24 親愛なる機械
『千影さん、起きなさい』
お母様?なぜここにいらっしゃるのですか?。
『何を言っているのですか、私がここにいるはずがないでしょう』
ああ、幻覚ですか。
『そうよ、死んでみるのはまだはやい、生きて探究を続けなさい』
ええ……そうですね、生きているうちにやっておきたいことが沢山ありますから。
『それならさっさと目を覚ましなさい、幻覚の声に耳を傾けている暇などないわ、現実に耳を澄ますのですよ』
「て――」
何かが聞えます。
「おきて――」
録音した大声をスピーカーの音量を小さくして再生したような声でしたが、次第にはっきりと鮮明に聞えてきました。
「起きてください!どうか目をあけてください!」
「ええ、はい……っ!」
体が痛いですが我慢して起き上がると同時にとてつもない頭痛に襲われました。
「ああっ!よかった!」
「死んだかと思ったー!」
冬子さんに抱きつかれてより体が痛くなりましたがとりあえず冬子さんとウルリカさんが無事なのは分かったので気になりません。
しかし痛いのは体だけではなく左目にも激痛が走り、それにつられて右目をあけるのも辛いのに加えて痛みで涙が溢れ、非常に視界が悪いです。
「私はどれだけ意識を失っていたのですか?何が起こったのですか?」
「棄児に撥ねられて壁にぶつかって重症&気絶、グレースちゃんが魔液とかいうの使って治して僕達が運んで……五分くらいかなー?」
怪物を相手にして五分も意識を失っていたのに無事であり、グレースさんやカタリナさんの呼びかけがなく、しかし遠くない距離から棄児の声と移動する音が聞えるということはあの二人が頑張ってくれているのでしょう。
「私の武器は?」
「あるよー、ほら」
涙を拭い激痛は無視して目を開けると、インパクトハンドガンとチャージシールドが置いてあるのが見えます。
チャージシールドは問題なさそうですが、インパクトハンドガンはフレームが破損していました。
セレクターを動かしたり引き金を引いても一切反応がありません。
「壊れてしまいましたか、新しい武器が必要ですね」
「あんな怪我をしたのに……まだ戦うんですか?」
冬子さんの震えた声と乾いていない涙、力なく私を掴む手から言葉にせずとも私に戦わないで欲しいという感情が伝わってきます。
「状況によりますが、ここから出るには戦う必要に迫られる可能性が高いでしょう」
「そう、ですわね……でも人が……千影さまが傷つく姿を見るのが辛いんです……」
「今は治ってるけど本当に酷い怪我だったんだよー、顔の左側がズタズタで頭蓋骨が削れて前頭葉が――」
「思い出させないでくださいな!」
どうやら私はかなりグロテスクな状態だったようですね。
黒金が磯のように纏わり付いた棄児の皮膚に強く衝突したのであればむしろその程度で済んだことに驚きですが、ステータスで体力を上昇させていたおかげでしょうか。
とりあえず急いで新しい武器の取得をしましょう。
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マイヤーズ 千影
ステータスポイント:2
LV:6
体力:7→
魔力:1→
筋力:1→
技量:1→
称号:狂信者
職業:ストライカー
スキルポイント:114
スキルツリー:ストライカー
ランダムスキルツリー:フューチャーソルジャー
・通知
割り振っていないステータスポイントがあります。
割り振っていないスキルポイントがあります。
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「あら?」
「どーしたのー?」
「スキルポイントが異常に増えているのですが」
「えー?あっ僕も50くらい増えてるー」
スキルポイントの獲得はステータスポイントよりも簡単であり、中でも戦闘行為が最も獲得に適していると聞きました。
洞窟内で戦闘はそれなりに行いましたが、それにしても多すぎる気がします。
いったいどういう基準なのでしょうか。
「強い相手を倒すと貰えるポイント増えるってグレースちゃんが言ってたよね、黒金化してた騎士も倒したことになってるとかー?」
「かもしれませんね」
黒金の騎士はカタリナさんよりも強い上級騎士とのことですが、黒金化で弱体化していましたし最後は自決でした。
なぜここまで多いのか気になりますが今はとにかくカタリナさんたちの援護に向かわなければならないので多いのは良い事ですね。
とりあえずステータスポイントは体力に割り振ります。
今更2ポイント程度を他に割り振っても付け焼刃にすらならないでしょうから。
続いてスキルポイントで武器を入手。
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フューチャーソルジャー スキル一覧
スキルポイント:114
・銃器
[インパクトハンドガン:要求スキルポイント1]
[インパクトハンドガンⅡ:要求スキルポイント5(インパクトハンドガンを改造して取得:要求スキルポイント2)]
[エネルギーハンドガン:要求スキルポイント2]
[ライトニングガン:要求スキルポイント3]
[オールドガン:要求スキルポイント5]
[ガウスガン:要求スキルポイント10]
[ボムライフル:要求スキルポイント20]
・近接武器
[ヒートソー:要求スキルポイント10]
[ヴィブロブレード:要求スキルポイント50]
[マスターキー:要求スキルポイント100]
・盾
[チャージシールド:要求スキルポイント20]
・防具
[バイオスーツⅠ:要求スキルポイント5]
[バイオスーツⅡ:要求スキルポイント10]
[パワードアーマー:要求スキルポイント200]
・その他
[マルチスコープ:要求スキルポイント10]
[サーマルランプ:要求スキルポイント3]
[バッテリー:要求スキルポイント1]
[カートリッジ(ヒートソー用):要求スキルポイント1]
・スペシャル!
[ソルジャーロボット:要求スキルポイント100]
[カラン:要求スキルポイント100]←取得可能です!!!
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カランというものの主張が激しいですね。
インパクトハンドガンは体を削る程度の火力でしたが、別の武器であれば有効な攻撃となるのでしょうか。
せっかっく100もあるのですからインパクトハンドガンを取得できるスキルポイントを残しつつ色々試してみるとしましょう。
と思ってとりあえずガウスガンというものを取得しようとしますが触れても何も起こりません。
「えいっ、あらら?」
他の銃器類全てに触れてみますが無反応どころか突然一覧に表示されているほとんど消えてしまいました。
唯一残ったのは――
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[カラン:要求スキルポイント100]←取得可能です!!!
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一度ウィンドウを消してもう一度表示してみますが変らずカラン一つだけ。
カラン以外は選択できないということですか。
なぜこの非常時にこんな現象が起こっているのでしょうか、そもそもカランとは。
どうしてこうなったのかわかりませんがこれを取得するしかないようですね。
多少は残りますしそれで武器を取得するとしましょう。
カランを取得すると消えていた武器の表示が元に戻り、変わりにカランの表示が消えていました。
アイテムボックスにある取得したカランであろうものの画像は真っ暗で何なのかかわからないので、とりあえず出してみます。
それと同時に目の前で発光が起こりました。
「うわっ!」
「離れましょう」
私達はそこから少し離れて様子を見ます。
すると金属がぶつかる音が聞えた後に発光が消え、よく見えるようになると人型の何かがゆっくりと立ち上がるのが分かりました。
「ああ、ようやく、やっと、ついに」
「……あなたは?」
「私はカラン、マイヤーズ千影、貴女の親愛なる機械です」




