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3 異世界人

「はぁ……はぁ……な、なんだったんだアレは……!」


課金したくて久しぶりに外に出たら変な虫に襲われた、そして女がビニール袋で殴り殺した後普通に会計して帰ってった。

しばらく引き篭もってる間に新種の虫でも生まれてたのか?それともどっかの製薬企業が生物兵器を流出させたとか?

慌ててすぐにコンビニ出ちゃったせいでプリカ買えなかったし……やっぱり外なんて出るんじゃなかったちくしょう。

しかし冷静に考えてあんな生き物マジで見た事ないけど、不思議なこともあるもんだなぁ……。


「うう……グレース、ここはいったい……?」


なんか革鎧を着て腰に剣をぶら下げてる外国人がいるけど、不思議なこともあるもんだなぁ……。


「うわっ!な、何なのだこれは!?グレース!どこにい――ッ!」


自動車に対して剣を構えたり、もう完全に頭がアレな絶対通報した方が良い類の人だろうけど面倒だから無視しよう。


「敵意はないのか……しかしなんだあの生き物……ん?もし、そこの」


さっさと帰って新種の虫発見スレ立てよう。


「もし!貴公!尋ねたいことがあるのだが!待たれよ!」


スレタイは――


「貴公!待ってくれ!」

「ひっ……!」


あんた私に話しかけてたのかよ。

というか肩つかまれちゃったぞ逃げられないよどうしよう。


「この辺りで私の妹を見なかったか?」


知らんがな。

なぜ私がアンタの妹を知っていると思ったんだ。


「あっ……あの、まずあなたは誰ですか……」

「おっと、名乗らずに問うのは失礼だったな、私は帝国騎士団竜剣士隊……の、見習い四年生、ガストンの子カタリナだ」


別に名前が知りたかったわけじゃないというか、誰?ってのは名前や職業じゃなく素性が知りたかったんだけど。

しかも名乗るだけ名乗ってなんで黙ってるんだこの人は。


「貴公、名を教えていただけないだろうか?」


あれか、自分が名乗ったから名乗り返してもらえると思ったのか。

なんでわざわざ知らない人に名前を教えなきゃいかんのじゃ。

つーかこの人のは本名なの?ガストンの子カタリナってなんだよ、いつの時代だよヴィンランドサガかよ。


「名乗られたら名乗り返すのが……いや、異邦の方なのであれば致し方ない」


仕方ないみたいな言動だけど表情は明らかに不満そう。

というか怖い。


「や、山村志摩やまむらしま……です……」

「おお!それでは改めてヤマムラシマ殿、私の妹を知らないか?」

「知るか!」




自宅から学校までは徒歩で行き来可能な距離なのですが妙にヘリコプターや飛行機が多い気がします。

しばし空を見上げていると、近くにタクシーが止まり、見知った人が降りてくるのが見えました。


「ごきげんよう、冬子さん」

「ごきげんよう、千影さま」


学年は違いますがよく一緒にお茶をする学友の一人です。


「今日はなんだか騒がしですわね、ヘリコプターが沢山飛んでいますし、編隊飛行していらしたのは色からして自衛隊、青っぽいのは……報道でしょうか?」

「青いのは警察に多い気がしますが……そういえば冬子さん、今日はなぜタクシーなのですか?」


冬子さんはいつも敷地内に入る事を許可された車が門の前まで送り迎えをしていたので、一緒に歩いて登校するのは初めてでした。


「運転手が野犬に襲われて入院中なんです、なので今日はタクシーで来たのですが千影さまをお見かけしたので降りてしまいました」

「そうですか、嬉しいです」


こうして好意を向けられるのはとても気分が良くなります。

しかし残念なことにもう敷地内に入ってしまいました。

せっかく一緒に登校できるのですから校舎までは歩くペースをおとしましょう。

などと考えていると、なにか普段と違う気がしました。


「人が少ない気がいたしませんか?」

「そうですか?まあ私たちは登校時間が少し遅れていますし……あらら?見てください」


冬子さんの見ている方へ視線をやると、門の外にある職員用の駐車場がほとんど空でした。

このミスカトニック女学園には中等部と高等部の生徒とそれぞれの職員がいるので人数は多いです。

しかし敷地内の寮に住んでいる職員を除き、電車やバスを利用する職員を除いても自動車や自動二輪車は数台あったはずですが。


「チュパカブラが大量発生してるのかもしれませんね」

「ちゅぱ?」


冬子さんの運転手や職員の方々が何かに襲われてしまったのでしょう。

そんな予想をしながら数分歩いていると中庭のガゼボに人だかりができているのが見えました。

近寄って近くの方に尋ねてみます。


「ごきげんよう、なにかあったのですか?」

「あっえーっと……いつのまにか侵入していた不審者?があそこに座っていたので中等部の子がガーランド教諭を呼びに行っているんですけど……」

「不審者に近づくのは関心しませんわね……しかしこの様子からして危険な方ではないので?」

「ええ、危険というより珍妙というかなんというか」


気になったのでもっと近づいてみると、確かに珍妙な装いの女性がぼーっとしながら座っていました。

周囲の子達は一切気にせずただじっと座っています。


「あれは……魔女?」


青っぽいローブに同じ色の帽子、両手に握られた杖はまさしく魔女といった雰囲気でした。

そこにガーランド教諭が到着し、魔女のような女性に話しかけました。


「あー……あなたはどちら様で?」

「……帝国騎士団魔道士隊……の、見習い四年生……ガストンの子グレース……」

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