9 よろしく
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山村 志摩
ステータスポイント:0
LV:1
体力:1
魔力:1
筋力:1
技量:1
称号:生まれるべきではなかった
職業:持たざるもの
スキルポイント:1
スキルツリー:持たざるもの
ランダムスキルツリー:未取得
・通知
割り振っていないスキルポイントがあります。
ランダムスキルツリーの取得が可能です。
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ちくしょうなんなんだよこのステータスはよぉ……絶対嫌がらせだろこの称号と職業は。
せめて無職とかにしておいて欲しいもんだ。
「ヤマムラシマ殿、落ち込むことはない、職業は他に選択可能なものがあれば変えることが可能だ」
「そ、そうなの……?」
「うむ、ただし変更するには現在の職業に使用したスキルポイントと同じだけのスキルポイントが必要だ、ヤマムラシマ殿はまだ一切使っていないから関係ないがな」
つまり一つの職業を強くすれば強くするほど変えにくくなるのか。
持たざるものを極めたらどうなるのか気になるけど、さすがにそんなネタプレイはしたくなよなぁ。
「選択できる職業ってどうやって増やすの……?」
「剣で敵を倒せば剣士に、魔法で敵を倒せば魔法使いになれる」
「ま、魔法って魔法使いじゃないと使えないんじゃ……」
「いや、魔法使いでなくとも魔法が使用できるアイテムを使うか、魔法使いに一時的に何度か魔法の使用ができるようになる魔法を使ってもらうとかもあるな」
魔法って単語が多くてゲシュタルト崩壊しそうだ。
今までプレイしたことのあるゲームでは物理攻撃職は生存率の高い安定したイメージ。
MMORPGなら長時間狩場に引き篭もるのに良い気がする。
魔法職は火力特化か支援特化、どちらも誰かと組んでこそなホルホース系のイメージ。
基本ソロプレイでMPの管理とか面倒だから大抵のゲームでは戦士職を選ぶけど、実際に魔法が使えるなら魔法使いになりたい。
少なくともこの世界で剣はあれど魔法は存在しなかったし使ってみたいよなぁ魔法。
「そ、そのアイテムってどこで手に入る……?」
「ヤマムラシマ殿は魔法使いになりたいのか?」
「ま、まぁ……うん、はい……」
「うむ、そうかそうか、うーむ」
なんか考え込んでるんだか眠いんだかよくわからない表情だなこの人。
「では私と取引をしないか?」
「取引……?」
「共に妹を探すのを手伝ってくれ、途中でアイテムが手に入れば譲ろう、そして妹は優秀な魔法使いだから見つかれば魔法も使えるぞ」
こいつが私にしつこくついてきた理由はこれか。
自分の妹を探すためにこの世界の協力者が欲しくて、偶然見かけたのが私だったって感じだろうなぁ……。
ま、いいけど。
「わかった」
「おお!それではよろしく頼むぞ!」
出会って数時間も経ってない仲なわけだし、せいぜいお互い利用し合おう。
「それではさっそく頼みがあるのだが」
「な、なにさ……?」
「腹が減ったのだが、食事をいただけないだろうか?」
まずは買い物かな……。
「すぐに帰宅させて親御さんや警察に任せるべきでは?」
「なに言ってるんですか、今外に出すのは危険でしょうが、大体警察は込み合ってて連絡できませんし」
「怪物と戦える者がいる学園内の方が安全だと思います」
「戦える者と言っても三人だけでその内二人は生徒じゃないか、子供に命がけで怪物と戦わせて我々を守らせるのか?」
「それよりもまず親御さんに安否の連絡をすべきは?」
現在学園内にいる教師や寮長が職員会議室に集まり、私とグレースさんも同席させられています。
生徒は交信堂に集めてガーランド教諭と弓矢を扱える後輩が守っています。
先生達は今現在起こっている事に関しての話し合いを行っていますが、現在は教職員をまとめるべき立場の者は不在なため、最も年長かつ教師歴の長い木蔦教諭が意見をまとめようとしています。
「みんな落ち着きな、世間でも騒ぎにはなってる、今起こっている何かが終息するにしても悪化するにしても今は待つべきだよ、警察や消防や自衛隊は他で手いっぱいだろうからね」
「今いる生徒のほとんどは寮生で他の生徒は少ないし、災害用の非常食も沢山あるのだから非常時に備えつつ様子を見ればいいんじゃないかしら?」
木蔦教諭と燐葉寮長の言葉で全員が一旦黙った。
「それにグレースさんが言っていたわよね?地震はまた起きて怪物の数も増えるって」
「確かにそう言ってましたけどねぇ、えーっとグレースさん、本当に信じていいんですか?」
「二つの世界は混ざろうとしている最中……可能性は高い……」
「……確実ではないんですね?」
「この世界にも地震や台風などの自然災害が存在し……ある程度は予測できると聞いた……しかしそれは常に確実?ましてや専門家でもないあなたでも予測が可能?」
出会ってそれほど経ってはいませんが、いつもよりグレースさんが少しイライラしているのが伝わります。
「私は害のある存在と戦う職業に就いているだけの……もういい……」
冷静になったのか喋るのが面倒になったのか話をやめました。
会議が始まってから一部始終を見ていない職員が本物の魔女かを確かめるために魔力を消耗したのに手品ではないかと疑われ、最終的に私がチュパカブラの死体を持ってきてグレースさんがそれを骨まで焼き尽くしました。
そんな経緯があったせいか、かなり苛立っているようですね。
「木蔦教諭、グレースさんも私も戦闘の疲労があるので休んでもよろしいでしょうか?」
「かまわないよ、情けないけどアンタたちが万全じゃないとあたしらも困るからね」
「私が寮まで案内するわ、ついていらっしゃい」
私とグレースさんは燐葉寮長と共に会議室を出て後ろをついて行きます。
「先生達はしばらく話し合いが続くと思うからあまり遠くへは行かせられないわ、ごめんなさいね」
「いえ、遠くに行く理由はまだないので」
「みんな混乱してて……正直私も混乱してるの、情けないわ」
怪物が出た時の災害マニュアルなんてあるわけないのですから混乱するのは当たり前だと思いますが。
「燐葉寮長はいるだけでも寮生の方々が安心するでしょう、気にすることはありませんよ」
「うふふ、ありがとう」
校舎の外へ出たところである事を思い出しました。
「燐葉寮長、交信堂にいる方に用事があるのですが」
「あらそう、グレースさんは私に任せていってらっしゃい」
「はい、それではまた後でお話しましょうね」
「わかった……」
グレースさんや燐葉寮長と別れて交信堂の方へ行きます。
交信堂の扉は僅かに開けられています。
外で見張っている射手の方が何かあった場合すぐに知らせて扉を閉めるのでしょう。
「やあマイヤーズお姉様、先生方のお話は終わったのかなー?」
「いえ、一足先に退室させてもらっただけです」
「そっか、それじゃー僕とお話しようよー」
「ええ、そのつもりで来ましたから」
助けていただいたお礼をしたいですが、まだ名前すら知りません。
なぜこの方が観測台で弓を持っていたのかも疑問です。
「改めましてマイヤーズ千影です、あなたのお名前は?」
「ウルリカ・ソレフマイネン、よろしくねー」
「よろしくお願いします、ウルリカさん」




