでした。とっても優しい目で、私を見ていました。


周囲を見ると木が生えていて、ところどころ草地があります。

本能的に、ここを動いてはいけないと。


起き上がると、ワンコはどこかへ消えましたが、しばらくすると、帰ってきました。

口には、リンゴのようなものを咥えており、私に食べろ!と押し付けてきます。


おいしい!。甘酸っぱくて、サクサクしています。

大きさが私の頭ほどもあったので、お腹いっぱいになりました。

それから、ワンコはウサギや鳥など小さな動物を目の前に置いて、食べろと言うのですが、とても生では食べられないです。そっと脇に置いて、バッテンをして、首を横に振ると、それ以降動物は持ってこなくなりました。果物が中心になりましたが、その内、立ち上がれないほどに身体が弱ってきたようです。


ある日、ワンコは私を咥えて、森の中を走っていました。どこへ行くのだろうか?。うつらうつらとする毎日。ワンコが与えてくれる果物も喉に通らなくなってきました。


走るのが止まり、下されたので気が付くと、目の前に大きなウサギさんが立っていました。

ウサギさんは・・・いや、大人の人ほど背丈があって、大きなお腹と長い耳が可愛いのです。


とにかく、お腹が空いて、背中とお腹の皮がこっつんこしています。自己紹介がまどろっこしいのですが一応礼儀です。早く食べ物を!、飲み物を!。


やっと、言えました。

”食べ物を下さい!!!。”


干し肉とスープを頂きました。満足です。

意識が遠のいてゆきます。



名前は思い浮かんだのですが、その他のことは全く思い出せません。どこに住んでいたとか、父母や兄弟・・・、全く記憶にないのです。諦めました。6歳の子供は思い切りが良いのです。あのウサギさん、あ・フリオさんの世話になることに決めました。ウサギの肉もジュースも美味しかったです。


ワンコの名前は、シロと言うらしいです。勝手にフリオさんが呼んでいるだけと言っていました。でもワンコは嬉しそうにしているので、問題ないのでしょう。


フリオさんが

「この子は、僕が面倒みるから、安心してくれるかな?」とシロに伝えると、

「わん」と一声して、私を舐めてから森に消えたそうです。



それから、三日三晩、私は熱を出して寝ていたそうです。

四日目の朝は、フリオさんのお腹に跨って、フリオさんのほっぺを左右に引っ張って起こすことから始まりました。私は子供。遠慮はいらい。


元気になったので、毎日やることを整理しました。

毎朝、カレンさんの顔や手を拭いて綺麗にしてあげる。肌は銀色で服は着ていません。

優しそうで、綺麗な人ですね。


朝ご飯の支度をします。と言っても、フリオさんはニンジンやセロリなどサラダが主体です。私は、ちょっとだけお肉が欲しいので、昨日の残りのスープを付けます。

勝手知ったる何とかで、子供は遠慮しないです。


朝起きると、一番にフリオさんと仕掛けた罠を見て回ります。主にウサギが掛かっています。たまに鳥もいます。

ウサギの血抜きは、ちょっと私には無理です。


朝ご飯が済んだら、洗濯に掃除。畑の草取りや水やりをします。

ここまでが、午前中の仕事。

午後からは、フリオ先生が算数や自然、科学などの勉強を教えてくれます。

料理は、フリオさんより、私の方がましなので教わるところはありません。



そうそう、時々、シロが大きなシカやイノシシを咥えてきます。フリオさんが、それらを解体します。その肉が焼けるのをシロが待っています。よだれを垂らしながら。

そして、2人と一匹で肉を頬張るのです。


フリオの家は、尖がり帽子を伏せたような形で、中は木のベットと小さなテーブルとイスだけの素朴なものです。お料理は外です。鍋のようなものや食器が無造作に置かれています。

私用の椅子を作ってくれました。


夜は、フリオの横に寝ます。お腹がふさふさで気持ちいいのです。


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