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13 ニート&ナイトⅣ

「ヤマムラシマ殿、あれはただの人形だと言ったじゃあないか……」


いやただの人形のはずなんだけどなぁ。

関節なんて作られてないはずなのになんで歩けるんだあのマネキン。


「こ、攻撃しないの……?」

「うーむ……話せばわかるかもしれない」


なにを言ってるんだこの騎士見習いちゃんは。

まあ見た目が怖いというか気味が悪いだけで、実は優しい人かもしれない可能性。


キュッ……キュキュッ……


マネキンは視野が狭いのか大体十五メートルくらいで私達を発見したようで、プラスチックが擦れる不快な音を出しながら近づいて来る。


「私は帝国騎士団竜剣士隊の見習い四年生、ガストンの子カタリナだ、貴公は――」


マネキンは話を聞く気があるとは思えない速度でカタリナに接近、もの凄く足元がおぼつかない感じの動きなのに以外と早い。


「せいっ!」


一切会話は成立しなかったためかカタリナは近づいてきたマネキンにフロントキックを入れた。

そしたらマネキンは十メートルくらい吹っ飛んだけど、壊れたりはしていない。

しかし普通の人間が蹴りだけでマネキンをあんなに飛ばせるもんなの?カタリナは怪力なのかスキルとかいうのを使ったのか。


「貴公、話はできるか?」


カタリナが再度話しかけたけど返事はないしさっきと同じように近づいて来てる。

そこでやっと倒す気になったらしく、松明を地面に置いて剣を肩に乗せて構えた。


「はぁっ!」


そしたら突然カタリナが私の視界から消えた。

慌てて視線をマネキンに向けると、そこには剣をマネキンの肩から腹の辺りまで斜めに入れて切断したカタリナがいた。


「外見は怖いがもの凄く弱いな」

「あ、え?なに今の……?」

「うむ?ああ、ヤマムラシマ殿はまだ筋力も技量も割り振っていないから私の動きが見えなかったのだな」


体力と技量に割り振れば見えるの?今の明らかに人間にはできそうにない不可避の速攻が見れるようになるの?


「私の職業ソーズマンのスキル[ダッシュストライク]だ、ある程度筋力があれば取得可能で要求スキルポイントが低く、シンプルで使いやすいから剣士になるならオススメだぞ」


まるでチュートリアルのNPCみたいだなカタリナは。

しかしこんな事ができるなら剣士もちょっと魅力的だな。

体動かすのは苦手だけどステータス上げたらちゃんと動けるようになるのかなぁ。


「考えとく……それよりダンジョンってどうすりゃいいのさ……?」


とりあえず懐中電灯を持ち歩かなくても良い場所に行きたいんだけど。


「ダンジョンは一度入ったら出口を探すかボスを倒すしかないな」

「な、なにそのボスって……」

「ボスは洞窟や建物などをダンジョン化しているモンスターでほとんどは強力らしい、今の私達では勝てないものと考えた方が良いだろう」


そんなモンスターがいるであろう視界の悪い建物って結構危険じゃね?勝てなくてもいいから逃げられるか知りたい。


「じゃあさっさと出口行こうよ……」

「それがだな、こういう霧などで遮られているダンジョンは普通の出入り口では出れないんだ」

「えっ!?じゃあどうしたらいいの……?」

「外に繋がっている扉がどこかにあるはずだから、とにかく目についた扉を開いてみるしかない」


出口が見つかる前にボスに出会っちゃったらとかは考えないでおこう。

カタリナは置いてた松明を拾ったらなぜか私を見つめたまま不動。


「え?なに?」

「先導してくれ、私は建物の構造は全く分からないんだ」


私も別に頻繁に来るわけじゃないからよく知らないんだけどなぁ。


「でもモンスターが出たら……」

「危ない時は私がスキルで守るから安心してくれ、可能なら倒して強くなろう!」

「自信ないわー……」

「強くなるには経験が大事だ、あの真っ白な人形程度ならヤマムラシマ殿でも素手で倒せる」


簡単に言ってくれるなぁ。

暴力なんて振るった事ないし、振るうべき局面で戦える行動力があればニートにはなってないよ。

外に出るのにすらお腹痛くなる私としては既に胃腸が限界突破してるし。


「とにかく扉を探してくれ」

「扉ねぇ……」


出口になる扉の条件がイマイチわからないけど、扉ってだけで良いならトイレが一番近いのでとりあえずトイレに行こう。

周囲を照らして警戒しながらゆっくりと来た道を戻る。

特に何かあるわけでもなく、本当にただひたすらに暗いだけ。

非常階段のすぐ横に男子トイレと女子トイレがあったので懐中電灯を脇に抱えて扉を開けた。


キュッ


「のぉうっ!?」


ドガッ!


扉を開けた直後、女子トイレの中にいたマネキンがこちらを見たのでビビって咄嗟に殴ってしまった。

カタリナが蹴った時とは違って吹っ飛んだりはしなかったけど倒れた。

その衝撃でマネキンの上半身と下半身がグッバイしてる。


「おお!まさか本当に素手で倒すとは!」

「え?あれで倒したの……?」

「剣を刺して確かめると良い」


言われた通り剣でマネキンを突く。

しかし一切動かないのでしっかり刺してみても動かない。


「え?マジであんなんで倒しちゃったの?弱すぎない?」

「ああ、武器を使ってこないから紫灰人よりも初心者向けだな」


階段でさえ疲れる体力の私でも倒せる相手がいるなんて思わなかった。

なんか自信ついたかも。


「おっ、ヤマムラシマ殿、見てみろ」

「なになに!?」


カタリナが倒したマネキンを指差すのでてっきり倒し損ねたかと思った。

しかし違うみたいで、マネキンの横に鈍い光が見えたと思ったら紙が落ちていた。

トイレットペーパーかな?


「あの人形がアイテムを落としたようだ、運が良いな!」

「な、なんだ……そんなこともあるのね」


自信をキャッチ&リリースするかと思ったけどマネキンはちゃんと倒せてて、ドロップアイテムが出現したらしい。

紙を拾ってみると、手に持った瞬間紙に書いてある文字がライトを当てたわけでもないの光る。

けど何が書いてあるのかさっぱりわからないな。


「これなに……?」

「スクロールだ、回数は制限されているが魔法が使用できるぞ」

「っていうことは……」

「これで魔法職を選べるようになる、やったな!」


マジか超ラッキーだな私。

偶然異世界人を発見してからここまで最高に運が良い。

ここまで運が良いと悪い事が起きる予感がするけど、今は喜ぼう。


「やったー!」

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