8 ニート&ナイトⅡ
「丁度良い獲物だ、ヤマムラシマ殿の糧としようではないか!」
糧ってなんだ。
というかなんだこの化け物は。
SCPオブジェクトか何か?仕事しろよ財団。
「これは紫灰人というもので、灰人の中では最弱だ」
「なになになに!?」
何か説明してるけどおばちゃんは完全に置いてけぼりだ。
「ご婦人、今の内に逃げてくれ」
「はっ、はいはい!」
両者共に剣を構えて戦う気満々、おばちゃんは混乱しつつもすぐにエレベーターに乗って行っちゃった。
しっかし自称騎士見習いはなぜか剣の握りではなく刀身を持つ奇妙な構え方をしてるなぁ。
「しかし最弱でも対峙する者によっては厄介な灰人の特性がある」
一切こちらを見ずに紫灰人とかいうのから視線を外さずに語っていると、紫灰人が剣を片手で大きく振りかぶった。
それに対して自称騎士見習いは剣の鍔で紫灰人の肩を強打。
そしたら紫灰人の肩が破壊されて、まるで血液みたいに灰が飛び散って剣を落とした。
「ふんっ!」
続いて自称騎士見習いはあろうことか剣を捨てて飛び掛り、相手の両膝裏を持ち上げて転ばせてそのまま組み付いた。
片腕が使えずもう片腕が拘束された紫灰人は完全に身動きが取れないらしい。
「さあ!トドメだぞヤマムラシマ殿!」
「えっ!?」
私にヤれと?正直あんなの近づきたくもないんすけど。
「打撃が有効、というか今のヤマムラシマ殿には打撃以外で倒せないから思い切り頭を踏みつけてやるのだぞ!」
「ま、待った待った……!」
「どうした?」
「それ……人じゃないよね……?」
もちろん人間には見えない。
殺害するのに抵抗があるような可愛い外見というわけでもない。
けれども挙動はほとんど人間と同じなせいかあまり殺したいとは思えない。
「ああ、灰人は生物ですらない、ただ他者に攻撃するだけの存在だ、前に話しかけ続けたことがあったが分かり合うことはできなかったよ」
先人がそう言うんであれば信じよう。
そもそも襲ってくるなら戦わないと生存不可能、今世界に何が起こっているのかまだよく知らないうちに死にたくない。
ようやく楽しそうなことが起きているかもしれないんだし。
うん、覚悟できたかも。
「や、やる!」
「うむ、私がいるから安心してくれ」
「よ、よーし……」
この紫灰人完全に身動きは取れない。
首は動くだろうけどそれくらいで回避はできないよな。
踵を正方形の頭の真ん中に合わせて……。
「とぁっ!」
ボフッ
思いっきり顔面――顔はないけど――を踏みつけたら頭部は粉々になった。
それと同時に全身が人の形を崩してただの紫色の灰になって散る。
ちょっと汚い。
「な、なんか膨らんだビニール袋踏んだみたいな感触だなぁ……」
「紫灰人は灰人の中でもかなりモロいからな、武器を持っていなければ幼子でも勝てる相手だ」
私一人でも勝てそうな相手がいるのはちょっと安心。
しかし導きとやらを出せるようにはならないんだけど、このパワーレベリングみたいなことをあと何回やれば――
「うわっ!なんか変な感じがする!」
「わはは!最初は皆そういう反応をするものだ、私もそうだった」
なんていうか、自分に新しい四肢が一つ増えた気分。
これで導きとかいうのを出せるんだな、未知を知れるのは気分が良くなる。
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山村 志摩
ステータスポイント:0
LV:1
体力:1
魔力:1
筋力:1
技量:1
称号:生まれるべきではなかった
職業:持たざるもの
スキルポイント:1
スキルツリー:持たざるもの
ランダムスキルツリー:未取得
・通知
割り振っていないスキルポイントがあります。
ランダムスキルツリーの取得が可能です。
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ステータスが……称号と職業が私を虐めてるよ……。
「ぅ……ひっ……うぐぁぁぁ……」
「ヤマムラシマ殿?な、泣いているのか……?」




